第 4 章 除染事業の実施
4.3 除染工事の工法
4.3.2 除染技術の詳細(除染特別地域の使用方法・条件等)
除染特別地域における主な除染技術の詳細(使用方法、条件等)を以下に示す。
(1) 住宅地等、学校、公園、大型施設、道路 1) 地面・建物表面等
①堆積物の除去
概要 住宅地等、学校、公園、大型施設の屋根・屋上、雨樋(軒樋)、庭・グラウンド 等、道路の舗装面、未舗装面、歩道橋、街路樹などを対象として、落葉、苔、泥 等の堆積物除去を行う。
除染の実施方法 ・落葉、苔、泥等の堆積物を、ゴム手袋をはめた手やスコップ、ホウキ又はブラ シ、熊手等で除去し、大型土のう袋に袋詰めする。
・屋根の材料が破損しやすい場合は、直接屋根に乗らないようにし、高所作業車 等からモップ等を用いて堆積物の除去を行う。
必要な用具・機器 等
・ゴム手袋、ホウキ、ブラシ、熊手等
・ダンプトラック(積載質量2t積み) 前提条件・制約条
件・適用条件
・除染作業による汚染の拡散を考慮し、例えば住宅地等を対象とする場合には、
屋根、雨樋、庭等の順に除染を行う。
・事故後初めて除染する箇所については、事故当時の堆積物なのか、堆積物が事 故後の落葉等なのかをよく確認して作業する。
・堆積物の除去は、線量レベルが高い場所において特に有効である。
・線量レベルの高い箇所から除染する。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・機械化が困難であるため、人力作業が主となる。
・屋根上の作業においては、墜落災害防止措置(親綱、安全帯)が必要である。
②拭き取り
概要 住宅地等、学校、公園、大型施設の屋根・屋上、外壁・塀、雨樋、道路のガード レール、歩道橋などを対象として、拭き取りを行う。
除染の実施方法 ・水等(中性洗剤、酢酸を含む)によって湿らせたウエス等を用い、折りたたん だ各面を使用して追加的な実施によっても表面汚染密度がおおむね低下しな くなる状態になるまで丁寧に拭き取る。
・汚染の再付着を防止するため、一拭きごとに新しい面で拭き取る。
・除去が困難な苔や泥などの付着物や、目視等で確認できる汚れがひどい部分に ついては、対象物の材料を傷つけないブラシ等を用いて丁寧に除去する。
・外壁・塀、ガードレールは、ウエス等の代わりに、対象物の材料を傷つけない ブラシ(洗車用ブラシ、デッキブラシを含む)等を用いて、乾いた状態で丁寧 に除去する。
必要な用具・機器 等
・ウエス等
・ブラシ(洗車用ブラシ、デッキブラシを含む) 前提条件・制約条
件・適用条件
・再汚染を防ぐため、高い位置から低い位置の順で拭き取りを行う。
・錆が存在する場合には、拭き取り等により錆そのものを除去する。
・雨樋への適用については、線量レベルの高いエリアにおいて有効である。
・低線量エリアの屋根等の拭き取りについては、線量低減効果が得られにくい。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・拭き取りに使用したウエス等には、放射性セシウムが付着している可能性があ るため、直接手で触れないようにする。
・高所においては、足場や高所作業車を要する。
・拭き取り作業は、壊れやすい対象物が多く、人力での作業が主体となる。
・屋根上の作業においては、墜落災害防止措置(親綱、安全帯)が必要である。
・屋根に関しては、表面が粗な箇所に関しては乾いたブラシにて洗浄することも 有効である。
③ブラシ洗浄
概要 住宅地等、学校、公園、大型施設の屋根・屋上、外壁・塀、庭・グラウンド等の 舗装面、コンクリート、アスファルト、道路のガードレール、歩道橋などを対象 として、ブラシ等を用いた洗浄を行う。
除染の実施方法 ・デッキブラシやタワシにより追加的な実施によっても表面汚染密度がおおむね 低下しなくなる状態になるまで丁寧に洗浄する。
・ブラッシングの前に水を4L/m2程度かけ、ブラッシングの後も同様に水4L/m2 程度によって洗い流す。
