• 検索結果がありません。

12)太田正己(1995b)授業の実践段階における授業批評の影響.特殊教育学研究,

33(1),

9-16.

13)大谷博俊(2002)知的障害養護学校における授業研究‐授業批評・生徒の評価・批評 者の社会的妥当性の評価を通したボランティア体験学習の検討、改善の試み‐.特殊 教育学研究,40(2),235-242.

14)清水貞夫(1989)対立した意見の中から宝を探そう.発達の遅れと教育,

383(12), 4-5.

15)鈴木智帆・内海 淳(2008)地域生活への移行を支える進路学習の実践.秋田大学教育文 化学部教育実践研究紀要,第

30

号,113-120.

16)渡部昭男(1997)障害を有する青年のトランジション保障と職業教育のあり方.障害者 問題研究,25(2),109-123.

17)八重田 淳・柴田珠里・梅永雄二(2000)学校から職場への移行‐リハビリテーショ ンサービス連携の鍵‐.職業リハビリテーション,第

13

巻,32-39.

113

第 2 節 知的障害特別支援学校における社会資源の利用を目指した進路学習の分析

1 問題の設定

教育現場における授業研究は、実際の授業の改善をねらいとする重要な実践研究である。

研究者による障害児の授業研究への取り組みは、比較的最近のことであるが9)、その重要性 は清水18)や広瀬2)によって指摘されているところである。

知的障害養護学校における授業研究は、指導案の立案について協議を行い、その授業を 参観し、その後の授業検討会において協議するというのが一般的な方法である。ここでの 分析は、子どもの発言・行動などを分類・定量的に処理するようなものではなく、総合的・

質的な分析を行うものである18)。太田10)は、授業改善のための力となる研究のために質 的検討の必要性を指摘し、その有効な方法として授業批評を挙げている。彼は、授業批評 を「授業の改善のために授業の事実に基づいて授業実践そのものの価値(質、意義、美的 体験など)を検討、評価、批判することである」と述べ、そこでは「授業目標の適切さの 検討と目標達成の手段の妥当性」が検討されるという。授業批評は、授業者から見れば、

授業の立案から授業案作成、授業の公開、そして授業の反省の過程にあり、一方、参観者 から見れば、授業案の読みとり(検討)、授業の参観、授業の検討という過程で行われる批 評である15)。大谷16)は、これらに加え、学習者(生徒)の学習に対する評価や記述が授 業改善に影響を与えることも指摘している。

授業批評による授業研究は、豆、揺れ刺激や泡を使った遊びの学習11,14,15)、調理実 習13)やボランティア体験学習16)などを対象として行われており、授業の改善が実証され ている。また、大谷17)は、知的障害養護学校高等部生徒の進路に関するガイダンス活動を 授業批評の視点で捉え、授業の分析を行い、進路指導における授業研究の重要性を報告し ている。

一方、障害者の地域生活における「職業自立」が果たす重要性は、社会に広く認識され てきており、知的障害児教育においても進路指導に関する研究が活発に行われている1,3,

4,5,19)。松為5)は、仕事の世界への参入の準備期には、本人の様々な特性を発達させて 自立に向けた学習の支援が必要であることを指摘している。学習指導要領においても進路 指導の充実とガイダンス機能の充実が求められており6)、「自己の意志と責任で自己の進路 を選択決定する能力や態度を育むこと」「適切な情報提供や案内・説明、活動体験などを学 校の教育活動全体を通して行うこと」の重要性が指摘されている7)。進路指導論の新しい流 れとして提起されてきた進路学習は、これらに基づく学習支援であると考えてよいだろう。

このような流れに沿って、知的障害特別支援学校においても進路学習を独自の授業時間と して設定し、実施しようという試みが近年増えつつある。そのため、授業計画の立案、授 業内容や展開の検討、進路学習の理論化、その普及などが求められており3)、授業研究によ って、授業としての質を問うことが必要であると思われる。

114

そこで、本研究では、授業批評及び生徒の授業における記述と授業実践との関連性の分 析を通して、進路学習の授業目標の達成について問い、学習内容と展開の適切さについて 検討する。さらに進路学習の授業改善に対する授業批評及び生徒の授業における記述の影 響についても検討することを目的とする。

2 研究の方法

1)手続きと資料 (1)手続き

授業の研究は、太田15)の授業改善のための手続きを参考に行った。研究の過程と研究の

手続きを

Table3-2-2-1

にまとめて示した。

(2)資料

Table3-2-2-1

に示した研究の過程で作成された記録等を本研究の資料とする。すなわち、

Table3-2-2-1 授業研究の過程と研究の手続き

※【 】は授業批評や授業批評の活用、あるいは授業案検討の具体的な手続きを示す

授業担当者 授業計画の変更・作成

批評者(W特別支援学校高等 部全教員)

