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第 4 章 車両挙動の把握

4.3 コンフリクト指標を用いた安全性評価

32

4.3 標準偏差の相関係数

M0 M1 A1 M5 A5

M0 1

M1 0.79 1 A1 0.44 0.27 1 M5 0.66 0.5 0.65 1 A5 0.52 0.61 0.74 0.77 1

表 4.2から,ID3,5,18のように,いずれのパターンでもずれの大きい被験者や,ID11,

13,27のように,いずれのパターンでもずれの小さい被験者が確認できる.ここで,ID3,5, 18はいずれも「運転経験無」に属している.また,ID3,5より,ACC車両で走行していても ずれが大きいことも確認できる.したがって,車線中心からのずれは被験者に依存すると考え られる.

さらに,表 4.3より,相関係数が0.6以上となるペアが多数確認できることから,同一のド

ライバーであれば,ずれの標準偏差は混在比率によらず似た傾向となることが示唆される.以 上より,車線中心からのずれは,ACCの有無やACC車両の混在比率よりもむしろ,運転頻度 をはじめとするドライバーに依存すると考えられる.

33 4.3.2 中央道区間における負値PICUD検出率

まず,中央道区間における,各混在比率パターンの負値PICUD検出率を図 4.2に示す.

4.2 中央道区間における負値PICUD検出率

この図から,全体的にパターンM0で負値PICUD検出率が高いことが確認できる.また,

パターンM1とA1は,M0に比べると検出率は低いが,パターンM5とA5よりは高い傾向も 確認できる.

そこで,この傾向が顕著に見られる2.0kp付近を対象に,パターンM0,M1,M5に関して,

特徴的な挙動が観察された車両に着目し,上記の結果が得られた要因を考察する.図 4.3 に,

M0のID16,M1のID21,M5のID16とその前方車両のTime-Space図,及び速度とPICUD の推移を示す.

パターンM0では,実験開始後経過時刻97秒(1.9kp,サグ部の下り勾配区間終端部)付近 でID13(MD車両)が減速した後,5,6秒近い反応遅れを伴い,追従するID16(MD車両)

が減速していることが読み取れる.この間,ID16のID13に対する相対速度は増加し,かつ,

ID16の車頭距離が低下している.その結果,PICUDが急激に低下して,101秒(1.9kp)付 近で負値となることが確認できる.このような事例が,他にもID8,9,28で確認されたこと から,MD車両の場合,前方車両の減速に対する反応遅れにより,追突事故リスクが高い状態 になりやすいと考えられる.

次に,パターンM1のID21(ACC車両)に着目すると,113秒(1.9~2.0kp,サグ底部)

付近で先行するID20(MD車両)が減速しているが,ID21はほとんど遅れることなく114秒

(1.9kp)付近で減速している.その結果,相対速度が増加したり,車頭距離が低下したりす ることはなく,PICUDも正値を維持している.第3章で述べたように,ACC車両は前方車両 の加減速に対して遅れることなく緩やかに反応するため(ACCの効果②),追突事故リスクが 高まるのを防ぐ効果があると考えられる.ACC車両が混在したことで,M1,A1の負値PICUD 検出率がM0に比べて低くなったと考えられる.

そして,さらに混在比率が高いパターンM5のID16(ACC車両)では,M1のID21と同 様に,前方を走るID14(MD車両)の減速にほとんど遅れることなく減速しているため,PICUD は正値を維持している.さらに,M5 では,M1 に比べて前方車両の減速が緩やかであること が読み取れる.これは 3.4.2 項で指摘したように,ACC により道路線形に起因する速度低下 が抑えられた結果であると考えられる.そこで,PICUD の最低値を参照すると,M1 に比べ M5の方が大きいことが読み取れる.以上のことから,ACCにより個々の車両の追突事故リス クが低減することに加えて,ACC 車両の混在比率上昇によって,交通流全体の安全性が向上 する可能性が示唆される.