・洗浄水の排水経路はあらかじめ清掃して、スムーズな排水が行えるようにして、
排水は雨水桝等で回収する。回収した排水は、現場内又は近傍の排水処理施設 まで運搬する。
必要な用具・機器 等
・デッキブラシ、タワシ等
・散水車(タンク容量3,800L)、水
・排水回収のための仮設等 前提条件・制約条
件・適用条件
・再汚染を防ぐため、高い位置から低い位置の順でブラシ洗浄を行う。
・茅葺や瓦の屋根を対象とする場合、回転ブラシは適さないため、使用しない。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・高圧水洗浄が適用できない狭隘部や壊れやすい屋根等に適用する。
・コンクリート擁壁等・庭石等の構造物に対して有効な方法である。
・屋根上の作業においては、墜落災害防止措置(親綱、安全帯)が必要である。
2) 舗装面等
①高圧水洗浄 (1/2) 概要 住宅地等、学校、公園、大型施設の屋根・屋上、外壁・塀、雨樋、庭・グラウン ド等の舗装面、コンクリート、アスファルト、道路の舗装面、ガードレール、歩 道橋などを対象として、高圧水洗浄機を用いた洗浄を行う。
除染の実施方法 ・堆積物がある場合は、あらかじめ除去する。
・雨樋は、壊さないように、高圧洗浄機を用いて、原則として5MPa以下、2L/m2 程度の高圧水で洗浄する。
・屋根や屋上は、高圧洗浄機を用いて、原則として15MPa程度、20L/m2程度の高 圧水で洗浄する。
・舗装面は、吸引式高圧洗浄機を用いて、原則として20MPa程度、20L/m2程度の 高圧水で洗浄する。
・洗浄効果を得るために被洗浄物に噴射口を近づける(20cm程度)とともに、適 切な移動速度で洗浄する。
・洗浄水の排水経路はあらかじめ清掃して、スムーズな排水が行えるようにして、
排水は雨水桝等で回収する。
・回収した排水は、現場内又は近傍の排水処理施設まで運搬する。
必要な用具・機器 等
・散水車(タンク容量3,800L)、水、給水タンク(1m3ポリエチレン製)
・高圧洗浄機(モーター駆動、出力18kw 3.7kw)
・吸引式高圧洗浄機(吐出圧20.5Mpa、真空ポンプ)
・側溝清掃車(ブロア式、ホッパ容量3.1m3、風量20m3/min)
・発動発電機(定格容量17/20kvA、排対型(1次))
・排水回収のための仮設等
・工事用水中モーターポンプ(口径50mm、全揚程20m)
・回転吸引除去装置(φ300、φ450)
・クレーン付きトラック(2t積み、2.9t吊り)
・汚水フィルター(200L)、汚水タンク(1m3ポリエチレン製)
(2/2)
前提条件・制約条 件・適用条件
・水を周囲に飛散させないよう、周縁部から内側、水勾配の上流から下流に向か って行う。
・水が周囲に飛散しないようにシートなどにより養生する。防水塗装、防水シー トを壊さないよう留意して洗浄を行う。
・高圧水洗浄による対象物等の破損等のおそれがないことを事前に確認する。
・表面がはがれるなど財物を損傷する可能性があることに注意を要する。
・水圧による土等の飛散を防ぐために、最初は低圧での洗浄を行い、洗浄水の流 れや飛散状況を確認しつつ、徐々に圧力を上げて洗浄を行う。
・屋根の重ね合わせ部や金属が腐食している部分、屋上の排水口周り等、堆積物 が多く付着している部分は念入りに洗浄する。
・舗装面等を対象とする場合には、吸引式高圧洗浄機を用いるが、それ以外の対 象物の場合には排水は雨水桝等で回収する。
・舗装面凍結、積雪時は作業不可。
・一般住宅の屋根を高圧水洗浄した際に、屋根の破損が認められた場合において、
屋根の高圧水洗浄を行わないケースもあった。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・壊れやすい屋根等に適用不可である。
・急斜面の屋根には不適合である。
