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関西の IT 産業をめぐるトピックス

ドキュメント内 KEIRIN (ページ 188-194)

前節までのデータや最近のITを取り巻く我が国、世界の動向を踏まえつつ、関西に特徴のある 製造系、サービス系各IT産業から4トピックスを取り上げ、現状をヒアリング調査等により把握 した。(詳細は資料編を参照。) 

 

2.1  製造系 

(1)大阪湾岸における薄型パネル生産拠点の集積 

前節で関西はラジオ受信機・テレビジョン受信機の製造品出荷額等の伸びが非常に高かった。

これは関西の家電メーカーが薄型テレビの生産を加速させていることを反映したものと思われる。 

現在関西には液晶やプラズマのパネル・テレビの生産拠点が、建設予定を含め下図のように集 積している。 

■シャープ

亀山第一工場 04年1月稼働  第6世代 6万枚/月

 26型以上大型液晶テレビ 10万台/月 亀山第二工場 06年8月稼働  第8世代 3万枚/月

■松下電器産業等

姫路工場 08年8月着工 10年1月稼働予定  32型を中心とする液晶テレビ 125万台/月  (フル稼働時)

 投資額3,000億円 将来有機EL事業検討

■篠田プラズマ

07年6月本社及び生産工場完成 プラズマチューブアレイ方式によ る薄型軽量・超大画面フィルム 型ディスプレイ開発

■シャープ

堺新工場 07年11月着工 10年3月までに稼働予定  第10世代 7.2万枚/月

 投資額3,800億円

■松下プラズマディスプレイ茨城工場 第一工場 01年稼働

 3万枚/月

第二工場 04年稼働  10万枚/月

■松下プラズマディスプレイ尼崎工場 第三工場 05年9月稼働

 25万台/月(42型換算) 第四工場 07年7月稼働  50万台/月(42型換算)

第五工場 07年11月着工 09年5月稼働予定  100万台/月(42型換算)

 投資額2,800億円

関西における薄型パネル生産拠点

 

関西には国内の主要家電メーカーが立地しており、国内メーカーの、薄型テレビの基幹部材で あるパネルの生産拠点は関西地域に集中している。もともと技術漏洩を回避するため海外生産は 行われてこなかったし、また何より技術進化の途上にある薄型パネルの生産は、研究開発拠点と 近接している方が効率的であるからである。 

薄型テレビは世界的に需要拡大が続き、各メーカーは巨額の資金を投じ、新工場の建設に乗り だしている。今後関西で3件の薄型パネルの新規工場が建設される。2007 年 11 月には松下プラ ズマディスプレイの尼崎の第五工場(投資額 2800 億円、生産能力 42 型換算で月産 100 万台)と、

シャープの堺新工場(3800 億円、42 型換算で月産 108 万台)が着工された。2008 年 8 月には松下 電器産業等の姫路工場(3000億円、32型を中心とする液晶テレビ月産125万台)が着工予定である。

今後大阪湾岸は薄型パネルの生産能力において世界的な集積拠点となる。またこれらの合計投資 額は約 1 兆円に上り、ガラス基盤など関連部材メーカーの投資額も含め、大きな生産波及が生じ、

関西経済の牽引力となることが予測される。 

大手メーカー以外に、フィルム型ディスプレイの開発に取組む篠田プラズマのような有力ベン チャー企業も 2007 年 6 月にポートアイランド第 2 期区に進出している。 

  このように薄型テレビは関西の製造系IT産業の大きなトピックスであるが、それに留まらず、

デジタル対応によって、アクトビラ(シャープ、東芝、日立製作所も出資し、松下電産とソニーを 中心に運営されるデジタルテレビ向けポータルサービス事業社)の例のように、通信で配信される 動画をテレビでみる、テレビを通信の世界に浸潤させていく、放送と通信の融合を端末側から推 進するという状況も生んでいる。これらについては次項で触れる。 

 

2.2  サービス系 

(1) 組込みソフト産業推進会議(関西経済連合会) 

(なぜ関西で組込みソフトウェアなのか) 

  首都圏との格差が拡大し中部にも追い上げを受けている状況にあって、関西を何とか元気にし たいという声は多い。このような中で、松下電器産業が尼崎に 2800 億円を投じてプラズマディス プレイパネルの第五工場を、またシャープが堺臨海部に 3800 億円を投じて液晶パネル工場を建設 するなど大型投資が相次ぎ、既存の松下茨木工場、シャープ亀山工場を含め、薄型テレビパネル の生産は関西に集中する。更に国内携帯電話機市場においてもシャープが最大のシェアを占め (2007 年第 2 四半期)、関西一円に関連部品メーカーも多く集積するなど、情報家電の生産は関西 に高い優位性があり、関西経済の牽引力として強い期待が寄せられている。 

  関西でソフトウェア産業を育成するのにどのような方向があるかを検討する中で、上記に鑑み、

組込みソフトウェアに注目することとなった。組込みソフトウェアとは家電、携帯電話、自動車 等に製造段階から搭載される内蔵ソフトウェアである。 

  関西は、情報家電メーカー、大学、専門学校など組込みソフトウェアのプレーヤーが揃ってい る、オフショアの委託が進むアジアに近い、など組込みソフト産業を振興していくアドバンテー ジがある。 

