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阪 大

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 一 ︶ (ページ 66-77)

・神 戸大

・大 阪外 語大 から 成る

﹁日 米文 科系 学術 交流 委員 会﹂ の一 九八 一年 度プ ログ ラム の一 つと し て、 一九 八一 年一

〇月 に二 日間 に渉 って

、﹁ 日米 法文 化の 比較 検討

﹂を テー マに 研究 会議 が開 かれ た。 法文 化を テ ーマ にす えた

、恐 らく 最初 の研 究会 議で あろ う。

﹁弁 護士 の実 務活 動を 手が かり にし て﹂ と副 題を おい て、 その 一 部始 終が ジュ リス ト誌 上に 掲載 され て

( )

いる ので

、本 稿の 筋に 必要 な限 りで 参照 して みよ う。

冒頭

、委 員会 の企 画委 員長 の矢 崎光 圀か ら、 当時 の日 米間 に、 経済 摩擦 に象 徴さ れる よう な法

・法 意識

・法 思考

を包 み込 む文 化状 況の ズレ が存 在す ると 思わ れる ので

、こ の種 の法 文化 問題 を論 ずる 手が かり を得 たい

、そ のた め 日米 の弁 護士 実務 とそ こか ら生 じる 法的 問題 とい う具 体的 課題 から 始め て、 両国 の法 文化 の比 較検 討を した いと

、 会議 の趣 旨が 述べ られ た。 会議 内容 は四 部と ミニ

・シ ンポ

、講 演か ら成 る。 第一 部﹁ 日米 法文 化の 比較 検討

藤倉 皓一 郎︶

アメ リカ の法 文化 につ いて

、四 点︵ 法の 多元 性・ 利益 の主 張・ 法 の道 具性

・リ ーガ リズ ム︶ を特 色と して あげ

、最 後に この よう な特 色は 日本 にも あり

、つ まり は程 度の 差に 止ま る かも しれ ない

、固 有の 法文 化と いわ れる もの も産 業化

・近 代化 の進 展と とも にど んど ん崩 れて 共通 の要 素が でて く るの では ない か、 と結 論し てい る。 第二 部﹁ 弁護 士の 実務 活動 から みた 日米 の法 文化

﹂︵ 日本 側= 小杉 丈夫

︶ 日本 では 依頼 者が 弁護 士に 頼ん でも 権 限を 十分 に与 えず 責任 も問 わな いと いう 傾向 があ る。

︵ア メリ カ側

=ア ンソ ニ・ ザル ーム

︶ アメ リカ 人は ちょ っと した こと でも 裁判 に持 ち込 み、 相手 が訴 訟に する 覚悟 がで きて いな いと わか ると 自分 に有 利な 要求 を出 すの で、 闘う 意志 をみ せな いと 良い 結果 はえ られ ない

。 第三 部﹁ 商取 引に 関連 する 法律 と日 本的 商慣 習﹂ 大沢 豊︶

日本 の商 慣習 では

、お 得意 さん には 安く 売る とい う よう に契 約観 念の ない 方が スム ーズ にゆ き、 競争 のな い商 取引 状態 をつ くる 仕組 みが とら れて いる

﹁産 業行 政に おけ る日 米比 較と その 社会 的基 盤﹂

林良 造︶

アメ リカ は社 会的 背景 の異 なる 人間 が集 まっ てで き た国 だか ら、 自由 競争 によ る結 果こ そ公 平だ と考 えら れる のに 対し

、日 本の 場合 は競 争と 協調 の価 値序 列に つい て 協調 が上 位に おか れ、 公平 とい う結 果に つい ての 予測 が可 能に なっ てい る、 司法 プロ セス にお いて も結 論に 対す る フレ キシ ビリ ティ が高 い英 米で は訴 訟を 嫌わ ない のに 対し

