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今後の対応の方向性

ドキュメント内 目次 (ページ 80-126)

5. 結論と今後の対応の方向性

5.2 今後の対応の方向性

1)製品の多様化 (1)

概要

従来、中間製品の形で市場に供給していた製品を最終製品にまで加工すること(エレベ ータワイヤ等)や、現在、国内では、高炉メーカーが主要な供給先となっている製品のう ち、諸外国で電炉による生産が実現されている分野 (例えば、米国ニューコア社の自動車 分野への製品供給)への進出を図ること等を通じて、製品の多様化、高付加価値化を図る。

(2)

課題

製品の多様化を図るには、ある程度の資本規模と資金調達能力が必要となるため、一部 の大手電炉メーカーのみが検討可能な対応の方向性である点が課題と考えられる。

また、高炉系電炉メーカーの場合、高炉メーカー側がグループ全体の戦略の中で系列の 電炉メーカーをどう位置づけるかに大きく依存する点も課題として挙げられる。

我が国の電炉業界の今後の方向性①:製品の多様化 我が国の電炉業界をとりまく環境

国内の建設分野での需要減少

最終製品への加工 生産製品分野の拡大

電炉メーカーの競争力の強化

電炉メーカーは鉄スクラップを主原料に、土木・建築向け鋼材を生産

新規顧客開拓 国内の景気が悪化しても

鉄スクラップ価格は下がらない

※経済成長している新興国の資源購入価格が 世界的な資源価格に影響を与えている

5.2.1-2 製品の多様化のイメージ

2)海外市場への進出 (1)

概要

我が国電炉メーカーが既に進出している途上国で、日本の電炉製品がブランド化してい ること等を受けて、我が国の電炉製鋼技術をもって海外に進出し、海外市場の獲得を図る。

また、短期的には、輸出品を鉄スクラップからビレットへと転換することも一案として 考えられる。国内で余剰となっている電炉能力、鉄スクラップ、電力と世界的にも優位と 考えられる操業技術を活用して、良質なビレットを生産し、ベトナム等今後も成長が期待 されるアジア市場に輸出する。ただし、ビレットの輸出先国には、単圧メーカーが存在す る必要があるが、これらの輸出先国となっているアジア諸国は、今後自国内に電炉を建設 する可能性もあるため、あくまでも短期的な対応の方向性として考えるべきである。

(2)

課題

海外市場への進出を図るには、ある程度の資本規模と資金調達能力が必要となるため、

一部の大手電炉メーカーのみが検討可能な対応の方向性である点が課題と考えられる。

我が国の電炉業界の今後の方向性②:海外市場への進出 我が国の電炉業界をとりまく環境

国内の建設分野での需要減少

日本の優れた 電気炉製鋼技術をもって

海外進出

電炉メーカーの競争力の強化

電炉メーカーは鉄スクラップを主原料に、土木・建築向け鋼材を生産

海外展開の拡大

アジア鉄鋼業の効率的な発展に寄与

国内の余剰電炉能力 国内の余剰鉄スクラップ

国内の余剰電力

良質なビレットをアジアに供給

短期的な対応

国内の景気が悪化しても 鉄スクラップ価格は下がらない

※経済成長している新興国の資源購入価格が 世界的な資源価格に影響を与えている

5.2.1-3 海外市場への進出のイメージ

<参考データ>

5.2.1-4

を 見る と 、 日本 か ら の半 製 品 の 輸 出量 が 年 々増 加 傾 向 に ある こ と が分 か る

(2009 年度では

6,124

千トン)。また、表

5.2.1-1

より、鋼塊・半製品の輸入量は

2000

以降も約

20,000

千トン代で推移しており、一定の需要があることが分かる。なお、中国

の輸入量が

2001

年を境に減少していることからも他国の需要が伸びていることが分かる。

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

合わせ鋼材 鋳鉄管 二次製品 特殊鋼鋼材 普通鋼鋼材 半製品 鋼塊 フェロアロイ 銑鉄 1,000M.T

出典:(社)日本鉄鋼連盟、鉄鋼統計要覧

5.2.1-4 鉄鋼品種別輸出量推移

5.2.1-1 Imports of Ingots and Semis(鋼塊・半製品の輸入量推移)

