第142条【電気使用場所の施設及び小出力発電設備に係る用語の定義】
〔解 説〕 本条は、第5章で用いられる主要な用語の定義を掲げたものである。
低圧幹線(第一号)
低圧幹線は、引込口における開閉器又は変電所に準ずる場所に施設した低圧開閉器を起点とし、低圧分岐回路と接続 するものをいう。
低圧分岐回路(第二号)
低圧電路には、電灯や扇風機、電熱器等の各種の電気機械器具が接続されるが、電気機械器具又はこれに電気を供給 するための電線の故障の際、事故の波及範囲を限定し、かつ、保守点検を容易にするため電気回路を適当な群に分割し ておく必要があり、この分割された電気回路を低圧分岐回路という。
屋内電線(第四号)
屋内電線とは、屋内に施設する電線路の電線及び屋内配線を指す。ここで、屋内とは、一般家庭の屋内をはじめ、工 場、事務所等の区別なく、電気使用場所(→第1条第四号)の屋内という意味である。
電球線(第五号)
電球線は、造営材に固定しない白熱電灯に接続する電線であって、造営材に固定しないものを指しているが、産業用 電気機械器具等に附属する白熱電灯に接続する電線でその機械器具内に施設されるもの又はパイプペンダント若しくは ブラケット等の管の部分に収める電線等はこれに含まない。
移動電線(第六号)
電気使用場所に施設する電線のうち造営物に固定しない電線をいい、例えば、扇風機、電気バリカン等の可搬形の電 気機械器具に附属するコード、キャブタイヤケーブル等がこれに該当する。
接触電線(第七号)
接触電線は、走行クレーン、モノレールホイスト、電車線、遊戯用電車等に使用される。
電気使用機械器具(第九号)
電気使用機械器具は、電気を使用する業務用電気機械器具、家庭用電気機械器具、白熱電灯、放電灯をいう。また、
業務用電気機械器具とは、主として工場等で使用される電気機械器具を総称したものである。
ここで、電気使用場所における電気機械器具類を分類すると、次のようになる。
解説142.1図 家庭用電気機械器具(第十号)
家庭用電気機械器具とは、扇風機、電熱器、洗濯機、掃除機その他、主として家庭用に使用される電気機械器具(白 熱電灯及び放電灯を除く。)を総称するものであって、白熱電灯又は放電灯のうちでも特に電気スタンド及び装飾用電灯 器具は家庭用電気機械器具に含むこととしている。
配線器具(第十一号)
配線器具は、電気機械器具から業務用電気機械器具、家庭用電気機械器具、白熱電灯、放電灯を除いたものをいう。
白熱電灯(第十二号)
白熱電灯については、電気スタンド、携帯灯及び装飾用電灯器具(クリスマスツリー用電球など)は、家庭用電気機 械器具に含めることとして、これから除かれている。
放電灯(第十三号)
放電灯とは、放電管だけでなく、放電灯用安定器(放電灯用変圧器を含む。)及び点灯に必要なグローランプその他の 附属品並びに安定器から放電管にいたる管灯回路(→第1条第十四号)の配線も含めたものを総称するものである。
電気使用機械器具 配線器具
業務用電気機械器具 業務用電気使用機械器具 上記以外
家庭用電気機械器具 家庭用電気使用機械器具 上記以外
電気機械器具
白熱電灯 放電灯
第143条【電路の対地電圧の制限】
〔解 説〕 電気設備のうち屋内に施設するものは人と最も密接な関係にあり、感電、火災等の危険が多いので、その 施設については特に厳重に規制する必要がある。第1項及び第2項では、屋内に施設する電路の対地電圧の制限について 規定している。
ここで、屋内とは、一般家庭の屋内をはじめ工場、事務所等の区別なく電気使用場所の屋内の場所という意味である。
発電所又は変電所若しくはこれらに準ずる場所(→第1条)や工場等における電気室のような場所は、この解釈でいう屋 内ではないので、本条の規制の対象から除かれる。また、工場等において取扱者以外の者が出入りできないように措置 した場所であって上記以外の場所、例えば高電圧試験装置を施設した場所などは、この解釈でいう屋内である。したが って、本条の規制の対象にはなるが、工事方法、施設等に関する規制については、それぞれの条項において、取扱者以 外の者が出入りできないように措置した場所は、一般の場所とは区別して緩和されている(→第21条、第144条、第150 条、その他)。