M0 M1 A1 M5 A5

1.0kp 1.5kp 2.0kp 2.5kp 3.0kp

50%

40%

30%

20%

10%

0%

34

4.3 中央道区間における車両挙動とPICUD

4.3.3 山陽道区間における負値PICUD検出率

次に,山陽道区間における,各混在比率パターンの負値PICUD検出率を図 4.4に示す.

この図から,5.9kp付近において,パターンA1で負値 PICUD検出率が高いものの,区間 全体では検出率が低いことが確認できる.これは,中央道区間や高松道区間とは異なり,大き な減速などの速度変化が生じていないためであると考えられる.

4.4 山陽道区間における負値PICUD検出率

1.8 1.9 2.0 2.1 2.2

96 100 104 108 112

kp [km]

Time [s]

M0

-40 -20 0 20 40 60 80

60 70 80 90 100 110 120

96 100 104 108 112 PICUD [m

]Speed [km/h]

Time [s]

M0 ID16

(following vehicle) ID13(leading vehicle) PICUD

1.8 1.9 2.0 2.1 2.2

100 104 108 112 116

kp [km]

Time [s]

M5

-40 -20 0 20 40 60 80

60 70 80 90 100 110 120

100 104 108 112 116

PICUD [m

]Speed [km/h]

Time [s]

M5 ID16

(following vehicle) ID14(leading vehicle) PICUD -40

-20 0 20 40 60 80

60 70 80 90 100 110 120

110 114 118 122 126

PICUD [m

]Speed [km/h]

Time [s]

M1 ID21

(following vehicle) ID20(leading vehicle) PICUD 1.8

1.9 2.0 2.1 2.2

110 114 118 122 126

kp [km]

Time [s]

M1

Height [m]

Height [m]

Height [m]

vehicleACC

vehicleACC

vehicleACC

vehicleACC

0.0

1.5

3.0 1.81.92.02.12.20.01.5

3.0 1.81.92.02.12.20.01.5

3.0 1.81.92.02.12.2

M0 M1 A1 M5 A5

5.0kp 5.5kp 6.0kp 6.5kp 7.0kp 50%

40%

30%

20%

10%

0%

35 4.3.4 高松道区間における負値PICUD検出率

そして,高松道区間における,各混在比率パターンの負値PICUD検出率を図 4.5に示す.

4.5 高松道区間における負値PICUD検出率

この図から,4-3-2項と同様に,パターンM0で負値PICUD検出率が高く,他のパターン M1,M5,A5では,M0 よりも検出率が低いことが確認できる.しかし,パターンA1では,

9.0kp付近においてM0よりも検出率が高く,4-3-2項の結果とは整合しない.

ここで,高松道区間における交通流の特性を確認すると(図 3.13),A1のみ8.0~9.0kpに かけて車頭距離の平均値が大きく低下しているのが確認できる.そこで,PICUD が負値とな ったID19とその前方車両の9.0kp付近におけるTime-Space図,速度とPIUCUDの推移を

参照し(図 4.6),車頭距離とPICUDの関連性を考察する.図 4.6から,実験開始後経過時刻

382秒(8.9kp,緩和曲線区間の始点)付近で先行するID18(MD車両)が減速を始め,それ に2,3秒遅れてID19(MD車両)が減速していることが読み取れる.この反応遅れにより,

2車両の車頭距離が減少するのが確認できる.その結果,PICUDは低下を続け,388秒(8.9kp, 緩和曲線区間の始点)付近で負値になったと考えられる.このような車頭距離の減少が多数発 生したため,A1で検出率が高くなったと考えられる.このように,ACCが導入されても,交 通流に擾乱が発生すると事故リスクは高まると考えられる.換言すれば,ACC 車両の混在比 率が 50%になれば交通流の整流化が期待できるため(3.4.2 項),追突事故リスク増加の契機 となる擾乱の発生そのものが抑制されることが予想される.

4.6 高松道区間における車両挙動とPICUD

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