の一
﹀﹁ 日本 人の 法嫌 い﹂︵ 淡路 剛久 で︶ は、 川島 流の 法意 識論 が現 在ど う変 わっ てい るか に焦 点を あ て、 公害 裁判 の資 料を 素材 にし て、 日本 人は 第二 次大 戦以 降、 権利
・法 の観 念を 徐々 に学 びと った と述 べた あと
、 しか し将 来的 にみ て、 法と の係 わり 合い はや はり 欧米 人と 異な るの では ない か、 と結 ぶ。
・座 談会
西欧 型契 約関 係の 社会 では 権利
・義 務の 関係 が前 提だ が、 日本 社会 では 義務 に対 する 請求 権者 がお ら
ず、 自発 的に 義務 を遂 行す ると いう 特徴 があ る。 特殊 日本 的な 行動 様式 は、 現実 のミ クロ に係 わる 私法 領域 に窮 わ れ、 国家 レベ ルの 大き な法 制に つい ては みえ てこ ない
。個 人の 人間 関係 を私 法に よっ て規 律す ると いう 意識 は日 本 では 弱か った が、 最近 は変 わり つつ ある ので はな いか
、そ れも 義務 中心 型が 権利 中心 型に なり つつ ある
。西 欧で は 自然 法が 実定 法の なか に入 って 法に 正統 性を 認め てい るが
、日 本で は自 然法 と実 定法 の間 に乖 離が 大き い。
︿各 論の 二﹀
﹁法 外の 法﹂︵ 所一 彦︶ につ いて
。少 年保 護に つい て日 米を 比較 する と、 日本 はア メリ カに 比べ
、家 庭・ 学校
・近 隣な どが 非行 抑止
・非 行問 題処 理の 仕組 みを 備え てい るた め法 の出 番が 少な くす んで いる
。官 庁組 織 も官 民関 係に おい ても 共同 体的 性格 のあ るお かげ で法 が節 約さ れて いる
、こ れは 法外 の秩 序が 日本 に存 在す るた め であ るが
、他 方緩 慢な がら 共同 体の 解体 が進 むな かで 変化 をみ せ始 めて いる
。そ れで も共 同体 の残 存に よる 法の 節 約と いう 現象 はす ぐに はな くな らな い、 と述 べる
。
・座 談会
共同 体と いう のは 大福 帳み たい なも ので 分析 の道 具と して は使 わな い方 がい い。 罪と 罰と いう 法的 関係 が日 本で は罰 の体 系と して 法外 の法 によ る解 決が なさ れて いる
、そ れが 日本 人の 法嫌 いと いわ れる 所以 の一 つで は ない のか
。日 本で は悪 いと 認め れば 許し てく れる と思 うの に対 し、 欧米 では 罪を 自認 すれ ば裁 判の 負担 をか けな い こと にな り刑 が軽 くな ると いう 違い があ る。
︿各 論の 三﹀
﹁日 本人 の契 約観
﹂︵ 沢木 敬郎 に︶ つい て。 西欧 で契 約が 法的 サン クシ ョン に裏 づけ られ 法的 拘束 力 とし て意 識さ れて いる のに 対し
、日 本で 契約 につ いて ホン ネと タテ マエ のズ レが 存在 して いる のは
、人 間的 信頼 関 係や 情誼 が基 礎と なっ てい るの では ない か。 タテ マエ の契 約法 を持 ち出 すこ とは 信用 ある 個人 のす るこ とで はな い と考 えて おり
、継 受法 とし ての 契約 は未 だ日 本に 定着 しえ てい ない
。
・座 談会
日本 でも 中世
・近 世に 契約 関係 があ った が、 それ が西 欧と 異な って くる のは 政治 関係 の質 的違 いが サン クシ ョン の表 れ方 を異 なら せた から では ない のか
。西 欧で 契約 によ る合 意内 容が 要求 によ って 発動 され ると
、そ れ
を担 保す る権 力が 拘束 をす るの だろ う。 川島 説は 欧米 を美 化し て日 本の 近代 化は 遅れ てい ると いう が、 単純 な発 展 段階 説に より かか りす ぎて いる
