在室メンバーテーブル 室内にいるメンバーのタグIDが管理され,作業空間への出入り のイベントごとに更新される.
入室・退室履歴テーブル 各メンバーの入室時間および退室時間の履歴を蓄積する.
空間共有度テーブル 各メンバーの作業空間内での累計滞在時間と,他のメンバーと共有 している時間が管理されており,出入りのイベントごとに更新される.出入り口に 接近したユーザAと特定メンバーBとの空間共有度は,(ユーザAとメンバーBが 作業空間内で共有している時間)/(ユーザAの作業空間内での累計滞在時間)で算出 される.
4.8.7 情報提示部分
出入り口空間にユーザが接近したことを検知すると,CollaboGate Serverのデータベー スから必要な情報を検索し,ユーザに提示する.出力インターフェースにはドアにはめ込 んだ透過型スクリーンを採用し,空間内部からプロジェクタで投影した.
AS-Gateでは,ユーザが直感的に雰囲気を把握できるように,メンバーの入退出履歴,
会話の活発度の推移,各メンバーとの空間共有度,ならびにメンバーの属性情報を3次元 座標空間内にマッピングする.
図 4.12: AS-Gateを設置したドアの様子
室内中央の天井に設置したマイクを用いて会話の活発度を計測した.作業空間内で発生 した音声を8ビット量子化,サンプリングレート8000Hzでキャプチャし,1秒間の最大 振幅値を隣接5秒間で平均して用いた.
4.9.3 ユーザへの表示
AS-Gateを設置したドアの様子を図4.12に示す.作業空間の出入り口のドアに透過型
スクリーンを設置し,室内からプロジェクタで投影することにより,接近するユーザーに 空間内部のアウェアネス情報を提示する.
AS-Gateの表示画面を図4.13に示す.3次元空間内に横臥させた円柱を描いている.円
周長を総登録人数で等分し,メンバーの写真を円周上に等間隔でマッピングしている.
奥行き方向に時間軸をとり,手前側の面を現在として過去5時間前までの状況を提示し た.最も手前に表示され,赤枠がつけられているのが現在在室中のメンバーである.退出 しているメンバーは,最終退出時刻に配置される.このため,メンバーの写真のサイズ は,退出してから経過した時間に反比例し小さく表示される.過去5時間に1度も室内に 現れなかったメンバーは,円柱の底面よりも奥にマッピングされる.各メンバーの入退出 履歴は,円柱側面に在室していた時間帯を赤線で表示することによって投影される.
また,円柱の側面を,会話の活発な時間帯ほど赤く,静寂な時間帯ほど青く描くことで,
図 4.13: AS-Gateの表示画面
室内の活発度の推移を表現している.会話の活発度の推移を直感的に表現するために,本 システムでは色の共感覚効果を利用した[32].人間が受け取る視覚情報のうち,特に色彩 に関する情報は感性と深く関わっている.
時間経過の表現には,戸口通信システムも着目している[59].これは,書かれてからの 経過時間に基づいて,伝言板に書かれたメッセージそのものの彩度を調節して表示してい る.クライアント側で指定することにより,彩度を相対的あるいは絶対的時間経過に基づ いて変化させることを可能としている.一方,AS-Gateは色相を用いて過去の活動度の推 移を可視化している.
あるメンバーが出入り口に接近すると,そのメンバーの写真が中心に移動する.また,
接近したメンバーとの空間共有度に基づいて,全員の写真が円柱の断面上を移動する.円 の中心近くにマッピングされているメンバーほど,出入り口で表示を見ているユーザに とって空間共有度が高いメンバーであることを示している.逆に中心から遠く,側面近く にマッピングされているメンバーは,空間共有度が低く室内で会うことが珍しいというこ とを表している.図4.13の表示画面上に点線と矢印を加筆して,中心のメンバーとの空 間共有度に基づいた配置距離を示している.空間共有度と中心からの距離は,
空間共有度= 接近したユーザと当該ユーザが同時に滞在した総時間[秒]
接近したユーザの総滞在時間[秒] (4.1)
中心からの距離[ピクセル] =円柱の半径[ピクセル]×(1−空間共有度) (4.2) で求められる.
最後に,円柱の断面を扇形に分割している板は,メンバーの属性情報の仕切りを示して いる.本実装においては所属する研究グループを属性情報として用いた.