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第 3 章 超音波伝播解析手法について

3.4 音源重ね合わせ超音波伝播シミュレーション手法

3.4.2 斜角探傷試験結果との比較による SPM 法の精度検証

SPM法による超音波シミュレーションの妥当性を検証するため,人工欠陥試験体を用い た斜角探傷試験を行い,シミュレーション結果との比較を行った結果を示す。

(1)試験方法

人工欠陥試験体の外観を Fig.3.9 に示す。試験体は機械加工を容易にするために試験体 端面を欠陥面と同じ角度になるようにあらかじめ加工し,斜めに加工した面から機械加工 で欠陥を加工したものである。試験体幅(100mm)に欠陥長さ 10mm,厚み 20mm の帯 状に切り欠きを入れた試験体で,欠陥幅を無限大とした2次元欠陥を模擬したものである。

試験体の切断面の角度を変えることで欠陥の傾きαを45 度,50度,60度,70 度に変え ている。探傷面となる試験体表面と欠陥中心との距離(欠陥深さ)を21.2mmとしている。

試験は,周波数2MHz,振動子寸法 10×10mm,屈折角 45度の斜角探触子を用いて,

試験体表面上の幅中央位置で,欠陥に対して探触子を前後に移動させることで欠陥からの エコー高さの変化を捉えた。エコー高さは,深さ 21.2mm の位置に加工したφ3mm の貫 通横穴(標準欠陥)から得られたエコー高さを基準とした相対エコー高さとして求めた。

n

r

receiving

・・・・・

1 ,

s

1

s

1,2

s

1,3 

s

1,i

s

1,n

1 ,

s

2

s

2,2

s

2,3

s

2,m

・・・・・

The course of transmitting to the back of surface transmitting

35

21.221.2

Defect surface

Fig.3.9 Appearance of test specimen

(2)計算モデルと計算条件

試験体に対応した計算モデルをFig.3.10,計算条件をTable 3.2に示す。欠陥の傾きα は,45度,50度,60度および 70度の 4種類である。探触子は実際の試験に使用されて いる周波数2MHz,振動子寸法10mm,屈折角45度,60度,70度の斜角探触子を想定し てモデル化した。欠陥中心位置を基準に探触子を前後方向に走査(Fig3.10 において左右 方向)させ,探触子位置と各位置における欠陥からのエコー高さの最大振幅を求めた。な お,探傷面より深さ 21.2mm の位置にあるφ3.0mm の横穴欠陥に対するエコー高さを計 算により求めこれを基準エコー高さとしている。領域分割幅は波長の1/2以下に設定すれ ば計算精度を保つことができることがわかっている。以降では領域分割幅は 0.3λ(λは 波長)として計算を行う。

なお,SPMにおける受信波形は入力波形の精度によって変化する。精度の良い受信波形 を得るためには,実験で得られた計測波形を正確に再現して入力波形とすることが重要で ある。以下のシミュレーションでは,実験で得られた計測波形を入力波形としシミュレー ションを実施している。

Fig.3.10 Calculating model for angle ultrasonic testing

45,50,60,70deg

 

45,50,60,70deg

 

36 Table 3.2 Calculating condition

(3)計測結果と計算結果の比較

得られたエコー高さの変化の結果を Fig.3.11に示す。Fig.3.11(a)は欠陥角度 45度に対 して屈折角45度の探触子で,Fig.3.11(b)は欠陥角度 70度に対して屈折角70度の探触子 で探傷した場合で,欠陥中心を狙ったときに欠陥面への超音波の入射角は0度(垂直入射)

となる。シミュレーション結果は実験結果とよく一致している。

Fig.3.11(c)~Fig.3.11(e)は欠陥中心を狙ったときに超音波の入射角が欠陥面に対して 0

度(垂直入射)にならない場合である。シミュレーション結果は実験結果とよく一致して いることがわかる。Fig.3.11(d)および Fig.3.11(e)に示すように,欠陥面への入射角が 15 度,25度となると欠陥面からのエコーは低く,逆に欠陥端部付近を狙ったときにエコー高 さのピークが得られる,これは一般に端部エコーと言われているものである。

Frequency f (MHz) 2

Transducer size B (mm) 10 Refraction angle θ (deg) 45,60,70

Length 2a (mm) 10

Depth d (mm) 21.2

Gradiend α (deg) 45,50,60,70 Probe

Defect

(a) Incident angle 0 deg.

(α=45 deg.,θ=45 deg.)

(b) Incident angle 0 deg.

(α=70 deg.,θ=70 deg.)

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Fig.3.11 Relation between probe position and echo amplitude (f=2MHz)

SPM法を用いた超音波伝播挙動の計算は FEM計算に比べて約1/1000の時間でシミュ レーションすることができる。SPM法による数値シミュレーションを用いることで,予想 される欠陥を想定し,探触子の周波数や屈折角等の探傷条件を変更したり,対象とする欠 陥の性状をパラメータとするシリーズ計算を短時間で実施することが可能である。

(c) Incident angle 5 deg.

(α=45 deg.,θ=50 deg.)

(d) Incident angle 15 deg.

(α=45 deg.,θ=60 deg.)

(e) Incident angle 25 deg.

(α=50 deg.,θ=45 deg.)

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