批評者(知的障害特別支援学校の教員及び障害児教育専攻の学部生、計
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名。それぞれ ほぼ同数。)が授業のVTRについて社会的妥当性の評価を行った。社会的妥当性の評価を 求めるときには、「これから高等部の生徒たちが行ったボランティア活動についてのビデオ を見てもらいたいと思います。ビデオを見て後の質問に答えて下さい。はじめのビデオは ボランティアセンターで収集ボランティアをしたときの様子です。収集ボランティアとは テレホンカードやベルマークなどを集め、分類し、慈善事業に役立てるボランティア活動 の一つです。生徒たちは他の団体のボランティアと一緒にテレホンカードの分類をしまし た。質問を読んで下の答えの中から一番当てはまると思うことばを○でかこんで下さい」という教示を行った。また、社会福祉施設でのボランティア活動のビデオでは「次のビデ オは肢体不自由者の施設でボランティア活動をしたときの様子です。生徒たちは施設の職 員や他の団体のボランティアと一緒に入園者の居室の掃除や衣類の整理をしました」とい う教示を行った。回答は肯定から否定まで4段階で評定を求めた。
4 批評の結果についての分析の視点
授業後の批評、生徒の学習活動に対する批評、批評者による学習活動に対する社会的妥 当性の評価の3点(以下、3つの視点)からボランティア体験学習の単元目標の達成につ いて問い、学習活動の内容を検討するために次の視点で結果を整理、分析する。さらに3 つの視点がどのように授業改善に寄与したのかについても同様の視点で結果を整理、分析 する。
1)1年目の学習活動の内容の検討
授業の記述について3つの視点から分析し、ボランティア体験学習の活動内容について 検討する。
Table3-1-2-2 単元設定の理由における授業意図
Cグループの生徒は,校外学習におけるボーリング場の利用や現場実習での学習の際にいろいろな人と関わり,社会経験を積んできている。しかし,経済や福祉サービス,社会的資源に関しての知識はまだ乏しく,高等部段階にある生 徒として求められる社会の一員としての認識も十分にもっているとはいえない。また,これまでの現場実習以外の学習 では,健常者との関わりはあったが一緒に活動する機会はほとんどなく,人間関係を築くための基礎となる人との関わ りがこれまでの学習や経験だけでは不足しているように思われる。
そこで,この学習では,生徒に①より高い社会性を身につける,②いろいろな人との関わりを通して,共に活動する ことの喜びを感じる,③社会の中で他の人と一緒に生きていこうとする態度を身につけることを求めたい。
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2)授業改善に対する3つの視点の影響についての検討
1、2年目に行われたボランティアセンターでの活動について、1年目の授業の記述と 2年目の授業の記述・生徒の学習に対する批評とを比較し、1年目の授業後の批評・生徒 の学習に対する批評・批評者による学習活動に対する社会的妥当性の評価との関連で分析 し、これらの影響について検討する。
第 3 節 結 果
授業者(著者)による授業の記録(授業の記述)は、授業後の批評・生徒の学習活動に 対する批評・批評者の学習活動に対する社会的妥当性の評価と関連する部分の記録のみを 取り上げた(Table3-1-3-1)。また、授業後に行われた授業者(著者)と授業批評者(肢体・
知的併設の特別支援学校教員)による授業のVTRに対する批評内容の概要については、
授業の記述・生徒の学習活動に対する批評・批評者の学習活動に対する社会的妥当性の評 価と関連する部分の記録のみを取り上げた(Table3-1-3-2)。
学習活動に対する生徒の感想と評価は、Table3-1-3-3、Table3-1-3-4 に示す通りである。
また、批評者による学習活動に対する社会的妥当性の評価は
Table3-1-3-5
に示した。
Table3-1-3-1 授業者による授業の記述
〔1年目の学習〕ボランティアセンターでのボランティア体験学習
A. ボランティアに関する話は最初よく聞いていたが,後半退屈そうにしていた。
B. テレホンカードの絵柄にとても興味を示した。テレホンカードの整理はカードの絵柄を見て楽しみながら 行っていた。
C. 初めは10枚ずつ正確に数えることができていたが,1時間以上続くと間違えることもみられるようにな った。
D. 初めて接したセンターの職員や他の団体のボランティア(以下,他のボランティアとする)に教えてもら ったことはよく守り,分からないときは尋ねるなどしていた。
