△:h=10cm
一30 −40 −50 −60
印加電圧波高値Vm
一70 −80
(kV)
(b)実験4(心線と下部電極に同一電圧を同時に印加)
図5−1!
印加電圧波高値一沿面放電進展長特性 (正極性沿面放電)化させたときのV。と沿面放電進展長Lの関係を示す。また、 (b)は、
下部電極と心線に同一電圧を同時に印加した場合(実験4)であり、h
=10cmのときのV。と沿面放電進展長Lの関係を示す。各測定点は、10 回の測定の平均値であり、進展長のばらつきは、放電(実験3)のh=
960
ご
■40
叫
蝿20料 鯉 嵩 史
厘0
△:h=10cm
○:h=75cm
A
30 40 50 60
印加電圧波高値Vm
70 80
(kV)
(a)実験3(下部電極を接地)
160
140
( 120目
O
哨 蝿 斜 鯉 嵩 層 史
100
80
60
40
20
△:h二10cm
0 30 40 50 60
印加電圧波高値Vm
70 80
(kV)
(b)実験4(心線と下部電極に同一電圧を同時に印加)
図5−12
印加電圧波高値一沿面放電進展長特性(負極性沿面放電)
75cmのときのA点のみ約±30%、それ以外ではすべて約±10%であっ た。同図(a)より、放電(実験3)では、hが減少すると、ほぼすべ てのV、で進展長が減少することがわかる。これは、電線表面電界の増 大によって、進展長が短くなることを意味している。また、h=75cm の場合の進展長は、V。=50kVを境にして急変点Aが存在するが、h=
10cmでは、明確な急変点が現れない。これは、後述(5.3.5(2))
されるように、h=10cmの場合の放電様相が、常に電線表面からジャ
ンプするようになるためである。図5−12(a)と(b)より、h=
10cmのときの放電(実験3)と放電(実験4)を比較すると、すべて のV。で放電(実験4)の進展長の方が長くなっている。さらに、h=10
cmのときの放電(実験4)の進展長は、h=75cmのときの放電(実
験3)と比較しても、Vm>50kVにおいて長くなっており、放電(実験 3)で見られる進展長の急変点Aも存在しない。これらより、負極性沿 面放電の進展長は電線表面電界の影響を著しく受けることがわかる。5.3.5 沿面放電の進展様相に及ぼす
ここで、沿面放電の進展長を進展様相(イメージインテンシフアイヤ 付き静止カメラによる写真)の面から検討する。
(1)正極性沿面放電
図5−13は、正極性沿面放電(実験3)におけるバインド線先端の 様相を示す。これは、h:75cm,V。=一80kVのときで、進展長は47
Cmである。このとき、放電は電線表面をジャンプしながら進展してい
バインド線
\絶縁電線
]
1cm
バインド線先端の様相
h=75cm,L=47cm
図5−13 正極性沿面放電の進展様相
(実験3:下部電極を接地、V。=一80kV)
る。正極性沿面放電は、放電(実験3)において、hを変化させてもバ インド線先端、進展途中、及び放電先端において、様相の変化は見られ なかった。また、放電(実験3)と(実験4)においても、様相に差は 見られなかった。これらより、正極性沿面放電は、電線表面電界の影響
を受けず、常に電線表面をジャンプしながら進展していくものと考えて
よい。
(2)負極性沿面放電
図5−14(a)、 (b)は放電(実験3)におけるバインド線先端
の様相を示す。同図(a)より、h:75cmでは、バインド線先端にお
いて、放電は電線表面に密着している。しかし、(b)より、h=10cm では、バインド線先端において、電線表面からジャンプしていることが わかる。すなわち、放電(実験3)では、hの値が減少し、電線表面電界が大きくなると、V、≧50kVの範囲でh:75cmのときに放電先端
]
バインド線 1cm
]
1cm(a)h=75cm,L二13cm (b)h:10cm,L=12cm
図5−14
負極性沿面放電の進展様相(バインド線先端)(実験3:下部電極を接地、V。:80kV)
でのみ見られるジャンプ現象が、バインド線先端においても見られるよ
うになる。このため、図5−12(a)で示されるようにhが小さくな
るにつれて、ほぼすべてのV。で進展長が減少することになる。
図5−15(a)〜(c)は放電(実験3)、及び放電(実験4)に
おける放電先端の様相を示す。同図(a)と(b)を比較すると、放電(実験3)において、h=75cmでは、放電先端で電線表面に密着して いる部分も見られるが、hが小さくなると、放電先端では飛散的なジャ
ンプ現象のみとなっていることがわかる。図5−14(b)、及び図5
−15(b)より、負極性沿面放電(実験3)は、hが小さくなり・電
線表面電界が大きくなると、バインド線先端から放電先端までのすべて の部分において、電線表面からジャンプするようになると言える。この ようなジャンプ現象の起こる原因についての手がかりを得る目的で、放1cm
(b)h:10cm (c)h:1Ocm
L:12cm L=150cm
図5−15 負極性沿面放電先端の様相
(実験3:下部電極を接地((a),(b))、
実験4:心線と下部電極に同一電圧を同時に印加(c)、
Vm=80kV)
電終了後に電線表面に残存する電荷を、表面電荷図形(イオウ粉末90%
と赤鉛10%の混合粉末による)によって調べた。その結果、ジャンプ現 象が発生した場合の電荷は、ジャンプ現象が生じない場合よりも正電荷