・屋根上の作業においては、墜落災害防止措置(親綱、安全帯)が必要。
・機械施工による省力化・効率化のため、排水性 舗装の機能を回復するための車両を改良し、道 路除染を効率的かつ安全に行うことのできる車 両を開発した。(超高圧水洗浄も同様)
②超高圧水洗浄 (1/2)
概要 学校、公園、大型施設のグラウンド等の舗装面、コンクリート、アスファルト、
道路の舗装面などを対象として、超高圧水洗浄機を用いた表面の削り取りを行 う。
除染の実施方法 ・150MPa以上の超高圧洗浄機(洗浄水回収型)を用いて、舗装面を削り取る(5 mm程度)。
・強力吸引車により発生した削り取りくずを回収する。
・回収した除染排水は、凝集沈殿処理等を行うことにより削り取りくず(汚泥)
と水に分ける。
鹿島建設(株)提供
前田建設工業㈱提供
(2/2)
必要な用具・機器 等
・スコップ、ホウキ等
・超高圧水洗浄機(最大圧力240MPa(強力吸引車含む))
・側溝清掃車(容量5.1m3)
・発動発電機(出力3kVA、低騒音型)
・空気圧縮機(可搬式排対型(1次)、3.5~3.7 m3 /min)
・散水車(タンク容量3,800L)
提 条 件 ・ 制 約 条 件・適用条件
・舗装面凍結、積雪時は作業不可。
・超高圧水洗浄機で、縁石付近の切削ができない場合、ハンディタイプ・端部対 応型又は高圧水洗浄を行う。
・洗浄水回収型でないタイプは、飛散養生を行い、洗浄水は側溝等を利用し吸引 車等で回収する。
・除染後の表面線量率の測定は、路面が乾いてから行う。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・排水回収までを自動で行う技術の導入により、施工速度が大幅に向上した。広 範囲の除染において特に有効である。
・面的除染においては、除去物運搬等で道路を使用するため、最後に道路の 除染を行う必要がある。
③ブラスト
概要 住宅地等、学校、公園、大型施設の庭・グラウンド等の舗装面、コンクリート、
アスファルト、道路の舗装面などを対象として、ショットブラスト機を用いた表 面の削り取りを行う。
除染の実施方法 ・ショットブラスト機により鉄球粒などの研削材を表面にたたきつけて表面を均 質に削り取る。
・切削されたアスファルトくずなどはブラスト機に接続された集塵機により回収 し、大型土のう袋に詰める。
・粉塵が発生するため、周囲への飛散を防止するための養生等を行うとともに、
粉塵を回収する。
・路面に残る研削材は、手押し式のマグネットカーと清掃等を行い回収する。
必要な用具・機器 等
・ショットブラスト機(研掃幅700mm、1,000mm)
・発動発電機(定格容量100/125kvA、125/150kvA、
排対型(1次))
・集塵機(研掃幅700・1,000mm用、風速75m)
・クレーン付トラック(4t積、2.9t吊り/8t積、
2.9t吊り)
・トラック(4t積、8t積)
前田建設工業(株)提供 前提条件・制約条
件・適用条件
・比較的広い舗装面において適用する。
・舗装面凍結、積雪時は作業不可。
・降雨時及び路面が濡れている場合は作業及び切削材の回収が困難で、作業中止。
・わだちや舗装面のひび割れがある箇所は、平坦な面と比べ、除去率が下がる。
・道路の不陸やひび割れ幅が5mm以上となると同工法は採用できない。
・切削端部では、ムラをなくすため、5~10cm程度のラップが必要。
・建物及び構造物隣接等の舗装面端部は15~30cm施工できないため、高圧水洗浄 等により除染する。
・高圧水洗浄(超高圧含む)のみでは、線量を低減できない高線量レベルのエリ アに有効である。
施 工 性 ・ 開 発 技 術・工夫・留意点
・側部等の繁茂している堆積物を先行して除去する必要がある。
・クラックが多くある場所には適用不可である。
・湿潤部には適用不可である。
・住宅地で舗装面積が10m2程度の狭隘箇所については施工性が大きく低下する。
ショットブラスト