。日 本で は利 害の 対立 関係 にあ る者 は、 事前 に互 いの 利益 範囲 を決 めて おい て争 い を解 決す ると いう 形で 問題 をた てて いる ので はな いか
。人 間的 信頼 関係 とい う点 につ いて いえ ば、 親戚
・友 人の 間 では 西欧 も日 本と 変わ りは なく
、異 なる のは 市民 生活 的関 係に おい てで はな いか
。西 欧で は納 得が いか なけ れば あ くま で争 い、 その あと で法 律関 係が 決ま るが
、日 本で はど うや った ら丸 く納 まる かと いう 解決 パタ ーン であ って
、 黒白 つけ るの を嫌 がり 契約 法の タテ マエ を変 えて しま う。 いず れは 西欧 型に 変わ るの かも しれ ぬが
、長 期間 変わ ら ない こと も予 測し うる
。 以上 で、 編者 各位
︵全 座談 会出 席︶ のレ ポー ト要 旨・ 座談 会を 紹介 した
。何 れも 法文 化を 考え るさ いの 重要 課題 であ るが
、実 定法 学者 によ るも ので 法文 化の 現状 分析 に力 点が おか れ、 その 歴史 的因 由に まで 視野 が及 んで いな い こと は止 むを えな いだ ろう
。以 下、 各専 門実 定法 学者 の分 を略 記す る。
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︿ 各論 の四﹀﹁ 日本 の家 族﹂︵ 川井 健︶ では
、明 治民 法も 新民 法も 当該 社会 にお ける 習俗
・慣 習を 投影 して い ない
。と くに 新民 法で は人 々の 生活 規範 から 浮き 上が って 個人 主義
・平 等主 義を 貫い た、 とい う。
・座 談会
西欧 では 家族 単位 の歴 史は ロー マ法 以来 存し ナポ レオ ン法
・フ ラン ス革 命で も分 解し なか った
。他 方、 アメ リカ の個 人主 義的 核家 族か ら影 響を うけ た日 本で は社 会的 単位 集団 が全 部解 体し てし まっ た。
︿各 論の 五﹀
﹁日 本の 会社
﹂︵ 渋谷 光子
︶で は、 わが 国で 経済 活動 を担 うの は独 立の 職業 人と して の意 識を もつ 個 人で はな く会 社集 団の なか に埋 没し てい る、 とい う。
・座 談会
集団 的結 び付 きは 西欧 にも ある が、 集団 ので き方
・個 人同 志の 結び 付き 方が 日本 と違 う。 西欧 では 個人 と個 人の 結び 付き だか ら名 刺は いら ない が、 日本 では 名刺 の名 前よ り組 織︵ 会社 など
︶の 方が 重要 だと され る。 西 欧で は自 分と 家族 のた めに 働く が、 日本 では 会社 のた めに 働い てい るか らそ のた めに 自殺 まで する こと があ る。
︿各 論の 六﹀
﹁﹃ 終身 雇用
﹄の 法理
﹂︵ 小西 国友
︶。
・座 談会
正社 員に なる まで は試 用期 間と いう ステ ップ が必 要で
、そ れは 信頼 関係 の積 み重 ねと 考え られ てい る。 仲間 にな るに は時 間が かか るが
、い った ん仲 間に なっ たら なか なか 出な い。 しか し労 働市 場に も自 由化 の変 化が お こっ てお り、 それ が欧 米型 にな るの かど うか
? 日本 では 親密 な人 間関 係が 重要 で個 人レ ベル での スペ シャ リス ト でな くと もよ いと され る。
︿各 論の 七﹀
﹁日 本人 の税 金観
﹂︵ 畠山 武道
︶で は、 納税 はス ムー ズに 行わ れて いる が税 を公 共サ ービ スの 対価 と 考え る現 実的 基盤 が存 在し てい ない
