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学ぶ楽しさの実感と自ら学ぶ意欲の向上

ITを活用した学習の視点と教材例

3  学ぶ楽しさの実感と自ら学ぶ意欲の向上

観察や実験などの体験的、問題解決的な学習へのITの活用には、直接見たり体験したりすることが 困難な内容を実感に近い形でシミュレーションしたり、豊富な情報を活用することができるなど、児 童・生徒に、学ぶ楽しさを実感しながら知的好奇心や探究心を持った意欲的な学びを促し、達成感をも たらすなどの効果があります。

(1)直接体験が困難な内容のシミュレーションによる、動きのある授業の実現(学ぶ意欲を引き出す)

観察や実験などの作業的、体験的な活動へのITの活用は、長時間にわたる変化、ミクロやマク ロの現象など、児童・生徒がその実物や変化の様子を直接体験したり観察したりすることが困難な 内容を、シミュレーションにより実感に近い形で示し,動きのある授業の実現を可能とするなど、

学ぶ意欲を引き出すために非常に有効なものです。

たとえば、

① 社会・地理歴史・公民の学習において、世界の国々の地理的特色、各時代の日本人の生活や 文化の様子などを動画や画像で示すことにより、より広い視野から多面的に考察させる。

② 理科において、天体の動き、地震のメカニズム、細胞の機能や分子の働きをシミュレーショ ンで示すことにより、観察や実験が難しい自然現象などの理解を深める。

などの活用が考えられます。

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【技術・家庭科の例/リンク機構のシミュレーション】 

中学校技術・家庭科の機械領域で扱うリンク装置の学習では、平面上の図による説明だけでは、

その仕組みや、クランクの長さを変えたときの動作の違いなどをイメージ化しにくく、動きを伴 った説明ができると効果的です。リンク機構をもつ実物の機械を用いて説明するのは困難ですし、

模型を製作して説明することも考えられますが、違いを観察するためにはいくつかの長さのクラ ンクを製作しなければならないなど、多くの時間と費用を必要とします。また、模型を使って、

生徒が動き方の記録を取るためには、数人のグループに一台の模型が必要になります。

こうした場面でITを活用し、ソフトウェアでその動きをシミュレーションすることによって、

学習を効果的なものとできます。学習用ソフトウェアには、多くの機能をもつ市販ソフトウェア も販売されていますが、Web上で公開されている無料のフリーソフトウェアを使うのもひとつ の方法です。

     ここでは、当センターで開発した、リンク機構シミュレータ

(http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/LinkWeb/)をダウンロードして活用します。このソフ トウェアでは、画面上にロッドやピストンなどの部品を配置してシミュレーションできることか ら、教師がこのソフトウェアを使ってリンク機構

の仕組みやその動作の特徴の説明ができるばかり でなく、生徒が操作して、様々な条件でどのよう な動きをするのかの記録を取れるなど、実際に模 型を用いて学習するのと同様の学習効果が期待で きます。

     実際には動いているところを見ることができな い4サイクルエンジンの動きに関連付けて説明し たり、生徒に考察させたりすることによって、生 徒の興味関心を高めることができます。

授業で使えるフリーソフトウェアは当センター

ホームページの他Vector(http://www.vector.co.jp/)や窓の杜(http://www.forest.impress.co.jp/)

などのソフトウェアを扱ったWebサイトやプロバイダのソフトウェア紹介のページで検索する ことができます。Web上からソフトウェアをダウンロードして使用するときには、使用条件・

動作環境などを十分確認する必要があります。

【理科での例/3D分子構造モデル】

有機化合物の学習は、数多くの有機化合物の名称、分子 式、立体的構造、物理的性質、化学的性質などを系統立て て学習する必要があり、多くの生徒にとって、理解が不完 全となりがちな学習分野です。

特に、分子の立体構造は、平面の黒板などでは表現しに くいため、その正確なイメージを生徒に定着させるのは困 難な場合があり、分子模型の活用など、立体構造を提示す ることは有効なことです。

