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障害のある子どもの障害に基づく種々の困難の改善・克服と、社会とのコミュニケーションの拡大

ITを活用した学習の視点と教材例

6  障害のある子どもの障害に基づく種々の困難の改善・克服と、社会とのコミュニケーションの拡大

これまで障害によって「できない」と思われていたことも、障害に応じて適切に機器を活用すること で、「できる」ようになります。一人ひとりの障害の状態や困難を理解し、コンピュータ操作を補助す るための様々な機器を活用し、わかりやすいコンテンツを用意することで、学習の困難さを軽減させ「で きる」ことを増やします。障害のある人の活動を支えるために利用される技術を支援技術(アシスティ ブ・テクノロジー)と呼びますが、支援教育におけるIT活用は、この支援技術として位置付けていく ことが必要です。

障害のある子どもの情報機器を活用する意義は、コンピュータ操作の習得や学習課題の達成だけでな く、「できた」という成功体験から得られる達成感や成就感を次の課題に向けた意欲とし、自立と主体 的な社会参加を支援していくことことにあります。

(1)障害の状況を改善・克服する道具としてのIT活用

例えば、コンピュータのデータとしての文字(テキスト)は、音声読み上げソフトを利用するこ とで、聴覚から理解することができます。ロービジョン(弱視)の場合には、拡大表示で見やすく することができます。文字で理解しにくい場合には、画像を取り入れることで、意味の理解を助け ることができます。つまり、ITを活用することで、一人ひとりの障害の応じた情報の提示が可能 になります。

また、運動機能の制約によって筆記具が利用しにくい場合でも、キーボードを使うことで、文章 をつづることができます。大型のキーボードや 50 音配列のキーボード、更にはオンスクリーンキ ーボードなどを利用することで、入力が容易になります。さらに、運動に困難がある子どもにとっ ても、一つのスイッチで文字の入力やコンピュータの操作ができるようにすることもできます。通 常のキーボードやマウスでも、ユーザー補助の設定を変更することで、格段に利用しやすくなりま

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す。これらの支援機器の活用や工夫によって、画面を理解すること、文章を書くこと、メールで伝 え合うこと、絵を描くことなどの活動を支援することができます。

障害のある人の情報機器の活用や支援機器の情報は、「こころWeb」(http://www.kokoroweb.org/)

などで提供されています。

【見ることを補助する例:「青空文庫」を利用した読書指導】 

「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)は、著作権の消 滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされ た作品を提供しているサイトです。

視覚に障害のある児童・生徒の指導では、教材で使う文 章を入力することに多くの労力を要しますが、このサイト を利用し、音声読み上げソフトや画面の拡大と背景色の変 更などと組み合わせることで、作品を読みやすくすること ができます。

○ 視覚で理解することができない場合は、音声読み上げ ソフトで理解することができます。

○ ロービジョン(弱視)の場合には、フォントサイズを 大きくし、ハイコントラストで表示することで、見や すくすることができます。

【動くことを補助する例:コンピュータを利用した計算練習】

運動に困難のある子どもにとって、学習課題として計算を行う場合、文字を書くことに多くの 労力を要し、計算練習そのものが効率よく進められないことがあります。このような場合、キー ボードの操作が可能であれば計算に集中できる効果が期待できます。

写真は、表計算ソフトで作成したかけ算の練習ソフトで、九九の練習を行っている様子です。

計算が正答の場合は、すぐに色が変わるようにし、また視線を安定させるために、選択されてい る問題部分を強調する工夫をしています。

この教材は、本センターがインターネットで提供してい る「シーガルキッズ」のコーナーで提供しています。

しかし、ソフトウェアの工夫だけでは十分な支援とはい えません。キーボードを利用しやすいように、ユーザー補 助機能で、キーリピート(キーを押し続けると連続して入 力される機能)を解除したり、片手で操作できるように固 定キー(Ctrl 、Alt または Shift キーを押すと、別のキー を押すまでアクティブな状態になる機能)を設定したりす ることで、誤操作を減らし、学習効果を高めることができ ます。また、コンピュータの設定以外でも、姿勢や手の位 置を保持する支持具などが有効な場合もあります。

青空文庫のページ

ハイコントラスト(黒地に白文字)

コンピュータを利用した計算練習

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(2)楽しく効果的な学習を進めるための教具として

楽しく効果的な学習教材としてITを活用する場合の特徴に、マルチメディアの活用とインタラ クティブ(相互方向的、対話的)な関係があります。つまり、音、画像、テキストなどを総合的に 提示することで、認知や理解を補助します。また、自分から機器を操作し、それに対して反応が返 ってくることで、操作と結果の因果関係を体感し、外部に対して働きかける意欲を育てることがで きます。このような教材の活用でも、操作するための支援機器の利用、姿勢の保持、理解しやすい 表示といった配慮が必要です。

例としては、プレゼンテーションソフトを利用した修学旅行、校外学習などの事前学習や電子絵 本の活用等があります。また、インターネットでは、知育ゲームのように教材として活用できるW ebページがあります。本センターでも、支援教育向けコンテンツとして「シーガルキッズ」を掲 載しています。(http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/sien/seagull_kids/seagull-title.html)

(3)社会生活を豊かにする参加メディアとして

インターネットを利用した学習は、病気や運動などによる制約のために移動が困難な子どもにと って、手軽に情報に触れる手段となります。読むことに困難がある場合は、ニュースなどのWeb ページを音声読み上げソフトで読むことで、迅速に情報を得ることができます。このように、移動 や活動の制約があってもインターネットの利用は可能であり、情報を得るための機会を提供します。

しかし、利用しにくいコンテンツもあります。例えば、画像だけでは、視覚に障害がある人にと って内容を理解することは困難です。この場合は、代替テキストの提供といった工夫をしなければ なりません。つまり、情報を提供する側の配慮によってバリアフリーが実現し、障害のある人が情 報化社会へ参加することができるのです。

また、社会参加やコミュニケーションの手段として、電子メールがあります。電子メールは、様々 な入力支援機器を利用して作成することができ、時間をかけて自分の考えをまとめることが可能で す。「切手を貼る」「投函する」といった動作の制約もなく、同時に複数の相手に送ったり、記録が 残ること、都合のよい時に書いたり読んだりできることが特徴です。

【インターネットを利用した学習の例:ふりがな機能をもったブラウザの活用】

Webページを使った学習を行う場合、漢字 の読みでつまずく場合があります。図は、学習 の段階に応じてWebページの漢字にふりがな を付けるソフトウェアの例です。

このソフトウェアは、ふりがなだけでなく、

文字のサイズ、色、フォントの指定を、読みや すい設定に変更できます。また、音声による読 み上げと読み上げ箇所のハイライト表示が可能 であり、視覚での読み取りを聴覚で補助するこ とができます。

さらに、画面を印刷した場合、ふりがな付きで印刷できるので、コンピュータのないところで も活用することができます。

ふりがな機能をもったブラウザの例