が得られ、これに対応して自然数の非減少列
a1 ≤a2 ≤a3 ≤a4 ≤ · · · ≤an≤ · · · が得られる。
このとき、数αは、標準逆数展開される:
α= 1 a1 + 1
a1a2 + 1
a1a2a3 +. . .+ 1
a1a2a3. . . an +. . . . もしもある桁から先のanが互いに等しくなるとき、
(11) 1
an + 1 a2n + 1
a3n +. . .= 1 an−1. となる。
このことから、n桁目から先は、anが互いに一致すると仮定することは、
an−1 がanより小さいということになり、従って、大きくてもan−1となる。
一方、このとき、
1 a1a2. . . an−1
( 1 an
+ 1
a2n +. . .+ 1 akn +. . .
)
= 1
a1a2. . . an−1(an−1), なので、αの値は、次の有限展開と等しくなる:
α= 1 a1 + 1
a1a2 +. . .+ 1
a1a2. . . an−1 + 1
a1a2. . . an−1(an−1)
ただし、an−1はan−1以上である。以上により、数 αは有理数であること がわかった。このとき、(1)の二番目の不等号は、ある段階で等号となる。階 乗記法のときと同じように、有理数は、有限展開と無限展開の2通りに表示 できるのに対し、無理数は逆数和展開として唯一つの方法で表示できる。唯 一性は、少数展開の最初の位が1となるよう基の中で最大のものをa1とし、
以下、同様に選ぶことによる。
逆に、無限数列が与えられ、非減少で、しかも、ある番号から先は同じ 数である、ということはなく、従って、anはnとともに限りなく増大してい くものとする。このとき、
(9) α= 1
a1 + 1
a1a2 + 1
a1a2a3 +. . .+ 1
a1a2. . . an +. . .
とおくと、数列
(10) a1 ≤a2 ≤a3 ≤a4 ≤. . .≤an≤. . .
は、逆数和展開が(10)であるような無理数をただ一つ定める。実際、(9)と (10) から、二つの不等式(1)、あるいは同じことだが、(2)と(3)を得る。実 際、(9)より
(11) r1 =a1α−1 = 1 a2 + 1
a2a3 +. . .+ 1
a2a3a4 +. . .
となるが、不等式(10)から、(11)の各項は、(9)の同じ場所の項以下である が、各項がすべて一致するのは、(10)の不等号がすべて等号となる場合であ るが、これは、anがnとともに限りなく増大する、という仮定に反する。
逆数和展開は、ある意味で、階乗展開とは逆の定義となっている。実際、
階乗展開では、分母の因子列が自然数の自然な増大列として与えられている のに対しn−1位の分子はn個の異なる値をとりえる。逆に、逆数和展開で は、すべての分子は1であり、分母をなす因子を適切に選ぶことにより、任 意の数α を表示できる。
最初のn−1個の因子a1, a2, . . . , an−1 がわかっているとき、次の桁anの 確率はどのくらいかを調べることは興味深い。
a1, a2, . . . , an, . . .が与えられたとき、
α = 1 a1 + 1
a1a2 +. . .+ 1
a1a2. . . an−1 +rn
となり、余剰項rnは不等式
0< rn< 1 a1a2. . . an−1
1 an−1−1 を満す。もしも
1
k < rna1a2. . . an−1 < 1 k−1
ならば、anはkと一致する。従ってanがとりえる最小の数は、an−1 である。
k=an−1+hとおくと、hは0から∞まで動きえて、hが与えられた数をと
る確率は、rnについての2つの区間(2)と(1)との比となる。従って、共通 項であるa1, a2, . . . , an−1の昔の逆数を約すると、確率は、
1
an−1+h−1 − 1
an−1+h を 1 an−1−1 で割った商となり、an−1−1 =tとおくと、これは
ph = t
(t+h)(t+h+ 1) となる。
p0+p1+p2+. . .+ph+. . .= 1, となることが容易に確かめられ、
an = an−1+h an−1 = 1 +t とおくと、
µ= an
an−1 = 1 +t+h 1 +t となる。
ここで、logµの平均値を計算してみよう。この平均値M は、定義によ り、、その各値logµを、その確率を乗じて加えたもの、すなわち、
M =
∑∞ h=0
t
(t+h)(t+h+ 1)log 1 +t+h 1 +t .
となり、結局
M = t
t+ 1logt+ 2 t+ 1 + t
t+ 2logt+ 3
t+ 2 +. . .+ t
t+hlog t+h+ 1 t+h +. . . となる。しかし、tが十分に大きいときは
logt+h+ 1
t+h = 1
t+h −. . .
となり、書かなかった項は無視できる。従って M =t
[ 1
(t+ 1)2 + 1
(t+ 2)2 +. . .+ 1
(t+h)2 +. . . ]
= 1
となる、というのは、tが十分に大きいという仮定の下では以下が成り立っ ているとしてよいからである。
∑∞ t
1 (t+h)2 =
∫ ∞
0
dh
(t+h)2 = 1 t.
logµの算術平均M は1なので、µの幾何平均eM はeとなる。an−1が与 えられたとき、anの幾何平均はean−1となり、従って、nが十分に大きいと きは、anの幾何平均はenに比例して増大する。
もちろん、anがenよりもっと早く増大するものや、もっとゆっくり増大 するようなαを定義することはできる。実際、天下り的に、αを、anとし てが
an > een を満す最小の数をとったり、
an<log logn
を満す最大の数をとることで、そういう数を構成できる、ただし、後者では 右辺が2より小さいときはan = 2とする。後者では、次第に多くの続くan が同じ値を取るようになるが、anはnとともに際限なく大きくなることには 違いなく、それゆれαは無理数となるのである。
無理数を有理数で近似するという観点から、階乗記法と逆数和展開とを 比較することは興味深いが、それは、この本の主題から逸れるので、これ以 上追求しないことにする。