単位:1,000M.トン

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

バングラディッシュ 5 21 1 39 32 247 158 158 145

中国 4,901 8,362 4,687 5,935 3,860 1,353 507 390 280

香港 1,136 1,061 569 318 492 188 193 193 112

インド 409 285 213 136 259 738 470 210 504

インドネシア 1,250 1,089 1,296 1,434 1,707 3,494 1,923 2,037 2,598

日本 12 28 12 11 99 281 63 242 140

韓国 3,444 3,102 3,684 4,551 4,805 4,869 5,068 6,342 6,140

マレーシア 88 56 307 211 437 450 408 402 229

ミャンマー 11 21 39 8 132 122 121 121 135

パキスタン 5 10 7 13 107 618 170 170 63

フィリピン 1,104 1,216 1,405 980 1,120 1,123 928 1,103

シンガポール 290 307 133 4 8 26 18 52 10

スリランカ 57 50 47 99 121 154 162 162 151

台湾 9,047 5,480 7,317 7,038 8,783 7,042 6,689 5,094 5,197 タイ 2,736 2,719 5,010 4,182 5,012 5,710 3,925 2,574 3,566 ベトナム 1,087 1,669 2,207 1,754 2,290 2,158 1,728 2,045 2,276

その他 16 9 57 72 106 69 42 42 8

3)事業の多角化 (1)

概要

国内電炉メーカー数社が既に取り組んでいるが、電炉という特徴を活かして、地域で発 生した医療廃棄物等の廃棄物の適正処理を担う「廃棄物処理業」としての事業 展開を模索 する。また、近年、地域内で発生した資源を可能な限り地域内で循環させることへの関心 が高まってきていることから、地元大学や地域内の企業等と連携して、地域内資源循環シ ステムの研究開発を行う「地域資源循環の研究拠点」として電炉を位置づけることを目指 す。

(2)

課題

「廃棄物処理業」としての事業展開を図るためには、一定量の廃棄物量を安定的に確保 する必要があるため、対象とする廃棄物の受入ルートを地域内で整備すること 、既存業者 との役割分担・調整、廃棄物処理に係る業許可の取得等が必要となる。また「地域資源循環 の研究拠点」となるには、一定規模の研究開発投資等を定常的に行うとともに、電炉を活 用した実証実験等に積極的に関与していくことも課題となる。

我が国の電炉業界の今後の方向性③:事業の多角化 我が国の電炉業界をとりまく環境

国内の建設分野での需要減少

廃棄物処理業としての事業展開

地域内連携による持続可能な発展

電炉メーカーは鉄スクラップを主原料に、土木・建築向け鋼材を生産

地域資源循環の研究拠点化 電炉業以外の事業を展開

国内の景気が悪化しても 鉄スクラップ価格は下がらない

※経済成長している新興国の資源購入価格が 世界的な資源価格に影響を与えている

5.2.1-5 地域の廃棄物処理・資源循環の研究拠点化のイメージ

参考文献

・ 森 浩 典 、 日 本 の 鉄 鋼 業 の 生 き 残 り を か け た 再 編 、 日 本 国 際 情 報 学 会 紀 要 NO3.35-46(2006)

・ 経済産業省、鉄鋼業の競争力強化と将来展望研究会 中間報告(2001

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月)

・ 経済産業省、東アジアの鉄鋼業における省エネルギー・環境基礎調査(2010

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・ 川端望、東アジア鉄鋼業の構造とダイナミズム、ミネルヴァ書房(2005

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月)

・ 渡邊啓一、鉄スクラップリサイクルの現状、SOKEIZAI Vol.51(2010)NO.3

・ (社)日本鉄源協会(電炉協会)、韓国普通鋼電炉業の現状と展望

・ (社)日本鉄源協会(電炉協会)、普通鋼電炉業の現状と構造改善の進展-その新たな

課題と展望-

・ (社)日本鉄源協会(電炉協会)、EU

及びトルコにおける普通鋼電炉業の現状と展望

-構造変化と課題

・ (社)日本鉄源協会(電炉協会)、米国普通鋼電炉業の現状と展望-成長要因と今後の

課題-

・ (社)日本鉄源協会(電炉協会)、普通鋼電炉業の発展と構造改善-その回顧の展望-

・ 堀一郎:ニューコア社の組織と管理-ネットワーク的直轄型組織と分権化管理-(金

城学院大学論集 社会科学編 第

4

巻第

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号):

