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第 3 章 除染事業の制度と工法

3.4 除染工法の確立

3.4.2 技術指針・ガイドライン等

環境省は、平成23年12月14日に、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染方法等を体 系的に取りまとめた「除染関係ガイドライン」を策定・公表した。このガイドラインは、放射 性物質汚染対処特別措置法に基づいて、汚染状況の調査測定、除染、除染に伴い生じた除去土 壌の収集・運搬及び保管などを行うために、その過程を具体的に分かりやすく説明したもので あり、以下の4編からなる。

第1編 汚染状況重点調査地域内における環境の汚染 状況の調査測定方法に係るガイドライン 第2編 除染等の措置に係るガイドライン

第3編 除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン 第4編 除去土壌の保管に係るガイドライン

本ガイドラインは市町村における除染を主に対象として いるが、国による除染についても対象となっている。なお、

本ガイドラインは、その後に得られた知見や新たな技術、

専門家や地方自治体等の意見を取り入れ、より効果的に除 染が推進できるよう平成25年5月に第2版に改訂され、さ らに平成25年12月、平成26年12月、平成28年9月に追 補が加えられている。

なお、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の保 管や処理等に関しては、平成23年12月27日に「廃棄物関 係ガイドライン」が策定されている。

第1編 汚染状況重点調査地域内における環境の汚染状況の調査測定方法に係るガイドライン

「汚染状況重点調査地域内における環境の汚染状況の調査測定方法に係るガイドライン」は、

除染関係ガイドラインの第1編に当たっており、図3-16 に示すように汚染状況重点調査地域 内で実施する事故由来放射性物質による環境の汚染状況の調査測定に加え、除染実施区域内に おける詳細測定、除染等の措置、除去土壌の保管のそれぞれで必要となる測定方法が紹介され ている他、正確に測定を行う上での推奨測定方法も説明されている。

第2編 除染等の措置に係るガイドライン

「除染等の措置に係るガイドライン」は放射性物質汚染対処特別措置法の第40条第1項にお いて定められた土壌等の除染等の措置の基準に関する環境省令を、事例等を用いて具体的に説 明したものである。

各市町村は、当該ガイドラインに記載された除染方法の中から、策定した除染実施計画に基 づき適切な方法を選択していくことになる。除染の対象は、建物等、道路、農地等と、林縁か

ら20mの範囲の森林としている。

なお、現時点では当該ガイドラインに記載された除染方法が妥当と考えられているが、今後 の知見・技術開発等を踏まえ、随時改訂を行っていく旨が言及されている。

図3-15 除染関係ガイドライン

図3-16 除染等の実施にあたって実施する項目と必要な調査測定(第1編)

第3編 除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン

「除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン」は放射性物質汚染対処特別措置法の第41条第 1項において定められた、除去土壌の収集・運搬の基準に関する環境省令を、事例等を用いて 具体的に説明するものである。

この中では、除去土壌を収集・運搬する際には、除去土壌に含まれる放射性物質が人の健康 や生活環境に被害を及ぼすことを防ぐため、安全対策が求められ、①除去土壌の積込みや荷降 ろし、運搬の際に、放射性物質が飛散したり流出したりしないようにすること、②収集・運搬 している除去土壌からの放射線による公衆の被ばくを抑えることが必要であることが述べられ ている。これらの安全対策のため、当該ガイドラインでは放射性物質の運搬に関する既存の規 則も参考に、除去土壌の収集・運搬のための要件を整理するとともに、具体的に行うべき内容 が説明されている。

第4編 除去土壌の保管に係るガイドライン

「除去土壌の保管に係るガイドライン」は放射性物質汚染対処特別措置法の第41条第1項に おいて定められた、除去土壌の保管の基準に関する環境省令を、事例等を用いて具体的に説明 するものである。

当該ガイドラインが対象とする保管形態は「現場保管」「仮置場における保管」の2種類であ り、安全に保管を行うための施設要件や管理要件を整理する旨を記載している。さらに、この 要件に適合すると考えられる具体的な施設仕様・安全管理の内容や方法について例示されてい る。

表3-11 除染関係ガイドラインの改訂経緯

改訂時期 主な改訂・追補内容

平成25年5月 (第2版)

