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第 4 章 超音波探傷試験による欠陥寸法評価

4.2 垂直探傷試験による欠陥寸法評価

4.2.2 欠陥の評価法

超音波探傷試験の目的は,欠陥の検出,欠陥位置の測定,および欠陥の性状(種類,形 状,寸法など)の測定である。ここでは,垂直探傷における欠陥の評価の方法として欠陥 の検出,欠陥の位置,寸法の測定方法について説明する。

(1) 距離振幅特性曲線

試験体中を伝播する超音波のビーム路程が長くなると,超音波の音圧は次第に弱くなる。

同じ形状・大きさの欠陥であっても,ビーム路程が長くなると反射エコー高さは小さくな る。これを距離振幅特性という。ビーム路程によるエコー高さの変化を示す曲線を距離振 幅特性曲線という。超音波探傷試験で欠陥を評価する場合には必ず距離振幅特性を考慮し なければならない。距離振幅特性曲線は標準欠陥を種々の距離から探傷して,それぞれの エコー高さをプロットし,それらを結ぶことによって作成する13)

0 50 100

WF

WB

time

echo height

flaw echo

bottom echo

transducer damper

defect

specimen normal  probe

ultrasonic 

beam WF

WB

test surface 

bottom surface 

43

距離振幅特性曲線の例をFig.4.2に示す。標準試験片STB-G V2 φ2mm の平底穴の最 大エコー高さを80%になるように探傷器の感度を調整し,探傷器の感度を変えずに標準試

験片STB-G V3,V5,V8,V15-2を探傷して,各φ2mmの平底穴の最大エコー高さをプ

ロットし,プロット点を直線で結んだものである。なお,使用した探触子は周波数5MHz,

寸法10mmの垂直探触子である。距離振幅特性曲線は,距離によるエコー高さの変化を示 す曲線であり,周波数,振動子寸法により異なる。したがって,探傷に使用する探触子を 用いて距離振幅特性曲線を作成する必要がある。

Fig.4.2 Example of Distance-Gain-Size diagram

距離振幅特性曲線を6dBステップ間隔で描いた線をエコー高さ区分線といい,欠陥エコ ー高さを領域で区分して評価する際に用いられる。超音波探傷試験において欠陥として評 価の対象とするエコー高さの最低限レベルを検出レベルといい,このレベルを超えるエコ ーが現れたときに欠陥の位置や大きさなどを測定し,補修などの処置を決めることになる。

エコー高さ区分線は実際に探傷試験で使用する探傷器,探触子を用いて作成する。垂直 探傷のエコー高さ区分線の作成手順は Fig.4.3 に示すように標準試験片などを用いて図中 に示すような位置で探触子を走査し,それぞれ最大エコー高さのピーク位置を目盛板にプ ロットし,これらの4点を直線で結んで一つのエコー高さ区分線とする。エコー高さ区分 線は1本または複数とし,複数の場合は6dBずつ異なるエコー高さ区分線を3本以上作成 する。領域区分は作成したエコー高さ区分線のうち下位から3番目以上の線をH線とし,

H線より6dB低いエコー高さ区分線を M線,12dB低いエコー高さ線をL線とする。エ コー高さ領域区分H線,M線及びL線で区切られたそれぞれの領域をエコー高さ領域Ⅰ,

Ⅱ,Ⅲ及びⅣと区分する。エコー高さ区分線の作成例を Fig.4.4 に示す。L線より高いエ コーを欠陥とする。

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150 200

Relative echo height

Distance(mm)

44

Fig.4.3 The probe position for making curves for dividing pulse amplitude

Fig.4.4 Example of curves for dividing pulse amplitude

(2) 欠陥深さの測定

超音波を探傷面に対して垂直に伝播させて欠陥エコー高さが最大となる探触子位置およ びビーム路程(伝播時間)を求める。このときの探触子位置が欠陥の位置であり,ビーム 路程が欠陥の深さ位置となる。

(3) 欠陥長さの測定

探触子を試験体表面に沿って水平に移動させて欠陥エコーが出現する範囲,すなわち,

エコーの高さが一定値以上ある範囲の探触子移動距離を求めることにより欠陥長さを測定 している。この測定法は大別して,しきい値法とデシベルドロップ法の2つがある。

i) しきい値法

標準試験片や対比試験片の欠陥を基準にして感度のレベルを決めて,欠陥エコー高さが その線を越える範囲を欠陥の長さとする方法をしきい値法と呼んでいる13)。しきい値法は,

Fig.4.5に示すように欠陥からの最大エコー高さとは無関係に,エコー高さが予め定めたし

きい値以上で現れる範囲を欠陥長さとする方法である。測定手順が機械的であるため,測

0 20 40 60 80 100

0 10 20 30 40 50

%

① ② ③ ④

L M

Ⅰ H

45

定値に技術者の主観が入らず,技術者のミスが少ないが,技術者の熟練度合いや検査環境 等により欠陥エコー高さが異なることからエコー高さ変化の影響を受けやすいといわれて いる。

Fig.4.5 Defect length measurement method by the normal beam method (Threshold level method)

ii) デシベルドロップ法

デシベルドロップ法は,Fig.4.6 に示すように欠陥からの最大エコー高さを基準として,

エコー高さがDe デシベル低下する範囲を欠陥長さとする方法である 13)。このDe 値は通 常6dBが用いられるが,10dB,12dB及び20dBが採用される場合もある。この方法はエ コー高さ変化の影響を受けにくいが,欠陥の形状や傾きを予め調べ適切な De 値を決める ことが必要である。また,技術者によって検出する最大エコーの位置や高さが異なり,技 術者の主観が入りやすいといわれている。さらに,探触子に近い位置すなわち表面に近い 位置に存在する欠陥に対しては適用できないとされている。その理由は,探触子の振動子 近くで形成される音圧の変化が複雑であり,中心軸上で音圧が最大となるとは限らないた め,最大エコー高さを示す探触子位置から欠陥位置を正確に測定できるとは限らないため である。

probe

Ultrasonic  beam Defect

‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15

Echo   he ig ht   

Position of probe

Length of defect

threshold

46

Fig.4.6 Defect length measurement method by the normal beam method (Decibel drop method)