  ものづくりの競争力の源泉は従来は金型にあったが、情報化の進展に伴い、製品の品質や性能 が組込みソフトウェアの品質・性能に左右されるようになってきた。たとえば携帯電話のカメラ、

メール、GPS機能の品質・性能はソフトウェアによって実現されているといっても過言ではない。

日本のものづくりの競争力の維持のためには、組込みソフトウェア産業の強化が喫緊の課題であ

ると言える。 

(組込みソフト産業の現状と課題) 

  経済産業省の試算では、冷蔵庫等の生活家電、薄型 TV 等 AV 機器、携帯電話、カーナビなど組 込みシステムの産業規模は 62 兆円、うち組込みソフトウェアの開発規模は 3 兆 2700 億円(いずれ も 2005 年値)である。 

  国内の組込みソフトウェア技術者は現在 9.9 万人が不足している。また情報家電の高機能化が 進むにつれてシステムも巨大化・複雑化し、ソフトウェアのバグに起因するトラブルで、製品の リコールに及ぶ例も出ている。 

  組込みソフトウェアは最終製品という制約のもとに開発しなければならない。そのため仕様変 更が頻繁に発生し開発期間自体も短く、ハードウェアで実現できなかった機能はソフトウェアに しわ寄せがくることが多く、またソフトウェアの容量もできる限りのコンパクトさが求められる。 

  日本のソフトウェア開発の請負費はかかった工数を人月単位で見積もる慣習があるが、この方 式だと、機能をできるだけ盛り込んで時間と人をかけたほうが儲かる、ということになる。その ため、コンパクトで優秀なプログラムを短時間で開発してもお金にならない、というジレンマが 発生し、組込みソフトウェア開発の現場は 3K(きつい、帰れない、給与が低いなど)と言われて、

人材不足が深刻化している。 

さらに、中国、インド、ベトナム等へのオフショア開発(海外委託)が進展しており、国内産 業の空洞化が懸念されている。 

(関経連の取り組み−組込みソフト産業推進会議) 

  関西経済連合会では、関西経済同友会のソフト産業振興委員会の、関西のものづくり力維持・ 

          出典:組込みソフト産業推進会議資料 

振興のためにも関西を組込みソフト産業の集積地としようという提言「大阪・関西を組込みソフト 産業の一大集積地に!」を受けて、その必要性を認識し、実現を図るべく、組込みソフト産業推進 会議を 2007 年 8 月に設立した。 

  本推進会議の組織と活動内容は前ページ掲載図の通りである。活動の主体は 5 つの部会であり、

幹事会がそのとりまとめを行っている。会員は 63 団体(2007 年 10 月 23 日現在)である。活動 期間は 2007〜2009 年度の 3 年を目途としている。 

 

  関西経済連合会が提唱した推進会議であるからこそ、情報家電業界からも複数のメーカーの参 加が得られた。情報家電メーカーはソフト会社を囲い込みたいが、ソフト会社は間口を広げたい 思いがある中でA社の仕様に合わせるとB社に使えない、又はその逆ということがある。共有と 個別の部分を分け、非競争領域を設定しその中でお互い協力していくことが必要である。 

 

(2)全国発の IP ラジオ放送の試み(IP ラジオ研究協議会) 

(協議会発足の経緯) 

  メディア別の広告費において、ラジオ広告費が微減、インターネット広告が伸びてきて、3年 前にラジオがインターネットに抜かれた。また、マンションだとFM放送に雑音が入る、AM放 送が入らない、といったラジオ難聴取世帯やエリアが増えている。 

ラジオ難聴取対策と放送文化普及発展のために、2006年12月に各放送局に声をかけ、調整を 行いながら2007年4月に協議会を立ち上げるに至った。 

(IPラジオの仕組みと内容) 

新聞等には放送と通信の融合として、IP ラジオが通信のように紹介されているが、

技術的には通信であるが、実際はインター ネットを用いた有線ラジオ放送として取組 んでいる。映像やハイビットレートではな いので、電気通信役務利用放送でもなく、

純然たるラジオ放送である。  そのため通 常のインターネットラジオとは異なり、各 局のラジオ放送を受信し、これをデジタル 化して通常の放送エリア内に限定してイン ターネットで再送信する。 

  放送エリアは、FM放送の県域局・AM 放 送の広域局が混在する会員放送局の最大公 約数を採り、大阪府内としている。 

  放送である限り 1:nのマルチキャストで      出典:日本経済新聞 07 年 10 月 25 日記事  なければならず、それが可能なIPV6を使用 

できるという要件から、NTT西日本のフレッツ光プレミアムに加入し、Windows VISTAパソコン が利用できる大阪府内の方を対象に 1000 程度のサンプルユーザーを募集して、平成 20 年 3 月 5 日より平成 20 年 11 月末までの予定で試験放送を開始した。サービス名称を「RADIKO(ラジコ)」

という。 

ドキュメント内 KEIRIN (ページ 188-194)