ここで紹介する分子構造データベースは、本センターで

分子構造データベース リンク機構シミュレータ

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開発したもので、コンピュータ上での簡単な操作で、各種の有機化合物の分子について、その立 体構造、物理的性質、化学的性質などをコンピュータ画面上に表示し、確認することができるも のです。また、マウスによる簡単な操作で、有機化合物の立体構造を自由に回転させたり、原子 間の結合角度や結合距離を求めたりすることもできます。

さらに、立体構造を拡大表示することもできるため、プ ロジェクタで投影することで、授業における提示型教材と しても利用することができます。

この分子構造データベースは、本センターのWebペー ジで提供しているので、学校での利用のほか、生徒の自宅 での振り返り学習や調べ学習、発展的な学習で利用するこ ともできます。

ま た 、 さ ら に 詳 細 な 化 合 物 情 報 の 提 供 を 目 的 に 、

Windows アプリケーションソフト

ウェアによる分子データベースの提 供も行っており、このソフトウェア では、分子式、立体的構造やより詳 しい物理的性質、化学的性質などに 加え、一部の分子については、マス スペクトルや赤外線吸収スペクトル などを見ることができ、より発展的 な学習での利用が可能となっています。

ここで紹介した分子構造データベースは、本センターのWebページ

(http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/it/)で利用したり、ダウンロードしたりすることができ ます。

【理科での例/コンピュータオシロスコープ】

音の学習における波形の観測や音源との位相差による音速の測定などの実験では、オシロスコ ープが必須の測定器ですが、高価なため、学校で、十分な台数の整備が困難であることがありま す。

この場合、コンピュータのオーディオ機能を活用したオ シロスコープソフトウェアの利用は、少人数の実験班、あ るいは、個人毎に音の波形を観測することができるなど、

個に応じた効果的な観測実験を可能にします。

本センターでは、中学校での音の波形の観測を目的とし た簡易コンピュータオシロスコープと高等学校での高度 な活用を目的とした2現象型の高機能コンピュータオシ ロスコープとを開発し、提供しています。

これらのコンピュータオシロスコープは、コンピュータのオーディオ入力(マイク又はライン)

から入力される信号の波形をリアルタイムで表示するソフトウェアで、感度や掃引時間を調整す 簡易コンピュータオシロスコープ 分子構造データベースの拡大表示画面

アプリケーション版分子構造データベース

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ることができ、また、手動でトリガをかけ、波形を停止した状態で観察することができます。観 測可能な周波数範囲は、コンピュータのオーディオ機能に依存しますが、概ね、20,000Hz までは 可能です。 

また、高機能型は、オーディオのステレオ機能を利用し て、2現象の観測が可能となっていることに加え、正弦波 表示やカーソル機能による2波形の位相測定機能などを 有しています。

【利用事例】

① 波形の観測(簡易版) 

(1) 音源から 30cm 程度離れた位置にマイク1を接続したPC1をセットします。 

(2) 音源から 60cm 程度離れた位置にマイク2を接続したPC2をセットします。 

(3) PC1とPC2で、簡易版オシロスコープを起動します。 

(4) PC1とPC2で起動した簡易版オシロスコープの垂直感度と掃引時間を同一にセッ トします。 

(5) 音源から音を出して、波形 を観測します。 

(6) PC2(音源からの距離が 遠い方)の振幅が小さいこ とが観測できます。 

 

② 波形の観測(高機能版でステレオマイクを利用) 

(1) 音源から 30cm 程度離れた位置にマイク1を、60cm 程度離れた位置にマイク2をセット し、PCのステレオマイク入力に接続します。なお、PCによっては、ステレオマイ ク入力に対応していない場合もありますので注意してください。 

(2) PCで、高機能版オシロスコープを起動します。 

(3) 起動した高機能版オシロスコープを DUAL チャンネルモードとし、両チャンネルの垂直 感度と掃引時間を同一にセットします。 

(4) 音源から音を出して、波形を観測 します。 

(5) 音源から遠い方の振幅が小さく、

音が減衰していることがわかり ます。 

 

③ 波形の合成(簡易版で音源を2個利用) 

(1) 周波数の異なる音源を2個用意します。 

(2) 音源から 30cm 程度離れた位置にマイクを接続し たPCをセットします。 

(3) PCで、簡易版オシロスコープを起動します。 

高機能コンピュータオシロスコープ

PC1 PC2