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S :臨界径間(m)

第4節 特別高圧架空電線路

第83条【適用範囲】

〔解 説〕 本節では、特別高圧架空電線路に関する基準を示しているが、電線路の端部となる特別高圧架空引込線、

特別高圧屋側電線路に隣接する1径間の架空電線路、特別高圧屋内電線路に隣接する1径間の架空電線路については、適 用外となる条文が多くあることから、本条にて特別高圧架空電線路の範囲を規定している。

第84条【特別高圧架空電線路に使用する電線】

〔解 説〕 本条は、特別高圧架空電線路に使用する電線の一般的な原則となる最低基準を示している。特別高圧架空 電線は電圧が高く、かつ、電気の供給において重要な電線路であり、電線の切断による被害及び供給支障の影響が大き いことなどから、電線の最低引張強さを規定している。○47基準では、一般の特別高圧架空電線路の保安レベルを従来の 第3種特別高圧保安工事のレベルまで引き上げており、電線の最低引張強さは8.71kN以上であって、揺動に対して切断の おそれがないような可とう性の富んだより線を使用し又は断面積が22mm2以上の硬銅より線を使用すればよいこととし ている。

ケーブルについては、他の電線を使用する場合と施工方法において大きな差異があり、その施工方法が第86条で規定 されていることから特に示していない。なお、15kV以下の特別高圧架空電線路の電線については、第108条で規定してい る。

電線の種類については、○47基準以前の規定においては裸電線に限定していたが、22 (33) kV配電の採用に伴い、特別 高圧配電線を道路上に施設する機会が多くなり、保安上又は他物との離隔距離を縮小する等の理由により、絶縁電線又 はケーブルが使用されるようになり、各方面でその施設実績が多くなったことから、特別高圧ケーブルにあっては○47基 準で、特別高圧絶縁電線にあっては○57基準でその使用を認めた。

第85条【特別高圧架空電線の引張強さに対する安全率】

〔解 説〕 第66条に準じることとしているため、解説等は省略する(→第66条解説)。 第86条【特別高圧架空電線路の架空ケーブルによる施設】

〔解 説〕 電気使用機械器具の普及、大型化による電力需要の増大あるいはビルの高層化によって、大電力を需要場 所の中心付近まで送り込む必要性が高まるにつれ、従来の6.6kV高圧配電にかわって、22 (33) kV特別高圧配電が採用さ れるすう勢にあったことから、22 (33) kV特別高圧架空ケーブルは、アメリカをはじめ諸外国の豊富な使用実績や昭和

40年に発足した(財)電力中央研究所送電機能研究委員会における検討結果に基づき実用化が図られ、○47基準でその工 事方法を新たに規定した。

低高圧架空ケーブルによる施設(→第67条)に全面的に準じたものであるが、ちょう架用線の強さは、低高圧が引張 強さ5.93kN以上のより線又は断面積22mm2以上の亜鉛めっき鉄より線であるのに対し、特別高圧では引張強さ13.93kN以 上のより線又は断面積22mm2以上の亜鉛めっき鋼より線としている。

ケーブル工事において低圧から特別高圧まで、その施設方式においては差異がないが、第65条を準用しているちょう 架用線の強さの決定にあたっては、電線路が通過する地域の特異な気象状況等を十分検討し、余裕のある安全率をとる ことが望ましい。

第87条【特別高圧架空電線の高さ】

〔解 説〕 本条は、特別高圧架空電線の地表上、横断歩道橋の路面上、レール面上、水面上及び積雪面上の高さを示 したもので、第1項では特別高圧架空電線路の電圧を35kV以下、第2項では35kVを超え160kV以下、160kVを超えるものに 分け、高さを規定している。ここで低高圧架空電線路の場合に定めているものと同様、電圧の大小とは無関係な最低の 地表上の高さが必要であるが、電圧が高くなればそれ以上の高さが必要となる。この電圧と地表上の高さとの関係につ いては、アメリカのNational Electrical Safety Code、ドイツのVDEなどの基準を参照し、かつ、旧工規に規定されて いた値を勘案した。電圧の段階については実情を加味し、更に、最小絶縁間隔+5mの範囲に入るよう160kVを境としたも のであり(→解説87.1図)、この値はあくまでも最低の値で、実際の送電線路建設に際しての地表上の高さは、地表上の 電界強度、工作物等との離隔距離などを考慮し、各々の地点により最終的に定まるものである。

