となり、書かなかった項は無視できる。従って M =t
[ 1
(t+ 1)2 + 1
(t+ 2)2 +. . .+ 1
(t+h)2 +. . . ]
= 1
となる、というのは、tが十分に大きいという仮定の下では以下が成り立っ ているとしてよいからである。
∑∞ t
1 (t+h)2 =
∫ ∞
0
dh
(t+h)2 = 1 t.
logµの算術平均M は1なので、µの幾何平均eM はeとなる。an−1が与 えられたとき、anの幾何平均はean−1となり、従って、nが十分に大きいと きは、anの幾何平均はenに比例して増大する。
もちろん、anがenよりもっと早く増大するものや、もっとゆっくり増大 するようなαを定義することはできる。実際、天下り的に、αを、anとし てが
an > een を満す最小の数をとったり、
an<log logn
を満す最大の数をとることで、そういう数を構成できる、ただし、後者では 右辺が2より小さいときはan = 2とする。後者では、次第に多くの続くan が同じ値を取るようになるが、anはnとともに際限なく大きくなることには 違いなく、それゆれαは無理数となるのである。
無理数を有理数で近似するという観点から、階乗記法と逆数和展開とを 比較することは興味深いが、それは、この本の主題から逸れるので、これ以 上追求しないことにする。
る、ということを、最後に余りが零となるまで次々と繰りかえす。最後の除 数は、1となることもあるが、それが最大公約数となる。
比が無理数の二数に、同じ操作を行う。ただし、各ステップの割り算は、
商が整数でなくなる直前まで行う。そうすると、一連の操作は限りなく続け ることができ、連分数が得られる。各操作での商は不完全商と呼ばれる。上 で述べたように、与えらた数の大きい方β を小サイ方αで割ることから始ま る。こうしてえられる連分数は、β のαによる商を表わす。
実際、
β = αa1+r1,
α = r1a2+r2, ... ,
とおくと、
α
β = α
aα1+r1 = 1 a1+ r1
α ,
となり、次に、
r1
α = r1
r1α2+r1 = 1 a2+ r2
r1 ,
となり
α
β = 1
a1+ 1 a2+r2
r1 .
これを限りなく続けると、次のように、しばしば圧縮して表示される連 分数が得られる:
(2) α
β = (a1, a2, a3, . . . , an, . . .), ただし、an はすべて正の整数である。
以上のように、連分数のアルゴリズムを、0,1の間のあるすべての数α β を (2)の形式で表示する、数記法とみなすことができる。もちろん、β= 1とす ることができ、その場合にはαは0と1の間にある数とする。
数αが有理数のとき、連分数展開は有限で終わる。もしもanが1より大 きいとき、
(a1, a2, . . . , an) = (a1, a2, . . . , an−1,1) たなりたつ一方、an= 1のときは、
(a1, a2, . . . , an−1,1) = (a1, a2, . . . , an−1+)
が成り立ち、すべての有理数は、有限連分数により二通りの方法で表すこと ができる。それに対し、無理数αの無限連分数表示は一意的となる。
連分数の簡約化とは、(1)の列を最初のn項だけとったものから得られる 既約分数のことを言う。そこで
(3) Pn
Qn = (a1, a2, . . . , an) とおくと、次の公式が容易に示される:
(4)
{ Pn+1 = anPn+Pn−1, Qn+1 = anQn+Qn−1;
(5) Pn−1Qn−PnQn−1 = (−1)n.
これにより、式(4)で連分数の簡約化が定義されることがわかる。この簡約 化の数列は、連分数より小くなることと大きくなることを交互に繰り返して 連分数に近づく。
なお、(5) により次がなりたつ:
α = 1
a1 − 1
Q1Q2 + 1
Q2Q3 − 1
Q3Q4 +. . .+ (−1)n
QnQn+1 +. . . .
最初の不完全商a1が与えられた数kとなる確率は簡単に計算でき、
(6) pk = 1
k(k+ 1)
となる。
しかし、a2についての同じ問題は解決がもっと難しくなり、一般のanに ついては、もっと難しくなる。実際、anが与えられた数kとなる確率は、k だけでなく不完全商a1, a2,· · ·, an−1の値にも依存する。もっと正確には、最 後の2つの簡約化の値、すなわち、4つの値Pn−2, Qn−2, Pn−1, Qn−1 に依存す る。しかしながら、これらの値がどうであれ、anがkと等しくなる確率は、
(7) pk = a
k(k+ 1)
となることがわかる。ただし、aは1と2の間の数であるが17、上で言及した 4つの数に依存する。
さらに、a1, a2,· · ·, an−1のそれぞれが与えられた数kとなる確率の平均 を計算することもできる。この合成された確率pkも明らかに(7)式で与えら れ、a は色々な値をとりえるが、いつも1と2の間にある。
以上から容易にわかるように、不完全商の一つanがkより大きくなる確 率qkの値は
qk = a k で与えられる。
qkの級数は発散することから、以下のことが結論できる。もしも、n番目 の不完全商anがn以上であることを好ましい事象であると考えると、その 事象は無限回起きる、すなわち、その事象が有限回しか起きない確率はゼロ である。
この結果から引きだすことができる興味深い諸結果については、ここで は追究しせず、先に引用した本に委ねることにしたい。
前節で逆数和記法により、0と1の間にあるすべての無理数αに対し、非 減少な無限自然数列が対応したのに対し、連分数論を使うとαに対し、任意 の無限自然数列が対応した。後者の無限列の方が前者よりも一般であると思 うかもしれないが、一方を他方に変換することは簡単にできる。もしもanが 非減少数列の一般項とするとき、
bn=an+1+ 1−an
17 ここでは得られた結果を少し単純化している。この単純化は、それらの結果から導び く結果には影響しない。もっと正確な記述は、私の「集合論の基礎」の註1をみていただき たい。
とおけば、bnは任意の無限自然数列となる。逆に、a1を2以上の任意の数を 選び
an+1 =b1+b2+· · ·+bn−n+a1 と表示できる。
このことからわかるように、非減少無限自然数列を与えることと、任意 の無限自然数列を与えることとの間には、一般性という点では、違いはない。
しかし、これらの二種類の数列の種々の与え方において、各位が与えられた 数となる確率は、一般には異なる。