第 4 章 超音波探傷試験による欠陥寸法評価
4.3 斜角探傷試験による欠陥寸法評価
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58 4.3.2 斜角探傷試験による欠陥寸法評価
斜角探傷法を用いた欠陥寸法の代表的な測定方法には,探触子の移動距離を利用するデ シベルドロップ法と超音波の伝播時間を利用する端部エコー法がある。本節では3章で説 明した音源重ね合せ超音波伝播シミュレーション手法(SPM法)を用いて,スリット状の 欠陥を対象として,両測定法の欠陥長さ推定精度について検証を行った。
3章のFig.3.11に示したように,欠陥面に対して垂直に近い角度で超音波が入射する場
合,つまり入射角が0度に近い場合(Fig.3.11(a),b),(c))は,欠陥面からのエコーが検 出され,欠陥中心付近をピークとするピークが一つの走査グラフが得られる。この場合に は,デシベルドロップ法を適用して欠陥寸法を測定する。また,欠陥面に対して斜めに超 音波が入射する場合,つまり欠陥面に大きな入射角を持って入射する場合(Fig.3.11(d), (e))には,欠陥端部からのエコーが現れ,欠陥面からのエコーが低くなり,エコーは欠陥 端部が主体となり,欠陥上端および下端からの端部エコーによるピークが二つある走査グ ラフが得られる。この場合には欠陥面からの欠陥エコー高さを用いたデシベルドロップ法 を適用することができないため,端部エコー法13)を適用して欠陥寸法を計測することにな る。
(1) 計算モデル
Table 4.2に計算に用いた探触子,欠陥寸法,Fig.4.15に計算モデルを示す。実際の探傷
試験では探触子周波数2~5MHz,振動子幅10~20mmの探触子が用いられることが多い。
そこで,本シミュレーションでは,周波数2MHz,振動子幅10mmとし,探触子屈折角を 45度とした。欠陥傾き角45度は欠陥面に垂直に超音波が入射する場合であり,デシベル ドロップ法の推定精度の検証を行なうものである。欠陥傾き角 70 度は欠陥端部からのエ コーを捉えることを想定したもので,端部エコー法の推定精度の検証を行なうものである。
探傷面となる試験体表面と欠陥中心との距離(欠陥深さ)を21.2mmに統一した。これは 屈折角 45 度の斜角探触子を使用したときに,ビーム中心が欠陥中心と一致する位置にお けるビーム路程が30mmとなる深さとしている。欠陥長さ2aは3~20mmとした。なお,
領域分割幅は0.3λ(λは波長)として計算を行っている。
59 Table 4.2 Calculating condition
Fig.4.15 Simulation model
Fig.4.16に示すように探傷面で探触子を前後に走査し超音波ビーム中心が欠陥面の中心
に一致する探触子位置を原点(0)とし,探触子を前進させる方向を(‐),探触子を後退 させる方向を(+)として,各探触子位置での最大振幅を並べると走査グラフが得られる。
探触子走査ピッチは 1mm とした。探触子位置xを欠陥面上に座標軸をとり,欠陥中心か らビーム中心線までの距離cに換算する。すなわち,探触子位置x,屈折角
および欠陥 面の傾き
を用いればcは次式で表される。c x cos cos
(4.8)Fig.4.16 Calculating model for angle beam ultrasonic testing
(2) デシベルドロップ法による欠陥長さ推定
デシベルドロップ法は欠陥長さを調べる手法の一つで,探触子を探傷面で移動させて欠 陥エコーの最大振幅の低下が一定 dB を越える範囲を調べ,その範囲を欠陥推定長さとす
Defect
Probe
0
0
2a c
x
Frequency f (MHz) 2 Transducer size B (mm) 10 Refraction angle θ (deg) 45
Type Slit
Length 2a (mm) 3~20
Depth d (mm) 21.2
Gradiend α (deg) 45,70 Probe
Defect
probe
defect
test surface transducer
d=21.2mm
B=10mm
2a
45°
60
る方法である。通常は6dBが基準とされるため,6dBドロップ法と呼ばれ利用されている。
Fig.4.17は欠陥傾き角45度,欠陥長さ10mmのモデルに対する走査グラフを示す。c0
の位置でエコー高さが最も高く,両側に行くとエコー高さが低下している。6dBドロップ 法を適用すると欠陥推定長さ2cは約10mmとなり実寸法と対応している。
Fig.4.18に示すのは,各欠陥長さに対して6dBドロップ法を適用して推定した欠陥長さ
と実際の欠陥長さを比較したものである。欠陥長さが振動子幅10mm以上の範囲において,
6dBドロップ法による欠陥長さの推定精度は十分な精度を持っているが,振動子幅より小 さな欠陥長さの範囲においては欠陥を大きめに推定していることがわかる。
Fig.4.17 Relationship between probe position and echo amplitude (2a=10,α=45)
Fig.4.18 Relationship between actual defect length(2a) and estimated length (2c) by 6dB method (α=45)
0 5 10 15 20 25
0 5 10 15 20 25
Actual defect length: 2a (mm)
Estimate defect length:
2c (mm) -24
-18 -12 -6 0 6
-10 -5 0 5 10
Echo height:H(dB) (20 log10(Px/P0))
Distance between beam center and defect center:c (mm) actual range of defect
61 (3) 端部エコー法による欠陥長さ推定
端部エコー法は,Fig.4.19に示すように欠陥を探傷した際に欠陥上端および下端からの 端部エコーにより走査グラフのピークが二つある場合に用いられる欠陥長さ推定法である。
この方法は,二つのピークが得られる際のビーム路程と屈折角から幾何学的に欠陥長さが 求められる。Fig.4.19は欠陥傾き角70度,欠陥長さ10mmのモデルに対する走査グラフ を示している。端部エコー法を適用すると推定欠陥長さは約10mmとなり実寸法と対応し ている。Fig.4.20は端部エコー法によって推定された欠陥長さと実際の欠陥長さを比較し たものである。欠陥長さが振動子幅10mm以上の範囲では端部エコー法による欠陥推定長 さは十分な精度を持っているが,欠陥長さが振動子幅より小さな範囲においては欠陥を大 きめに推定していることがわかる。
Fig.4.19 Relationship between probe position and echo amplitude (2a=10,α=70)
Fig.4.20 Relationship between actual defect length (2a) and
estimated defect length (2c) by edge echo method (α=70) 0
5 10 15 20 25
0 5 10 15 20 25
Actual defect length: 2a (mm)
Estimate defect length:
2c (mm)
-18 -12 -6 0 6 12
-10 -5 0 5 10
Echo height:H (dB) (20 log10(Px/P0))
Distance between beam center and defect center:c (mm) actual range of defect
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