2.5.5 安全性の概括評価
2.5.5.4 部分集団における検討
2.5.5.4.1 被験者背景による部分集団解析
2 型糖尿病患者対象試験のうち、比較対照試験及び長期投与試験の有害事象の発現割合 について、主な内因性要因(性別、年齢、BMI、罹病期間、肝疾患合併の有無、糖尿病合
併症の有無、糖尿病腎症の有無、eGFR)、主な外因性要因(糖尿病治療歴の有無、SU剤に よる治療歴の有無)による部分集団解析を実施した(2.7.4.5参照)。また、本剤の主な副作 用と考えられる低血糖関連の有害事象については主な内因性要因に加え、投与開始前 HbA1C 値 、 空 腹 時 血 糖 値 及 び 食 後 血 糖 2 時 間 値 に よ る 部 分 集 団 解 析 を 実 施 し た
(2.7.4.2.1.1.2(8)参照)。
内因性要因のうち性別では、比較対照試験の男性及び女性の有害事象の発現割合は0.25 mg/回群で53.7%及び69.0%、0.5 mg/回群では57.5%及び71.7%と女性の方が高かったが、1 mg/回群では男性で 66.7%、女性で 47.6%と男性の方が高かった(表 2.7.4.5-1)。低血糖関 連の有害事象でも、男性及び女性の発現割合が0.25 mg/回群で7.3%及び17.2%、0.5 mg/回 群では14.9%及び30.4%で女性の発現割合が高かったが、1 mg/回群では25.0%及び23.8%
と違いはなかった(表2.7.4.2-34)。長期投与試験2試験の併合集計では有害事象の発現割 合は男性と女性で大きな違いはなく(表2.7.4.5-2)、低血糖関連の有害事象は男性及び女性
で 29.9%(46/154 名)及び 38.3%(23/60 名)に発現し、女性で発現割合が高かった(表
2.7.4.2-35)。
国内2型糖尿病患者で0.25 mg/回、0.5 mg/回、1 mg/回投与時の薬物動態パラメータを男 性 と女 性で比 較した 結果 、本 剤の Cmax 及 び AUC に大き な違い はみら れな かった
(2.7.2.2.2.3(4)参照)。
以上のように、0.25 mg/回群、0.5 mg/回群及び長期投与試験では女性の方が有害事象及 び低血糖関連の有害事象の発現割合は高かったがその発現割合に大きな違いはなかったこ と、高用量(1 mg/回)では性別による違いがみられなかったこと、及び薬物動態パラメー タに性別による違いがみられなかったことから、性別で用量を調整する必要はないと考え られた。
BMIの20 kg/m2未満、20~25 kg/m2未満及び25 kg/m2以上別では比較対照試験の有害事 象の発現割合に違いはみられなかったが、低血糖関連の有害事象はBMIが20 kg/m2未満の 被験者で発現割合が高かった。長期投与試験でもBMIが低いほど低血糖関連の有害事象の 発現割合が高かった。また、投与開始時のHbA1C値及び空腹時血糖値が低い被験者で低血 糖関連の有害事象の発現割合が高い傾向が認められた。年齢(65歳以上及び65歳未満)
及びその他の背景因子では、有害事象及び低血糖関連の有害事象の発現割合に大きな違い はなかった。
以上のように、BMIが20 kg/m2未満の被験者、投与開始時のHbA1C値及び空腹時血糖値 が低い被験者では低血糖関連の有害事象の発現割合が高くなる傾向がみられたが、発現し た低血糖関連の有害事象はほとんど軽度であり、他の経口血糖降下剤と同様に食事摂取量、
血糖値及びHbA1C値に留意しながら用量を調節し、事象発現時に適切に対応するように注 意喚起することで患者の安全性確保のための対処は可能と考えられた。
2.5.5.4.2 高齢者
高齢者(65歳以上)の2型糖尿病患者に対する本剤の安全性を検討するため、2型糖尿 病患者対象の比較対照試験及び長期投与試験の併合集計での、高齢者の有害事象、重篤な 有害事象及び有害事象による中止の発現割合を非高齢者と比較した。いずれの発現割合も 高齢者と非高齢者で大きな違いは認められなかった(2.7.4.5.1.1参照)。
低血糖関連の有害事象でも同様に、高齢者と非高齢者で発現割合に違いはなかった
(2.7.4.2.1.1.2(8)参照)。
海外の高齢者PK試験では、健康成人、健康高齢者及び2型糖尿病高齢患者で本剤の薬 物動態を比較したところ、健康成人と健康高齢者で薬物動態パラメータに差は認められな かったが、2 型糖尿病高齢患者では健康成人と比べて Cmaxは投与 1日目、9 日目共に 1.2 倍に上昇し、AUCは投与1日目で1.7倍、9日目で2.4倍に増加し、t1/2は1時間から1.7 時間に延長した(2.7.2.2.2.3(1)参照)。
以上のように、2 型糖尿病高齢患者では健康成人と比較して血中レパグリニド濃度が高 くなる傾向が認められたが、2 型糖尿病の高齢者と非高齢者で本剤投与により有害事象及 び低血糖関連の有害事象の発現割合に違いはみられなかった。しかしながら、一般に高齢 者では生理機能が低下していることから、食事摂取量、血糖値及びHbA1C値に留意しなが ら用量を調節し、経過を十分に観察しながら慎重に投与する必要があると考えられた。
2.5.5.4.3 肝機能障害
国内 2型糖尿病患者対象試験では「登録前直近の AST(GOT)、ALT(GPT)又はALP が各測定機関の基準値上限の 2.5 倍以上の患者、肝硬変患者」を対象から除外した(α-GI 剤併用前期第2相試験では肝硬変患者の設定なし)。そのため、除外基準には抵触しないが、