解説87.1図

横断歩道橋路面上の高さについては、○43基準では一般道路箇所と同等の高さとするよう定められていたが、○47基準で 使用電圧が35kV以下においてケーブルを使用する場合の規定を、○57基準で特別高圧絶縁電線を使用する場合の規定を、

⑨解釈で使用電圧が35kV超過160kV以下においてケーブルを使用する場合の規定を追加したもので、その基本的な考え方 については低高圧架空電線の場合と同様である(→第68条解説)。

一方、架空電線路は様々な地域を通過するため、その高さは単純に電圧のみで決められない場合がある。第3項の水面 上の規定等もその例である。なお、35kV以下の場合の地表上の高さを5mに緩和しているのは、この解釈では、35kVを電 圧の1つの危険段階としているので、経費節減の点から特殊箇所を除いて認めたものである。

第3項は、水面上に施設する場合の架空電線の高さを水上交通に危険を及ぼさないように適当な高さに保持させること を示している。船舶等のように水面上における最大高さが定まらないものについては、水深その他の状況から航行が予 想される船舶の最大高さを考慮して架空電線の高さを決定する。海峡や河川に架空電線を施設する場合は、海峡が航路 及びその周辺の海域に該当する場合は、海上交通安全法の規定により海上保安庁長官の許可が必要であり、また、河川 に施設する場合は、河川法の規定により河川管理者の許可が必要である。したがって、これらの管理者と協議の上、船 舶の航行等に危険を及ぼさない高さとすることにより、安全を確保することができる。なお、海峡については、海域等 により適用を受ける法令が異なるため、事前に最寄りの管区海上保安部警備救難部航行安全課又は各海上保安管署に問 い合わせられたい。

第4項では、氷雪の多い地方では地表上の高さを地表上にとるか積雪面上にとるかで相当の差異が生じるので、積雪面

上を人又は車両が通行する場合に支障が生じないような高さをとることを規定している。しかし、相当な量の積雪があ る上を大型の車両が通行することはほとんど考えられないので、交通が頻繁でない場合は、最大積雪面上3~4mの高さを とれば特に危険とはいえない。なお、市街地における地表上の高さは、第88条に示している。

架空電線路の設計に当たっては、この地表上の高さが、支持物の高さを直接的に決定することとなる。すなわち地表 上の高さの制限と弛度(→第85条)から、支持物の最下段の電線取付け点が決定される。一般に、この際の弛度は高温 季荷重により、また、気温は最高温度を考えることにしている。

第88条【特別高圧架空電線路の市街地等における施設制限】

〔解 説〕 特別高圧架空電線路は、電圧が高く危険であるから、原則として、市街地のような人家の密集する土地に 施設することを禁止している。

しかし、特別高圧架空電線路の建設当初に野原であったものが、都市の急激な膨張に伴い、周辺が市街地化してきて いる例が多く、このような場合、これを直ちに地中化し、又はルートを変更することは、経済的又は立地事情からも困 難である実情と、架空送電線の保安上の信頼度も向上してきていることから、この解釈では、周辺が市街地化した場合 に必要な改修基準を示し、第1項各号により施設する場合には例外としている。なお、従来、170kV以上の送電線路に関 しては、超高圧送電線路として、電力系統上も重要なものであるため、市街地の火災等の際に電力供給支障が生じるこ とも考えられ、また誘導障害の面からも通信障害の及ぶ範囲が大きいと考えられることから、市街地への施設を禁止し てきた。しかし、170kV以上の送電線路は、既に市街地等への施設が認められている下位電圧の送電線路に比べて格段に 保安及び供給上の信頼度が向上してきていること、誘導による通信障害については第52条において施設場所にかかわら ずその防止が規定されていること、また電波障害についても、電線の太線化や多導体化等による抑制対策を図っており、