第1版策定より1年以上が経過し、それまでの除染作業等からの知見の蓄積や自 治体からの質問・協議事項等を踏まえて、専門家等との意見交換や関係自治体への 意見照会を行い、以下の改訂を行った。

(1) 新たな技術の取り込み

・超高圧水洗浄、回収型高圧水洗浄、スチーム洗浄、人工芝の除染 等

(2) 除染作業のノウハウ、効果的・効率的な手法等の取り込み、除染対象の明確化

・除染手法毎の除染効果を高めるための留意点の記載:屋根の除染(拭き取り、

高圧水洗浄の注意点)、草木の除染(芝の深刈りの方法)等

・測定に関する記載の整理及び充実(表面汚染密度、GM サーべイメータ、時定 数等)

・除染対象となる農業用排水路の位置づけ (3) 不適正な除染に対する対応

・排水の処理に関する具体的な方法の記載

・用具の洗浄等に関する具体的な方法の記載 (4) わかりやすさの向上

・除染作業手順のフローチャート化

・写真の全面的な入れ替え及び追加

(5) リスクコミュニケーションの観点からの説明の充実

・放射性物質の水への溶解性、土壌への吸着に関するデータの記載

・保管(仮置場)における地下水モニタリングに関するデータの記載 平成25年12月

(第2版追補)

「今後の森林除染の在り方に関する当面の整理について」等を踏まえ、森林にお ける新たな知見や除染手法等、技術的な事項について反映した。

(1) 森林内の放射性物質の動態に係る知見の追加 (2) 効果的な除染手法に係る知見の追加

平成26年12月 (第2版追補)

「今後の河川・湖沼等における対応の考えの整理」等を踏まえ、河川・湖沼等に おける新たな知見や除染手法等、技術的な事項について反映した。

平成28年9月 (第2版追補)

森林における除染等の措置、管理体制の強化の内容を反映した。

(1) 表題等の変更

・「草木の除染等の措置」を「草木・森林の除染等の措置」に変更 (2) 森林内の日常的に人が立ち入る場所の除染等の措置

・住居周辺の里山等の森林内で日常的に人が立ち入る場所における除染等の措置 について、除染の範囲や測定点の考え方等に係る記載を追加

(3) 土砂流出防止対策

・森林の除染等の措置として必要に応じて実施する土砂流出防止対策に関し、適 用箇所の考え方や設置例等に係る記載を追加

(4) 知見の更新・追加

・平成25 年12月追補以降に更新された知見や新たに得られた知見の追加 (5) 除去土壌の収集・運搬及び保管における災害時の対応

・平成 27 年9月関東・東北豪雨のような災害時における除去土壌流出等の再発

を防止するため、災害時の対応に係る記載を追加

(2) その他の技術指針等

1) 放射性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドライン(環境省)

放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染方法等が「除染関係ガイドライン」で示される 一方で、放射性物質汚染対処特別措置法の対象地域以外の地域においても、放射性物質により 局所的に汚染された箇所が確認されていることから、環境省は、平成24年3月12日に「放射 性物質による局所的汚染箇所への対処ガイドライン」を公表した。

本ガイドラインでは、これらの局所的汚染箇所、特に放射性物質を含む雨水排水によって土 壌等が汚染された箇所の効率的な発見方法や、発見後の詳細な調査方法等の具体的な方法の他、

その取組を実施する際の留意点等を整理し、取りまとめている。

2) 除染業務に係る技術指針・面的除染の手引き(福島県)

汚染状況重点調査地域における市町村が除染実施計画に基づき除染を実施する際に、各市町 村が統一的に除染を実施できるよう、除染作業の手順や管理基準等を具体的かつ簡潔に示す必 要があったことから、福島県は、「除染関係ガイドライン」等を参考に、平成24年1月31日に

「除染業務に係る技術指針」を作成した。

本技術指針では、除染の方法、除染に係る作業上の安全確保、除染作業施工管理基準、保安 施設設置基準(道路)等が示されている。

また、福島県は、技術指針にあわせて、モデル事業から得られた知見を踏まえ、市町村が面 的除染を進めるにあたっても基本的な手続きや事務の進め方、留意点等を示し、市町村担当者 の参考とするために、平成24年3月に「面的除染の手引き」を作成している。

図3-17 除染業務に係る技術指針(福島県)