合併症に肝疾患がある被験者、肝疾患がない被験者別に、比較対照試験及び長期投与試験 の併合集計での有害事象、重篤な有害事象及び中止に至った有害事象の発現割合を部分集 団で比較した。その結果、いずれの発現割合も肝疾患合併の有無で大きな違いは認められ なかった(2.7.4.5.1.2参照)。また、低血糖症状の発現割合についても肝疾患合併の有無別 では大きな違いはなかった(2.7.4.2.1.1.2(8)参照)。なお、特別な被験者集団として、肝機 能障害を有する糖尿病患者を対象とした臨床試験は実施しなかった。
本剤は主に肝臓で代謝されるため、肝機能障害患者では本剤の代謝が低下し、血中レパ グリニド濃度が上昇する可能性がある。海外の肝障害患者PK 試験では、健康成人に比べ て慢性肝疾患患者のCmaxは2.5倍に上昇し、AUCは4.3倍に増加した。t1/2は2名の健康成 人で0.6時間及び1.0時間であったのに対し、慢性肝疾患患者で1.95時間に延長したこと か ら 、 肝 機 能 障 害 患 者 で は 血 中 レ パ グ リ ニ ド 濃 度 が 上 昇 す る 可 能 性 が 考 え ら れ た
(2.7.2.2.2.3(2)参照)。
また、CCDS では肝機能障害患者には慎重に投与すべきであるとされ、海外の市販後デ ータ(報告期間:1998年1月1日から2008年12月31日)では、安全性上CCDSの改訂 が必要になるような情報はなかった(2.7.4.6.2(8)参照)。
以上のように、臨床試験では除外基準でいくつかの肝機能検査値上限を規定したため肝 機能障害患者に対する十分な検討はできなかったが、除外基準に抵触しないが合併症に肝 疾患がある被験者と肝疾患がない被験者を比較して、安全性に大きな違いはみられなかっ た。しかし、肝機能障害患者では血中レパグリニド濃度が上昇する可能性が考えられたこ と、CCDS では肝機能障害患者には慎重に投与すべきとされていることから、肝機能障害 のある患者に対しては食事摂取量、血糖値及びHbA1C値に留意しながら用量を調節し、経 過を十分に観察しながら慎重に投与する必要があると考えられた。
2.5.5.4.4 腎機能障害
国内2型糖尿病患者対象試験では「腎機能障害を有する患者:登録前直近のクレアチニ
ン値が2 mg/dL以上の患者」を対象から除外した。そのため、除外基準には抵触しないが、
腎機能の指標となるeGFR(mL/min/1.73 m2 )が30以上60未満、60以上90未満、90以 上で被験者別に、比較対照試験及び長期投与試験の併合集計での有害事象、重篤な有害事 象及び中止に至った有害事象の発現割合を部分集団で比較した。その結果、いずれのカテ ゴリでも有害事象の発現割合に大きな違いは認められなかった(2.7.4.5.1.3参照)。また、
低 血 糖 関 連 の 有 害 事 象 の 発 現 割 合 も eGFR の カ テ ゴ リ 別 で 大 き な 違 い は な か っ た
(2.7.4.2.1.1.2(8)参照)。
また、海外で実施された腎障害患者治療試験では、腎正常[クレアチニンクリアランス
(CLCR)> 80 mL/min、151名]、軽度腎障害(60 mL/min ≤ CLCR ≤ 80 mL/min、64名)、中 等度腎障害(40 mL/min ≤ CLCR < 60 mL/min、44名)、重度腎障害(30 mL/min ≤ CLCR < 40 mL/min、12名)及び極度腎障害(20 mL/min ≤ CLCR < 30 mL/min、10名)の2型糖尿病患 者に本剤を0.5~4 mg/回を維持用量として3ヵ月間投与した。その結果、いずれの群でも 安全性に大きな問題はなかった。有害事象の発現割合に腎正常群と腎障害を有する群で大 きな違いはなかった。低血糖症の発現割合は腎正常群で9.9%(15/151名)、軽度腎障害群 で12.5%(8/64名)、中等度腎障害群で18.1%(8/44名)、重度腎障害群で25.0%(3/12名)、 極度腎障害群で10.0%(1/10名)で発現し、低血糖に関連した有害事象発現割合も腎障害 の程度に伴い有意に増加しなかった。また、腎障害の程度が高いほど本剤の最終投与量が 低くなる傾向が認められた(2.7.4.2.1(6)参照)。
海外の腎障害患者PK試験では、腎機能の程度をCLCRで分類し腎機能正常群(CLCR >80 mL/min)、軽中等度腎障害群(CLCR:40~80 mL/min)、重度腎障害群(CLCR:20~39 mL/min) で本剤の薬物動態を比較したところ、軽中等度腎障害群では腎機能正常群と比較して薬物 動態パラメータに違いはみられなかった。重度の腎機能障害群では腎機能正常群と比較し て血中レパグリニド濃度のCmaxが投与5日目に1.5倍に上昇し、AUCは投与1日目で1.4 倍、5日目で1.7倍に増加し、t1/2の中央値は腎機能正常群で2.10時間であったのに対し4.83 時間に延長した(2.7.2.2.2.3(3)参照)。
以上のように、国内2型糖尿病患者対象試験ではeGFRが30以上60未満、60以上90 未満、90以上のカテゴリ別で安全性に大きな違いはみられず、海外の腎障害患者治療試験