、日 本の 場合 は揉 め事 を訴 訟に しな いと いう 合意 のあ る 社会 とい える と思 う。

第四 部﹁ 日米 にお ける 文化 と法

﹁社 会心 理と 法概 念︱

︱日 米比 較の 試み

﹂︵ 我妻 洋︶ 規範 と現 実と 心理 の三 ファ クタ ーの 相互 交渉 系が 法体 系に 表出 した もの が法 文化 であ る。 日本 社会 固有 の特 質を 前近 代的 と評 して 克服 すべ きと 捉え る進 化論 的発 想は とら ない

、と いう 前提 にた って 本論 を進 める

。ア メリ カで は 法的 権威

︵法 体系 と︶ 道徳 的権 威︵ 教会 を︶ 画然 と区 別し

、ル ール を絶 対視 して フェ アー の当 否を 決め る。 非常 に 強い 個人 主義 で、 既存 の秩 序や 権威 の不 信感 と結 びつ いて 自分 を守 るか ら、 シラ を切 り通 せる のな ら切 り通 した 方 がト クだ と思 って いる のに 対し

、日 本人 は刑 法違 反は 単な るル ール 違反 では なく て人 の道 に外 れた 悪い 行い と思 い、 個人 主義 では なく

、間 人主 義で 私・ 互助

・協 力を 大切 にす る。 悪い のは 相手 だと わか って いて も、 自分 が謝 っ てし まえ ば円 満に 解決 する と思 って いる

。契 約な んて 人間 不信 の反 映だ とい うこ とに なる

、と いう ので ある

﹁日 本人 の法 への 態度 と行 動︱

︱と くに 紛争 解決 との 関係 にお いて

木下 富雄

︶ 法的 行動 への 心理 的距 離が

、日 本の 場合 非常 に遠 いの は、

﹁公

﹂の 世界 への 遠さ の一 つの 表現 にす ぎな いと 考え られ

、そ れは 庶民 から みれ ば、 法律

・政 治な ど公 の世 界は 自分 達に とっ て別 の世 界の こと とい う発 想か らき てい る。 公の 世界 と私 の世 界と いう 区別 は﹁ ソト

﹂の 世界 と﹁ ウチ

﹂の 世界 の区 別で あっ て、 この 両者 を混 同す るこ と を日 本人 は好 まず

、法 の世 界は 外の 世界 であ るか ら﹁ 裁判 沙汰

﹂と いっ て嫌 い、 内の 問題 は内 の世 界で 解決 すべ き と考 えて いる

。非 道な 行い に対 して

、ア メリ カに 比べ 日本 は情 緒的 反応 が高 いの で、 法に よる 論理 的解 決よ りも 情 緒的 納得 が大 切と 考え てい る。

﹁話 合い

﹂と いう 言葉 が信 仰に 近い 響き をも つの は、 内の 世界 の一 様性

・類 似性

﹁え にし

﹂に よっ て結 ばれ た共 同体 意識 が支 えに なっ てお り、 絶対 的価 値に 照ら して 善悪 を定 める とい う正 義に よ る法 の支 配の 観念 から は程 遠い

。日 本の 社会 を実 効支 配し てい るの は法 律で はな くて

﹁日 本教

﹂的 規範 であ り、 包 括的

・全 体的 なバ ラン スに よる 日本 的解 決の 方が

、理 屈に よっ て自 己主 張し 正義 を通 そう とす るア メリ カ・ シス テ ムよ りも ずっ とい いと 思う

、と 結論 する

﹁﹃ 法外 の法

﹄と 対決 回避 的コ ミュ ニケ ーシ ョン

﹂︵ タキ エ・ スギ ヤマ

・リ ブラ

︶ 法 外の 法 は法 を超 えた 規範 意識

、つ まり 人間 同志 が信 頼し あえ ば法 律は 要ら ない とい う考 え方 は、 他方 で無 法・ 無秩 序状 態を 生む こと にな る。 法外 の法 に依 存す るの は、 個人 が一 対一 の対 決を 避け たい とい う文 化的 一形 態 であ る。 日本 人は 否定 的意 思表 示と して 曖昧 な表 現を した り沈 黙に よる 抗議 を行 った り、 一対 一の 対決 を避 ける た め、 第三 者を 媒介 にコ ミュ ニケ ーシ ョン をし たり