送電線から発生する雑音レベルの大きさは170kV未満の送電線路と同程度となってきていることから、170kV以上の送電 線路の周辺にまで市街地化が進展してきている状況を踏まえ、⑬解釈において日本電気技術規格委員会規格 JESC E2010

(2000)「特別高圧架空電線路を市街地等に施設する場合の施設要件」を反映し、170kV以上の送電線路の施設を認めた。

市街地に施設される特別高圧架空電線路は、○38工規において使用電圧が80kV未満のものまで認め、○40基準で100kV(80kV を100kVにしたことは数字の変更のみで実質的な変更ではなく、グリーンベルト内のみ170kV)未満まで、○43基準では170kV 未満まで認め、⑬解釈で電圧による施設制限が廃止された。

ここで、人家の密集した地域に特別高圧架空電線路を施設することは、本来好ましいことではないから、新たに特別 高圧架空電線路を建設する場合は、あらかじめ十分な調査を行い、その対策を講じる必要がある。

なお、○47基準で、ケーブルを使用する場合(→第86条)は本条の適用を受けないこととした。また、22(33)kV配電 を中心とする特別高圧架空配電が市街地を中心に現行6kV配電に代わる供給方式として新たに採用されてきたことに伴 い、○57基準では特別高圧絶縁電線(→第5条)を使用する場合の市街地施設についての規定を追加した。

第1項第一号及び第二号は、170kV未満の送電線路を市街地に施設する場合の施設条件を示している。

第二号の電線の強さについては、従来、一応切れない太さとして5mmの硬銅線がとられていたが、○38工規で、特に安全 度を必要とする場合(→第95条、第1種特別高圧保安工事)には、アークによる溶断等の特殊な場合を除けば、まず断線 するおそれがないものとして、過去の実績から硬銅線で55mm2という値をとることにし、電圧が高くなるに従ってより高 い安全性を確保するために強い電線を使用することとしている。

第二号の電線の地表上の高さとしては、市街地では、他の工作物と接近又は交差する機会が多く、更にクレーン作業 の増加、火災時の消火活動における危険防止等を考慮して、最低地上高さを10mとした。なお、35kV以下の特別高圧電線 に特別高圧絶縁電線を使用する場合は、ケーブルと裸線との中間値として位置付け、8mとした。

ハで支持物に木柱及び鋼板組立柱の使用を認めていないのは、他の支持物に比べて信頼度が低いこと及び火に対して 弱いためである。

ニの「危険である旨の表示」については、35kV以下の特別高圧絶縁電線を使用する場合は、高圧配電線に準じ、○57基 準で危険表示は行わなくてもよいこととした。なお、同一道路に高圧架空電線路と22(33)kV架空電線路とが施設され る場合には、作業者の錯覚による危険を防止するため、22(33)kV配電線路の支持物には使用電圧等を表示することが 望ましい。

ホは、径間が長いと弛度が大きくなり不確定要素が多く、不測の気象条件等(→第58条解説)により事故の確率が高 くなることから径間を制限している。A種鉄筋コンクリート柱、A種鉄柱(→第49条)については、同じように施設する ものであるので、まとめて示している。これらの径間は、従来から定められている経験に基づくものである。しかし、

径間についても、送電線の水平間隔の決定と関連して研究が進み、○43基準では、これらの考え方を考慮して従来250mに 制限されていた鉄塔の径間制限を400mとした。電線相互の水平間隔が4m以上であって、硬銅より線を使用する場合にお いては電線の断面積が55mm2以上であるときには、径間を400mとすることが可能となる。これは、電気学会の送電専門委