(正イオン)が少ないという傾向が見られた。これは、放電先端の衝突 電離によって発生した正イオンが、電線表面電界により非常に大きな力 を受け、放電の至る部分で電線表面から遠ざかろうとしていることを示 している。すなわち、hが小さいときは電線表面電界が大きく、正イオ ンは電線の軸と垂直の方向に大きな力を受け、放電先端へは吸収されず に電線の周囲の空間へ拡散する。そのため、放電先端の正イオンは減少 し、放電内部の抵抗が増大してバインド線先端から十分な電子を供給で
きなくなる。従って、hが小さくなると、図5−12(a)のように、
h=75cmのときよりも進展長が減少するものと考えられる。また、図
5−15(c)より、放電(実験4)では、V。=80kV,h=10cm
のとき、放電先端はジャンプせず、電線表面に密着している。この現象
は、放電(実験3)のV。=80kV,h:75cmのときに、放電先端で
常にジャンプ現象が現れることと大きく異なっている。このため、放電
(実験4)では、図5−12(b)のように、V。の上昇とともに進展
長は単調に増加していくことになる。
5.3.6 電線表面電界と沿面放電進展長、進展様相の関係
(1)電線表面電界の計算
実験3と4における電線表面電界E。について考える。実験3におい
て、バインド線付近では、接地されたバインド線、電線の被覆、心線、空気、及び接地された下部電極からなる複合的な電極構成となるため、
電線表面電界を正確に求めるのは困難である。しかし、負極性沿面放電 先端において、放電形態が密着型からジャンプ型へと変化するのは、バ インド線先端から十分離れた位置であるため、負極性沿面放電に影響を 及ぼすような電線表面電界の考察は、そのような位置について行えばよ い。そのため、ここでは、バインド線の存在を考慮外として電線表面の 電界分布を求めた。実験3と4では、下部電極が存在するため、計算モ デルを第3章で考察したような大地、空気層、電線被覆、及び心線から なる同軸円筒電極系として考えることはできない。そこで、電線表面電 界の導出法として、表面電荷法を用いた数値計算を行った。表面電荷法 とは、境界面上(今回の実験では、心線、下部電極、及び大地を模擬し
た銅板)に電荷密度を仮定し、その大きさが境界条件(心線電位、下部 電極の電位、及び大地を模擬した銅板の電位)を満足するように定め、
得られた電荷分布より電界を求める方法である。表面電荷法の詳細、及 び使用したプログラムのフローチャートについては、章末の付録に記す。
図5−16(a)〜(c)は、電線表面電界E。の計算例を示す。こ
れらは、電線表面電界の向きと大きさをベクトルにより表したものである。同図(a)は、実験3において、V。=50kV,h=75cmの場合
のE。の分布を示す。この場合、電線周囲の電界はほぼ一定で、E。=16.6
kV/cmとなる。この値は、第3章3.3.2で考察したジャンプ現象 開始電界Ejに相当する(ただし、第3章では、Ej≒19kV/cmであ
ったが、これは、実験系を同軸円筒電極として近似したための誤差によ る)。また、V。=80kV,h=75cmの場合は、E、=26.5kV/cmとなる。
(b)は、実験3において、V。:80kV,h=10cmの場合のE。の分布
を示す。このときは、下部電極の影響により電線下部の電界の方が電線 上部より若干強くなる。沿面放電は、電線の上部を進展していくため、沿面放電に影響を与える電界は、電線上部の電界と考えるのが妥当であ り、この場合は41.7kV/cmである。これらより、V。=80kVで、10
≦h≦75cmの変化に対して、E。の変化幅は、26.5≦E。≦41.7kV/cm
となる。 (c)は、実験4において、V、=80kV,h:10cmの場合
のE。の分布を示す。この場合は、下部電極の影響により(b)の実験3の場合よりE。は減少する。また、電線上部の電界の方が、電線下部 のそれより大きくなる。
(2)電線表面電界と沿面放電進展長及び進展様相の関係
図5−17は、実験3と4に対して、hをパラメータとした場合のV。
16.6kV/cm
電線上部
。○
h電線ド部
〉
75
C rα
下部電極
大地 (a)実験3
Vm=50k V h=75c m
41.7kV/c㎜
46.5kV/cm
(b)実験3
Vm=80kV,h=10cm
8.2kV/cm
4.8kV/cm
(c)実験4
Vm=80kV,h=10cm
図5−16
電線表面電界の計算例(実験3,4)50
8
\40>0
5
幸30
■
峠20鯉 屈 繁梢10
鯉
0
:実験3
一一一一一一 F実験4
一一一 F実系統 ジャンプ現象開始電界E
/ j
/
/......_
h=10cm
h=75cm
一一一
^一
111
。=1000.m・ @ h=10cm
10 20 30 40 50 60
印加電圧波高値Vm (kV)
70 80
図5−17
印加電圧波高値と電線表面電界の関係 (実験3,4)とE。の関係を示す。また、参考のため、実系統のV。とE。の関係を一 点鎖線で示した。ここで、E。は表面電荷法により求めた電線上部の電
界を表す。図5−12(a)より、実験3のh=75cmにおける負極性 沿面放電の進展長特性は、V。=50kVのA点において進展長が急変す
る。これは、この電圧による電線表面電界を境にして、負極性沿面放電 先端の形状が、密着型からジャンプ型へと変化するからである。このと
きの電線表面電界は、図5−16(a)よりE。≒17kV/cmとなり、
この値は負極性沿面放電のジャンプ現象開始電界Ejに相当する。E。=
Ejとなったとき、負極性沿面放電は電線表面でジャンプし始めるよう になり、進展長が減少し始める。進展長のこの減少傾向は、放電先端で 異なる二つの放電形態の発中頻度に関連している。このことは、第3章 において、放電先端における密着型とジャンプ型様相の発生頻度がV。
によって異なることから説明されている。