第1項では、住宅の屋内電路の対地電圧を、原則として150V以下に制限している。本項でいう電路は、かっこ内で示さ れているように電気機械器具内の電路を除いている。なお、電気機械器具が低圧の電気を受けてその内部で電圧を変成 し、高電圧を発生する部分があっても、それが外部に導き出されない場合には、本条の制限は受けない。また、住宅の 空調機器のように室内機と室外機とが別個の場所に施設されるような場合には、電気機械器具として機能的に一つの機 器として解釈してもよいが、相互を接続する配線等は、電気機械器具内の電路とは解釈しない。
本項でいう住宅とは、一般家庭において日常生活する場所をいうのであって、アパート、寮等の私室も含まれる。高 層アパートのボイラー室やコンプレッサ室等の附帯設備や、ホテルのロビーに相当するような場所は住宅と考えなくて よい。また、店舗付住宅のような場合は、店舗に相当する部分は住宅と考えなくてよい。このように、住宅とは乳児か ら老人に至るまで安心して生活できるべき場所に限定しており、このような所では危険度の高いものは極力施設するこ とを避けるべきである。100V用電気設備における感電事故と200V用電気設備における感電事故とを比較した場合、後者 がはるかに死傷事故の確率が高いことは周知の事実である。したがって、住宅の屋内電路は対地電圧150V以下とすべき 旨が規定されているわけである。
しかし、次のような場合には、ただし書により例外を認めている。
①住宅に施設する定格消費電力が2kW以上の電気機械器具及び当該電気機械器具のみに電気を供給するための屋内配 線
②当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線
③住宅の屋根などに施設した太陽電池モジュールの負荷側の屋内電路(屋内の直流電路)
④屋内を通過する電線路
①は第一号に示すものであり、家庭電化が進み、冷暖房機器、温水器など容量の大きい電気機械器具が家庭において も使われるようになり、特に電動機応用機器では始動電流が大きく一時的な電圧低下を生じることがあり、また、機器 の効率及び配線の経済性からも三相200Vの動力線に接続しなければならないという場合もあるので、定格消費電力2kW 以上の固定して施設する電気機械器具について、以下の規定により施設する場合には、その対地電圧を300Vまで認めて いる。定格消費電力2kW未満のものについては、単相3線式であっても機器の効率及び配線の経済性がそれほど問題とな ることはなく、単相3線式による対地電圧100V、使用電圧200Vで対応できること、また、対地電圧150Vを超える可搬形又 は移動形の機器が一般家庭で頻繁に使用されると、上述の危険の確率が増加することから、これらの機器については、
対地電圧150V以下を原則としたわけである。
ロでは、電気機械器具の使用電圧を300V以下(→省令第2条)とすべきことを規定している。我が国では、交流の低 圧としては100V、200V、100/200V、400V、230/400Vの電圧が採用され、400V級のものは主として大規模のビル又は工場 等で採用される。使用電圧が300V以下の回路には普通B種接地工事(→第24条)が施されており、通常、接地側電線に触 れても感電等のおそれはないが、非接地側電線に触れると電撃を受ける。その程度は、屋内の乾燥状況、接地抵抗等に よって著しく異なるが、電圧が低いので高圧に比べて危険度は少ない。直流の回路には通常、接地工事を施さないが、
正負両極の電路の絶縁が良ければ、単にその中性点が移動するだけで直接的障害とはならない。
ハでは、事故防止のため屋内配線は人が容易に触れるおそれがないように高所又は人が近寄れない場所に施設するこ ととした。また、電線はケーブル又はキャブタイヤケーブルであっても、合成樹脂管等に収めるなどの接触防護措置を 施すこととしている。
ニでは、取扱い上、簡易接触防護措置を施すことができない配線器具及び家庭用電気機械器具についての例外が認め られている。
(イ)は、簡易接触防護措置を施さない部分が硬質ビニルその他の合成樹脂、木等の絶縁物で堅ろうに作られており、
内部の電路の絶縁が劣化していても、ごく特殊な場合を除けば感電の危険がない場合である。この場合、絶縁物の表面