、そ れは 自治 やコ ミュ ニテ ィ体 験が 欠け てい るか らだ
、と する
。
・座 談会
納税 天災 説が 日本 には ある のだ ろう
。大 衆社 会に なっ てく ると
、サ ービ スを うけ られ るの で対 価の 考え 方は なお 育た ない が、 税負 担の 公平 性の 要求 が生 まれ てい る。 同じ 権力 が相 手だ が国 民の 遵法 意識 と納 税意 識と は 異な る。
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︿ 各論 の八﹀﹁ 日本 人の 憲法 観﹂︵ 池田
・前 出一 二頁
。︶
・座 談会
明治 憲法 がで きた とき 国民 に疎 遠感 があ った ろう がだ んだ ん有 難く なっ てき た、 それ と同 じく 新憲 法の 場合 も疎 遠な もの から 有難 味が 判っ てき た。 江戸 時代 まで の戦 争は 武家 だけ でや りあ って いた が、 帝国 主義 の強 盗 時代 にな って 総力 戦に なっ た、 それ まで 農民
・町 人は 関係 なか った とい う意 味で 平和 思想 はそ の後 も引 き継 がれ て いる
。憲 法は 有難 いも のだ と思 って いる から
、人 を説 得し よう とす る時 にす ぐに 引っ 張り だす とい う形 で親 近感 が 表現 され てい る。 法の 解釈 一般 はそ の国
・民 族・ 社会 なり の説 得の 論理 によ って 行わ れて いる はず だが
、日 本の 場 合は
、法 が疎 遠だ った せい で解 釈は 説得 の論 理か ら切 り離 され て辻 褄合 わせ だけ にな る、 疎遠 性と 融通 無碍 はこ の 点で 同じ 道を 歩む こと にな り、 法に よっ て紛 争を 解決 する とい うと ころ に辿 りつ いて いな い。
︿各 論の 九﹀
﹁日 本人 の外 人観
﹂︵ 村瀬 信也
。︶ 西欧 との 関係 では 国際 法の 被害 者︵ 条約 改正 問題 で︶ あっ た日 本は
、
その 屈辱 感を アジ アに 対し 加害 者と なる こと で代 償を はか ると いう 二重 の基 準を とっ てい る。 日本 人の 外国 人観 に はそ の基 礎に 国籍 観︵ 韓国
・台 湾な ど︶ があ り、 外国 人の 権利 伸張 は日 本人 の権 利縮 小に なら ない かと いう 脅迫 観 念が ある
。
・座 談会
唐天 竺大 和と いう いい 方に 表れ てい るよ うに
、日 本人 は外 国と の対 比で 自国 をア イデ ンテ ィフ ァイ して いる
。権 理が 権利 に変 わる のは
、個 人の 立身 出世 とい う道 理が 国際 社会 にお ける 脱亜 入欧 に変 わる こと がき っか け で利 益に なっ た。 同じ よう な主 張の 国々 を結 集し て実 現に 努力 する とい う姿 勢が 日本 に欠 けて いる のは
、モ デル が 遠い 西欧 であ るた め、 グル ープ を組 めな いと いう 疎外 感が ある から では ない か。 島国 であ るた め、 日本 人は 土地 と の関 係で 人種 とし てま とま る傾 向が ある
。我 々を アイ デン ティ ファ イす るの は結 局文 化の 共通 性で あろ う。 日本 の 孤島 性が ナシ ョナ リズ ムを どん な場 面で も作 り出 すよ うに
、日 本人 の法 感覚 も土 地と 結び つい てい る。 この 本の 特色 は、 論議 の対 象範 囲が 著し く広 いこ と、 西欧 モデ ルと の比 較に おい て欧 米社 会で の具 体的 な実 体験 に依 拠し てい るこ とな どが あげ られ るが
、他 方、 日本 文化
︵史 論︶ との 関連 につ いて の指 摘が 不十 分で あっ たこ と が反 省さ れよ う。 五 比較 法学 によ る生 理的 考察