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運送にかかる実証実験による考察

ドキュメント内 BOPビジネス (ページ 60-64)

第 4 章 低所得階層が入手、調達可能な製品・サービスの問題点と潜在ニーズ

6. 運送にかかる実証実験による考察

日本製の緩衝材が現地で農産品の輸送工程における収穫物の損傷の軽減に寄与しうるか、

実証実験を行った。以下に、商品説明、実験概要とその結果、実験に基づく今後の検討事項を紹 介する。

① 商品説明

課題に対する効果 現地では道路整備状況が悪く、トラックに乗せた野菜・果物に損傷が 起きている。緩衝材は、これら野菜・果物等の輸送時に発生する収穫 物の損傷を軽減する。

価格 現在、日本国内生産の場合、1枚当たり23円(2枚1セット46円)す る。要検討。

素材 ポリプロピレン(PP) 変更可能。

サイズ 220×370×13mm、厚さ:0.5mm、重さ36g

強度 耐加重:80kg (繰り返し使用可能)

操作 2枚の緩衝材を1組で使用する。要検討。

環境への配慮 使い捨てペットボトル等を原料に生産可能。

文化への配慮 特になし。ただし、トラックへの積み込み時の手間と品質保持に対す る価値観へのさらなる理解は必要である(④今後の検討事項参照)。

物流 これらの緩衝材の販売相手は現地の仲介業者となる。一般的な物流 は、小規模農家から中間業者が野菜・果物を買い取り、運搬し、学校 やホテル、病院、小売店等、あるいは別の中間業者に販売する。

製造会社 株式会社ラプロパック

ミルクコンテナを運ぶ様子

ラプロパック社の緩衝材(試作品) 2枚1組で裏返してセット

使用例

(写真出所)株式会社ラプロパック

②実験内容

搬送物 トマト (ケニアにおける高い生産量と傷つきやすさを考慮し、トマトを 対象に選定)

輸送時間 産地から都市部までの10時間 (休憩時間を除く)

輸送距離 約200km (未舗装道路と舗装道路を走行)

緩衝材の使用枚数 56枚 (底から7層にトマトを敶き詰める)

輸送車両 ダブルキャビン(座席が二列タイプの)ピックアップトラック 実験日時 2011年1月12日 6:00~19:00

緩衝材を敶き詰めたコンテナ 緩衝材有り・なしで比較 緩衝材無

緩衝材有 実験輸送経路(ニエリ→ナロモル→ナイロビ)

タンザニア ウガンダ

エチオピア

ソマリア スーダン

●ナイロビ

●キスム

●ロドワル

モンバサ

●サガナ

ディアニ

キリフィ

●ボンド

●ナロモル トゥルカナ湖

ビクトリア湖

インド洋

●ニエリ

③実験結果

輸送時におけるトマトの通常の損傷率が 33.3%であるのに対し、緩衝材を利用するこ とにより、損傷率が 26.7%にまで下がった。

また、完全に潰れて利用価値がなくなるのを 防ぐことにも繋がった。しかし、緩衝材の形 状や組み合わせ、コスト等に課題が残る結 果となった。

輸送後半の積載状況

表 4-15 実験結果

緩衝材 有 緩衝材 無

重量 30kg 30kg

損傷量 8kg 10kg

損傷率 26.7% 33.3%

損傷物の詳細 表面の痛み(2kg) 潰れ(6kg)

表面の痛み(3kg) 潰れ(4kg) 完全に潰れ廃棄(3kg)

販売価格を比較すると、30キログラムのトマトを運送した場合、緩衝材が有るコンテナで運送さ れたトマトは計1,530KSh、緩衝材のない方は1,395KShが販売価格となり、緩衝材を用いること により売上が135KSh増加した。

表 4-16 実験後の販売価格

販売量

(kg)

販売価格

(KSh)

販売量

(kg)

販売価格

(KSh)

グレード1(良質) 70 12 840 9 630

グレード2 55 10 550 11 605

傷みのあるトマト 40 2 80 3 120

潰れているトマト 10 6 60 4 40

合計 - 30 1,530 27 1,395 緩衝材 有 緩衝材 無 単価

(KSh/kg)

④今後の検討事項

上記の実験により、今後の課題として次の点が挙げられる。

・取り扱いの容易性について

この緩衝材は、2 枚1 組として野菜・果物等の積み上げ時に手で組み合わせる仕様となっ ている。しかし、物流時に現地で日常行われている積み上げ方は乱雑であり、大量の野菜・

果物の一つ一つを傷つけないように丁寧に扱う慣習はあまり見られない。そのため、高付加 価値商品ではないモノに、こうした緩衝材を丁寧にセットしていくことを定着させるのは現実に は難しい。

また、2 枚の緩衝材には、長手方向に組み合わせの向きが存在することも、その確認に時 間が掛かる上、複雑化するため、現地での積み上げ時の状況を踏まえると、改善する必要が ある。

・コンテナ形状について

輸送時の振動を受けて、2 枚セットの緩衝材にずれが生じた。そのため、緩衝材の端の部 分がカッターのようにトマトを鋭利に切削し損傷した。よって、汎用的なコンテナ・サイズに合わ せて緩衝材を設計し直す必要がある。あるいは、2枚セットを1枚で済むようにしたり、端の部 分の形状を変える必要がある。

・緩衝材の省スペース化について

本来であれば実験に使用したコンテナのトマト積載量は 55 キログラム程度のところ、本緩 衝材がスペースを取り、30 キログラムしか積めず、運送効率が 54.5%に減尐した。一方、本 緩衝材の耐加重は1セット当たり80キログラムと余裕がある。積載量を増やすためには、よ りコンパクトな設計にする必要がある。

・コストとそれへの対価について

今回の実験に用いた製品は、日本で生産した場合の価格は1枚当たり23円(1セット46 円)と高額で、野菜・果物のロス率低減に対するコストに見合わない。そのため、現地生産や、

素材の変更等によるコスト削減が必須である。

現地では、マンゴーの輸送時にコンテナの上下に草を敶き詰める例もある。また、傷の付い た野菜・果物は破棄するのではなく、通常より価格を落として販売している。そのため、緩衝 材を利用する対象は付加価値の高いものに限定される。

今回は実証実験として、試作品を用いて行ったものである。改良すべき点は多々残ったものの、

輸送時における輸送物の損傷は多くの途上国で課題となっている。緩衝材のビジネスは、原材料 の調達や製造場所を考慮に入れながら検討する必要があろう。

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