授業案検討会【第3時の授業案から授業意図、授業目標、指導の 手だてを読みとり、授業案の検討を行う】

授業担当者

授業計画の作成 授業担当者

実施者

批評者(W特別支援学校 授業の参観 教員)

③~⑥の繰り返し

授業批評【授業の事実に基づいて、授業目標の適切さと目標達成の手段の妥当性を検討し、

よりよい授業を創造できるように語る(太田,1994)】

批評者(W特別支援学校 教員)

授業実践  第2 時「 ど ん な余暇の過ご し方に興味がある ?」 授業担当者 授業反省【批評者による批評、生徒の授業における記述、授業担

当者自身の授業の記述を比較、分析し、成果と課題を整理する】

実 施 内 容

授業担当者 授業担当者 授業計画の作成

授業実践  第1 時「 先輩たち のある 日、ある 時」

⑪ 授業の参観 批評者(W特別支援学校

全教員)

授業実践  第3 時「 仕事のトラブ ル「 S O S 」 」 授業担当者

授業後の検討会における授業批評【授業の事実に基づいて、授業目標の適切さと目標達成 の手段の妥当性を検討し、よりよい授業を創造できるように語る(太田,1994)】

批評者(W特別支援学校 全教員)

授業反省【批評者による批評、生徒の授業における記述、授業担

当者自身の授業の記述を比較、分析し、成果と課題を整理する】 授業担当者

授業計画の作成 授業担当者

授業実践  第5 ~9 時「 W市の職業セン ター &ワー ク トレー ニン グ社の見学とま とめ 」 授業担当者 授業実践  第4 時「 W市の職業セン ター &ワー ク トレー ニン グ社」 授業担当者

③~⑥の繰り返し

115

授業案、授業担当者の授業記録、批評者による授業及び授業案に対する批評、生徒の授業 における記述(ワークシートへの回答など)である。

(3)生徒の授業における記述

第1~9時の授業の中で、それぞれの学習課題に沿ってワークシートへの記入を求めた。

第1時「先輩たちのある日、ある時」における自分が過ごしたい余暇についての記述では、

「家に帰ってから、あるいは休みの日などに自分がやってみたいと思うことは何ですか。

どんなことでもいいですから、自分がやってみたいと思うこと、こんなことができたら楽 しいだろうなということを書いてください。いくつ書いてもいいです。」と教示し、自由記 述で回答を求めた。この自分が過ごしたい余暇についての記述は、学習の導入部分

(Table3-2-2-6ⅰ①に回答を表記)とまとめの部分で(Table3-2-2-6ⅰ②に回答を表記)、

それぞれ回答を求めた。また、先輩の余暇活動の選択では、「先輩たちの活動の中で、自分 もやってみたいと思うこと、興味があると思ったことはありましたか。いくつでもいいか ら選んで書いてください。」と教示し、活動を選ぶよう求めた。第2時「どんな余暇の過ご し方に興味がある?」における自分が過ごしたい余暇についての記述では、「今紹介した活 動の中で、自分もやってみたいと思うこと、興味があると思ったことはありましたか。い くつでもいいから選んで書いてください。」と教示し、活動を選ぶよう求めた。また、自分 の興味あることベスト5についての記述では、「先週考えた自分の過ごしたい余暇、先輩の 活動でやってみたい・興味ある活動、そして、今日考えた活動の中からまず、自分が一番 やってみたいこと、興味あることを選んでください。」という教示を行い、活動を選ぶよう 求めた。その後、2番から5番まで好みの活動を選ぶよう教示し、回答を記述するよう求 めた。第3時「仕事のトラブル!「SOS」」における職業センターの役割についての記述 では、「ホ-ムページで調べたことを使って、先輩たちの悩みの解決を手伝ってください。

自分にあった仕事がどれなのかわからない、どの仕事ができそうなのかわからないという 悩みを解決するには、ジョブコーチによる支援、職業指導、ワークトレーニングのどれを 選べばいいですか。また、どうやって仕事に必要な勉強をしたらいいのかわからない、ど んなトレーニングをしたらいいのかわからない、仕事のやりかたをだれかに教えてもらい たい、現場実習のときの先生みたいな人が見つからないについてはどうですか。」と教示し、

選択するよう求めた。第5時「W 市の職業センター&ワークトレーニング社の見学とまと め」における職業センターの業務の理解についての記述では、「これからカウンセラーが職 業センターのことを話してくれます。しっかり聞いて、センターがどんなところなのか勉 強してください。説明してくださった内容について印を付けましょう。」と教示し、理解で きた内容項目のチェックを求めた。

2)対象授業

W

特別支援学校(知的障害特別支援学校)における進路指導は、現場実習(就業体験)、