2007

9

・ 堀一郎:ニューコア社の成長と戦略(愛知県立大学外国語学部紀要第 34

号(地域研究・

国際学編)

・ 普通鋼電炉工業会:電炉鋼材フォーラム資料:2010

・ (社)日本鉄源協会「鉄源年報」第 21

号(2010):2010 年

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Statistical Yearbook

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:World Steel Handbook”

:2010/“Sustainability Report of the World Steel Industry 2008”:2008

・ UK Steel

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・ U.S. Geological Survey

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・ WV Stahl (German Steel Association)

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・ WV Stahl (German Steel Association)

:”Steel Industry in Germany”:2009

・ European Commission JRC:”End of Waste Criteria for Iron and Steel Scrap”:

2010

OECD:”Developments in the Metallic Market and Its Effects on the Global Steel

参考資料 1:今後の電炉製鉄産業の高度化に関する調査研究 委員会名簿

■ 学識経験者

大和田 秀二 早稲田大学理工学術院 教授

小野田 弘士 早稲田大学環境総合研究センター 准教授

○川端 望 東北大学大学院経済学研究科 教授

定木 淳 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 准教授

■ オブザーバー

経済産業省 製造産業局 鉄鋼課

○は座長、敬称略

参考資料 2:有価証券報告書データ

次表に示す普通鋼電炉業界の上場企業(12 社)の有価証券報告書データを整理した。整 理の観点は以下の通り。

<調査対象企業>

・ 中山製鋼所

・ ヤマトスチール(大和工業グループ)

・ 共英製鋼

・ 東京製鐵

・ 合同製鐵

・ 大阪製鐵

・ 東京鐵鋼

・ 朝日工業

・ 中部鋼鈑

・ 北越メタル

・ 東京鋼鐵

・ 豊平製鋼

<整理の観点>

・ 事業の内容

・ 生産実績、販売実績

・ 対処すべき課題

・ 事業等のリスク

・ 研究開発活動

出典:EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示 システム 有価証券報告書等の開示書類を閲覧するホームページ)

http://info.edinet-fsa.go.jp/

【株式会社中山製鋼所】

事業の 内容

当社グルー プは、鉄 鋼の製 造、販売を 主な事業 内容と しておりま すが、各 事業に 関わる位置 付け等は、次のとおりであります。

な お 、 次 の 4 部門 は 「 第 5 経 理 の 状 況 1 連 結 財務 諸 表 等 (1) 連 結 財 務 諸 表 注 記 事 項」に掲げる事業の種類別セグメント情報の区分と同一であります。

(1) 鉄鋼事業

鉄鋼製品に ついては 当社の 鉄鋼事業部 門が製造 ・販売 を行ってお り、鉄鋼 二次加 工製品につ いては、当 社以外に 子会社 中山三星建 材㈱及び 三泉シ ヤー㈱にお いても製 造・販 売を行ってお ります。ま た、当社 グルー プの製品等 の輸送に ついて は、子会社 三星海運 ㈱が主 として行って おります。

当社製品の一部については、子会社中山通商㈱及び三星商事㈱を通じて販売しております。

当社の鉄鋼 事業部門 は主要 株主である 新日本製 鐵㈱と 、コークス や鋼材等 の販売 及び鋼材の 原料となる鋼片等の購入を取引しております。

(2) エンジニアリング事業

当社のエン ジニアリ ング事 業部門が国 内シェア の過半 を占める鋼 製魚礁の 製造・ 販売のほか 建築総合工事、ロールの製造・販売及び機械の加工・組立等を行っております。

(3) 不動産事業

当社の不動 産事業部 門が不 動産の賃貸 ・販売を 行って いるほか、 子会社中 山興産 ㈱が不動産 の売買・仲介、その他サービス事業を行っております。

(4) 化学事業

子会社南海化学㈱及び富士アミドケミカル㈱が化学工業薬品の製造・販売を行っております。

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

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