40
20
○:心線電圧印加(実験1)
△:バインド線電圧印加(実験2)
A
ひ\一㏄
0 30 40 50 60 70 80
印加電圧波高値Vm (kV)
図5−4
印加電圧波高値一沿面放電進展長特性 (負極性沿面放電)(2)負極性沿面放電
図5−4は、心線、またはバインド線に電圧を印加した場合における V。と沿面放電進展長Lの関係を示す。横軸のV。の値は、絶対値を示し ている。各測定点は、10回の測定の平均値である。進展長のばらつきは、
バインド線に電圧を印加した場合に約±10%であった。また、心線に電 圧を印加した場合には、V。=50kVのとき約±30%、それ以外のV。で は約±10%であった。放電(実験1)の進展長は、V。≦50kVにおい て、V。の上昇とともに単調に増加し、V。;50kVで進展長が最大とな
る。その後、Vm>50kVでは次第に減少する。一方、放電(実験2)
の進展長は、Vmの上昇に伴って単調に増加し、特に、V。≧40kVでの 進展長は、放電(実験1)とは非常に異なった特性を示す。例えば、Vm
=80kVでは、放電(実験2)の進展長は、放電(実験1)のそれの約 11倍となっている。また、V。≦40kVでは、放電(実験2)と放電(実 験1)の進展長はほとんど等しい。さらに、V。=50kVにおける進展長 は、放電(実験2)の方が放電(実験1)よりわずかに長くなっている。
これらの理由については、後節5.3.2で詳述する。
また、図5−3と図5−4を比較すると、放電(実験1)の場合、V。
≒65kVにおいて、正極性沿面放電と負極性沿面放電の進展長の逆転が 見られる。一方、放電(実験2)では、負極性沿面放電の進展長の方が 正極性沿面放電よりも常に長くなっている。
5.3.2 沿面放電の進展様相
図5−5、及び図5−6は、バインド線に電圧を印加した場合(放電
(実験2))における正極性、及び負極性沿面放電の典型的な進展様相 をそれぞれ示す。これは、静止カメラにイメージインテンシフアイヤを装 着することにより撮影されたものである。面図はともにバインド線先端
から20cmの位置における進展様相である。図5−5は、正極性沿面放 電(実験2)の進展様相を示し、V。=70kV、進展長は29cmであっ
た。沿面放電は電線表面からジャンプしながら進展しており、正極性沿 面放電(実験1)で得られる進展形態と同様であった。図5−6は、負 極性沿面放電(実験2)の進展様相を示し、V。=一70kV、進展長は116
Cmであった。沿面放電は電線表面に密着して進展し、電線側面に細い 筋状の放電が認められる。これは、負極性沿面放電(実験1)の放電先
バインド線 沿面放電 〆
\ 絶縁電線
」 1cm
進展途中の様相
(バインド線先端より20c mの位置)
V㎜=70k V,L=29c m
図5−5 正極性沿面放電の進展様相 (実験2:バインド線に電圧印加)
バインド線 沿面放電 〆
\ 絶縁電線
] 1cm
進展途中の様相
(バインド線先端より20c mの位置)
V㎜:一70kV,L=116c m
図5−6 負極性沿面放電の進展様相 (実験2:バインド線に電圧印加)
]
1cm沿面放電
]
1cm
バインド線
絶縁電線
(a)バインド線に電圧印加 (b)心線に電圧印加 (実験2) (実験1)
Vm=70kV,L=30cm V四=一70kV,L=28cm
図5−7 正極性沿面放電先端の様相
端以外の部分で見られた様相と同様である。すなわち、進展途中におけ る負極性沿面放電の進展様相は、バインド線、心線のいずれに電圧を印 加しても変化しないことがわかる。
図5−7(a)、 (b)は正極性沿面放電の(実験2)と(実験1)
における放電先端の典型的な様相を示したものである。同図(a)は、
バインド線に電圧を印加した場合で、V。=70kV、進展長は30cmで
あった。また、 (b)は、心線に電圧を印加した場合で、V。:一70kV、
進展長は28cmであった。面図より正極性沿面放電先端では、バインド 線、心線のいずれに電圧を印加しても、放電先端は電線表面からジャン プしていることがわかり、進展様相に相違は見られない。すなわち、正 極性沿面放電では、放電(実験2)、放電(実験1)のいずれもバイン ド線先端から放電先端まで電線表面をジャンプしながら進展し、両者に は進展様相の相違が認められない。これが、図5−3に示された正極性
]
1cm汽
絶縁電線
(a)バインド線に電圧印加 (b)心線に電圧印加 (実験2) (実験1)
V皿=一70kV,L=115cm Vm=70kV,L=18cm
図5−8 負極性沿面放電先端の様相
沿面放電の進展特性において、放電(実験2)と放電(実験1)に相違 が現れない理由である。
図5−8(a)、 (b)は、負極性沿面放電の(実験2)と(実験