〔1年目の学習〕社会福祉施設でのボランティア体験学習
E. 初めのうちは教えてもらったことが十分に理解できていないにも関わらず,質問することができない生徒 もいた。入園者へのあいさつも小声でしか言えず,緊張していた。その後,時間がたつと施設職員とのやり とりもできるようになり,入園者へのあいさつの声も大きくなった。
F. 男子生徒がおこなった入園者の居室の掃除は,掃除機,ガラスクリーナーなど学校で普段使い慣れている ものばかりであったので,戸惑わず取り組めていた。
G. 女子生徒がおこなった衣類の整理は,入園者一人ひとりのカゴへの分類,タンスへの整理などが少し難し く,他のボランティアに一つひとつ教えてもらっていた。
〔2年目の学習〕ボランティアセンターでのボランティア体験学習
H. 他のボランティアにテレホンカードや古切手の整理の仕方を教えてもらったり,尋ねたり,一緒に考えた りするなどやりとりが多く見られた。
I. テレホンカードの絵柄には大変興味を示し,切手にも興味を示した。テレホンカードや切手の絵柄につい て他のボランティアと話をしながら活動していた。
J. コーヒータイムでは,コーヒーを入れたり,運んだり,砂糖が必要かどうかを他のボランティアに尋ねた り積極的に活動していた。
K. 収集箱の作製では,生徒がアイデア(「貯金箱のような感じ」「電車に似せて作りたい」など)を出し,そ れに向けて彩色や造形などについて他のボランティアといっしょに協力し,作っていた。
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Table3-1-3-2 授業のVTRに対する批評の概要
〔1年目の学習〕ボランティアセンターでのボランティア体験学習
a. ボランティア活動に関する話は,当日の活動以外のものも多く,リーフレットをもとにした説明が難しかっ たのではないか。
b. テレホンカードは100枚の束にしなければならないが,10枚ずつ数えたことで,どの生徒も取り組むこ とができていた。しかし,活動時間が少し長すぎたのではないか。休憩も必要。
c. テレホンカードにはとても興味を示し,楽しそうに活動している。
d. 他のボランティアの数が少なく,関わりを持てた生徒が少なかったのではないか。
〔1年目の学習〕社会福祉施設でのボランティア体験学習
e. ボランティア活動に関する話が,これから自分たちがする活動が施設にとってどれだけ大切なのかという内 容であったので,よく理解できたのではないか。
f. 掃除や衣類の整理には真剣に取り組んでいたのではないか。
g. 掃除は学校で普段おこなっていることなので抵抗は少ないだろうが,やってみたい活動であっただろうか。
h. 衣類の整理は他のボランティアの指示で動くことが多く,他のボランティアの手伝いにとどまっているので はないか。
Table3-1-3-3 学習活動に対する生徒の感想
〔1年目の学習〕ボランティアセンターでのボランティア体験学習
①いろんなテレホンカードはどこにあるのかなあと思いました。いろんな人とか絵とかあって,人とか絵のことが よく分かって楽しかった。
②好きな電車のテレホンカードがあったので家に持って帰りたかった。また学校でもテレホンカードを集めたいな と思います。
③テレホンカードをならべるのがおもしろかった。また,みんなとやってみたい。
④電車のカードがあった。見ておもしろかった。消防車もあった。
〔1年目の学習〕社会福祉施設でのボランティア体験学習
⑤お兄ちゃんと話をしたとき,おもしろかった。初めてだったのでどきどきした。
⑥ボランティアの人たちと服をたたみました。たくさん服があるのによく分かるなと感心しました。いいことをし たと思いました。
⑦そうじ終わったあとにうれしかった。ひまだったら,お手伝いにいきたい。
⑧鏡をふいてきれいになったから,うれしい。お兄さんがとてもおもしろかったです。向こうの人が喜んでて,ま た行きたいなと思いました。
⑨思ったことよりもちがったことをやったのでしんどかった。でも感謝の言葉を聞いてそうじをしてよかった。
〔2年目の学習〕ボランティアセンターでのボランティア体験学習
⑩いい勉強になりなした。箱作りすごく楽しかった。またボランティアやりたい。
⑪おじさん,おばさんと一緒に切手を切るのやってみて楽しかった。
⑫おもしろかった。おばさんといっしょにやってよかった。
⑬やってみて一番楽しかったことは箱作りです。初めは難しいかなと思ったけど,ボランティアの人たちとワイワ イしながらできてよかった。また友だちと一緒に古切手の整理をしたい。
⑭みんなと話したりしてボランティア体験ができて楽しかった。またしたい。