、謝 るこ とや 自ら を罰 する こと で相 手に 抗議 した り、 さら には 忍 耐の 美徳

・我 慢強 さで 解決 する ため

、自 己を 無に して 一切 を受 容す る絶 対受 動に 徹す ると いう 考え 方を する

・ミ ニ・ シン ポジ ゥム まと め﹁ 法と 文化

矢崎 光圀

︶ アメ リカ は多 元的 な自 主的 集団 が多 いの で、 形式 的手 順に よる 解決

、つ まり 訴訟 に頼 らざ るを えな いが

、日 本が これ と同 じに なる 必要 はな く、 日本 なり の法 文化 があ って もい いの では ない か、 その ため にも

︽歴 史︾ の目 で法 文 化を 捉え るこ とが 重要 であ ると し、 利谷 信義 に発 言を 求め た。 その 発言 は、 継受 法の 日本 語化 のさ いの 問題

、上 か らの 近代 化を 支え た法 律進 化論 につ いて 説明

、そ して 継受 法と 日常 的規 範と の間 のミ ゾを 国家 レベ ルで 統合 する さ いに みら れた 予定 調和 的秩 序観 が日 本で 成功 裡に 展開 され た、 とま とめ られ た。

・講 演﹁ 日米 法文 化の 比較 検討

︱︱ その 将来 に向 けて

﹂︵ 早川 武夫

︶ 日本 人の 訴訟 嫌い

・ア メリ カ人 の濫 訴健 訟癖 で日 米比 較を する のは 正し くな い、 アメ リカ 人の モラ ル低 下に より 訴え られ て初 めて 真面 目に 相手 にな り判 決前 に和 解す る事 件が 非常 に多 いこ とに 注意

。日 本は まだ 身分 社会 で﹁ 身 分か ら契 約﹂ に移 行し てい ない

、だ から 契約 観念 はい い加 減で ある

。日 本繁 栄の 原因 がこ のよ うな 日本 法文 化に あ ると は思 えず

、む しろ 法学 教育 の改 善が 必要 であ る、 とす る。 以上

、野 田風 近代 化に よる 日本 評価 も残 るが

、法 律進 化論 を否 定し て法 文化 多元 主義 にた ち、 日本 再評 価の 論調 が目 につ くこ とが

、注 目さ れる

。経 済的 繁栄 に伴 う自 信回 復も 一因 だろ うが

、比 較の 相手 がア メリ カだ った こと が

大き な理 由で はな いか

。法 意識 の近 代化 の目 標が アメ リカ だと すれ ば、 尻込 みせ ざる をえ ない ほど の人 間不 信に 陥 ると 思わ れる から であ る。 前述 の日 仏の 比較 に較 べ、 日米 のそ れで は極 端な 差が あっ て、 とて も真 似し たい とは 思 わな いと いう のが 真情 であ ろう

。と にも かく にも

、こ うし て法 文化 の相 対性 とい う法 文化 論本 来の 正道 に導 かれ た こと は幸 いで あっ たと いえ る。 それ ぞれ の国 や民 族に おい て、 一定 の地 理的

・自 然的 環境 のな かで

、長 い歴 史的 時間 を経 て培 われ た社 会的

・文 化的 基盤 が存 在し

、当 該文 化と して の法 がで き上 がっ てき たこ とは

、J

・コ ーラ ーの 前出

︵二 三頁

︶の 言葉 で明 ら かで ある

。 非文 明民 族と いえ ど、 その 人間 形成 は長 い歴 史的 発展 の結 果で あり

、文 化全 体の なか にい かに 深く 人 間の 魂が 根を 下ろ して いる か

、法 の研 究に つい て心 得る べき 要点 を指 摘し たこ の部 分は

、法 文化 の相 対性 を明 ら かに した もの とし て想 起す べき 言葉 であ ろう

。一 九八

〇年 代は 法文 化の 独自 性、 とい うよ りむ しろ 個性 とも いう べ きも のを

、国 もし くは 民族 の特 性と して 研究

・検 討し よう とい う機 運が 生ま れた とき とい える ので はな かろ うか

=

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 一 ︶ (ページ 66-77)

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