1)の放電先端の典型的な様相を示したものである。同図(a)はバイ ンド線に電圧を印加した場合で、V。=一70kV、進展長は115cmであ った。また、 (b)は心線に電圧を印加した場合で、V。=70kV、進展 長は18cmであった。 (a)より負極性沿面放電(実験2)の放電先端 は、電線表面に密着していることがわかる。一方、 (b)より負極性沿 面放電(実験1)の放電先端は、V。≧70kVにおいて常にジャンプし ている。バインド線に電圧を印加した場合における負極性沿面放電(実 験2)は、V。の値に関わらず、常に電線側面に細い筋状の放電を伴い ながら電線表面に密着して進展し、その密着状態は、放電先端まで連続 し、決してジャンプすることはない。負極性沿面放電が進展するためには、放電先端が電線表面に密着していることが重要である。負極性沿而 放電(実験2)は、Vmの値に関わらず、放電先端が常に電線表面に密 着している。このため、進展長はV、の上昇に伴って単調に増加し、負 極性沿面放電(実験1)の場合に見られるような進展長の急変点A(図
5−4)は現れない。負極性沿面放電(実験1)の放電先端は、V。≦40 kVの電圧範囲で常に電線表面に密着しているため、図5−4のように、
放電(実験2)と放電(実験1)の進展長は等しくなる。V。=50kV
では、負極性沿面放電(実験1)において放電先端が電線表面からジャンプして進展長が短くなるような先端ジャンプ型がほぼ50%含まれてい る。そのため、進展長の平均は、放電先端が常に電線表面に密着する負 極性沿面放電(実験2)より(実験1)の方がわずかに短くなる。また、
V。≧60kVでは、負極性沿面放電(実験1)において、先端ジャンプ
型の発生割合が増す。従って、負極性沿面放電(実験1)の進展長は、進展長の長い先端密着型のみが存在する負極性沿面放電(実験2)より
も短くなる。
図5−9(a)〜(c)はバインド線、または心線に電圧を印加した
場合における正極性、及び負極性沿面放電の進展様相を模式的に示したものである。同図(a)は正極性沿面放電(実験2)、及ぴ(実験1)
の場合である。放電はバインド線先端から放電先端まで常にジャンプし ながら進展し、電圧をバインド線、心線のいずれに印加してもその進展 長、進展様相は変化しない。 (b)、 (c)はそれぞれ負極性沿面放電
(実験2)、及ぴ(実験!)の様相の模式図である。 (b)に示す放電
(実験2)の様相は、V。の値に関わらず、バインド線先端から放電先 端まで常に電線表面に密着しており、電線側面に細い筋状の放電を伴っ ている。一方、放電(実験1)は、 (c−1)と(c−2)に示すよう
バインド線
↓
(a)正極性沿面放電
(実験2及ぴ1:バインド線または心線に電圧印加)
(b)負極性沿面放電
(実験2:バインド線に電圧印加)
(c−1)先端密着型
一漆へ蜘1 亨導/
(c−2)先端ジャンプ型 (C)負極性沿面放電 (実験1:心線に電圧印加)
図5−9 沿面放電進展様相の模式図
(バインド線または心線に電圧印加)
に、放電先端の形態は、Vmの値によって先端密着型と先端ジャンプ型 の2種類に分類される。
有限半径を有する電線では、沿面放電(実験2)と(実験1)のいず れにおいても、電線表面の電界は、放電進展に伴って牛じる電線表面の 帯電電荷によって変化する。しかし、放電(実験1)では、それ以外に、
心線に印加されたインパルス電圧の時間的変化に伴って変化する電界が 電線表面に生じ、そのため電線表面上を進展する沿面放電は、その電界 変化の影響を受けることになる。V。が低いときは、心線電位による電 線表面電界も小さいため、負極性沿面放電(実験1)はその影響を受け ず、放電先端は電線表面に密着し、進展長、進展様相とも放電(実験
2)と同様になる。一方、V。が高くなると、心線電位による電線表面 電界も大きくなるため、負極性沿面放電(実験1)は、その影響によっ て、放電先端が電線表面からジャンプし、進展長は放電(実験2)より
短くなる。
放電(実験2)では、心線を接地し、バインド線に電圧を印加してい るため、電線表面の電界は、沿面放電が進展した部分のみ変化する。従 って、沿面放電は、外部からの電界によって影響を受けることはない。
このように心線に電圧を印加した場合には、心線電位の変化に伴う電線 表面電界の変化が沿面放電に影響を及ぼし、それが誘導雷の侵入による 電線表面の沿面放電現象を一層複雑にする原因となっている。
図5−10(a)〜(e)は、V。=80kVでの各時刻、各裁断電圧
値における負極性沿面放電(実験1)の典型的な放電先端の様相を示す。
バインド線
]
1Cm(a)t。=〇一3μs,V。=147kV,(b)t、=0一価μs,V。=40−1kV,
L=0cm Ec=15.3kV/cm,L=3.8cm
(c−1)L=11cm (c−2)L=10cm
(c)t。=〇一85μs,Vc=50.7kV,Ec=19.4kV/cm
(d−1)L=14cm (d−2)L=12cm
(d)to=O.9μs,Vc=62.7kV,Ec=24.0kV/cm
Vc
(e)t。=1.6μs,V。=73.4kV,
Ec=28−1kV/cm,L=18cm tC
裁断電圧波形
図5−10 負極性沿面放電先端における放電様相の推移
(実験1:心線に電圧印加、先端ジャンプ型、V。:80kV)