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第 4 章 車両挙動の把握

4.2 車両の横方向挙動の分析

ACC車両で走行すると,ドライバーは速度や車間距離の制御タスクから解放されるため,操 舵に注意を多く配分できることが予想される.一方,制御タスクからの解放によって,運転そ のものへの注意が疎かになる可能性もある.

ここで,Beede and Kass36)は,車線中心からのずれを評価指標として,携帯電話の使用によ る注意の分散が運転挙動に与える影響を調査している.これにならい,本節では,車線中心か らのずれ(単位[m],正値:進行方向右向き,負値:進行方向左向き)を評価指標として,ACC 車両の混在が車両の横方向挙動に与える影響を考察する.なお,分析対象区間内で車線変更を 行った車両は,算出から除外する.

4.2.1 横方向変位の平均値の推移

まず,各混在比率パターンについて,0.02kpおきに対象とする車両の車線中心からのずれを 算出し,平均値を求める.分析対象区間別の結果を道路線形図と合わせて図 4.1に示す.

このグラフから,いずれの区間においても,平均値の推移は似た傾向であり,混在比率によ る違いを読み取ることは難しい.一方,サグ部の下り勾配区間の1.5~2.0kp,カーブの円曲線 区間から直線区間にかけての9.0~10.0kpにおいて,いずれのパターンでもずれが大きいこと から,道路線形の影響が強いと考えられる.

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4.1 車線中心からのずれの推移

4.2.2 被験者別の横方向変位

そこで,ずれが比較的大きかった高松道区間に着目し,混在比率の違いが車線中心からのず れに与える影響を被験者別に確認する.まず,それぞれの被験者に対して,車線中心からのず れの標準偏差を求め,運転経験の有無も考慮に入れて,被験者間で比較する.次に,混在比率 パターン間で標準偏差の相関係数を算出する.ここで,運転経験の有無は走行前に行ったアン ケートの回答より判断した.具体的には,自動車の運転頻度と高速道路の利用頻度を問う設問 において,いずれも「ほとんど運転しない」と回答した被験者を「運転経験無」(N=14)に,

それ以外の被験者を「運転経験有」(N=18)に分類した(表 4.1).表中,「運転経験無」のグ ループを橙色の枠で,「運転経験有」のグループを青色の枠で囲んである.

混在比率パターン別・被験者別のずれの標準偏差を表 4.2に,混在比率パターン間の標準偏差の 相関係数を表 4.3に示す.なお,表 4.2では,各パターンにおける上位5サンプルのセルを赤色に,

下位5サンプルのセルを緑色に,そして,運転経験無のセルを橙色に,運転経験有のセルを青色に 着色してある.また,ACC車両で走行したサンプルを枠囲みしてある.そして,表 4.3では,相 関係数が0.6以上のセルを赤色に着色してある.

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

車線中心から[m]

kp [km]

中央道(1.0~3.0 kp)

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4

5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 kp [km]

山陽道(5.0~7.0 kp)

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4

8.5 9.0 9.5 10.0

kp [km]

高松道(8.5~10.0 kp) M0 M1 A1 M5 A5

0.0 1.0 2.0 3.0

4.0 5.0 6.0 7.0

8.0

9.0 10.0 R=400 11.0 曲線区間

(緩和曲線含む)

曲線区間

(緩和曲線含む)

R=3000 R=1500

曲線区間

(緩和曲線含む)

調整区間1

調整区間2

中央道

山陽道 高松道

0.0

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

7.0 8.0

9.0 10.0 11.0 曲線区間

(緩和曲線含む)

勾配 最小 -1.3%

最大 2.5%

平均 1.19%

調整区間1

曲線区間

(緩和曲線含む)

勾配 最小 -0.3%

最大 2.82%

平均 0.85%

勾配 最小 -2.0%

最大 -0.3%

平均 -0.87%

曲線区間

(緩和曲線含む)

調整区間2

中央道

山陽道

高松道 平面線形

縦断線形

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4.1 自動車運転頻度・高速道路利用頻度に基づく被験者の分類

高速道路利用頻度 ほとんど

運転しない

年1回以上

5回未満 年5回以上

自動車運転頻度

ほとんど

運転しない 14 5 1 月1回以上

5回未満 2 4 1

月5回以上 2 1 2

4.2 車線中心からのずれの標準偏差 [m]

ID 運転経験 M0 M1 A1 M5 A5

1 0.22 0.23 0.31 0.23 0.25

2

3 0.38 0.33 0.43 0.44 0.42

4 0.28

5 0.33 0.36 0.47 0.59 0.49

6

7 0.27 0.22 0.24 0.29 0.25

8 0.34 0.17 0.31 0.17

9 0.28 0.33 0.21

10 0.30

11 0.23 0.19 0.27 0.18 0.18

12 0.20

13 0.15 0.17 0.14 0.15 0.17

14 0.40 0.26 0.29 0.25

15

16 0.18 0.18

17

18 0.38 0.50 0.29 0.43 0.45 19 0.24 0.26 0.41 0.38 0.37

20 0.32 0.33 0.19

21 0.32

22 0.44 0.33 0.51

23 0.24 0.26 0.40 0.28 0.27

24 0.26 0.37

25 0.33 0.35 0.31

26 0.27 0.27 0.22 0.23 0.21 27 0.19 0.23 0.19 0.21 28 0.37 0.33 0.34 0.25 0.22 29 0.28 0.20 0.29 0.37 0.31

30 0.28 0.25 0.27

31 0.35

32 0.42 0.24 0.33 0.27

注:ずれを算出していないサンプルは空欄としてある

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4.3 標準偏差の相関係数

M0 M1 A1 M5 A5

M0 1

M1 0.79 1 A1 0.44 0.27 1 M5 0.66 0.5 0.65 1 A5 0.52 0.61 0.74 0.77 1

表 4.2から,ID3,5,18のように,いずれのパターンでもずれの大きい被験者や,ID11,

13,27のように,いずれのパターンでもずれの小さい被験者が確認できる.ここで,ID3,5, 18はいずれも「運転経験無」に属している.また,ID3,5より,ACC車両で走行していても ずれが大きいことも確認できる.したがって,車線中心からのずれは被験者に依存すると考え られる.

さらに,表 4.3より,相関係数が0.6以上となるペアが多数確認できることから,同一のド

ライバーであれば,ずれの標準偏差は混在比率によらず似た傾向となることが示唆される.以 上より,車線中心からのずれは,ACCの有無やACC車両の混在比率よりもむしろ,運転頻度 をはじめとするドライバーに依存すると考えられる.

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