第 6 章 超音波探傷試験のエコー高さに及ぼす塗膜厚さの影響
6.5 エコー高さの計算および計測結果
6.5.3 斜角探傷におけるエコー高さの変化
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Fig.6.19 Relationship between the non-dimensional paint film thickness and the echo height (for the specimen with painted at top side)
Fig.6.20 Relationship between the non-dimensional paint film thickness
and the echo height (for the specimen with painted at bottom side)
6.5.3 斜角探傷におけるエコー高さの変化
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Fig.6.21 Relationship between the paint film thickness and the echo height (for the specimen with painted at top side)
(2) 非塗装面からの探傷の場合
Fig.6.22は横軸の塗膜厚さを(6.3)式で無次元化した塗膜厚さとエコー高さの関係を図示
したものである。エコー高さはR0.4 0.5 で極小値となり,塗装面からの探傷と同様,
垂直探傷の場合のようにエコー高さの変化を超音波が塗膜内を往復する距離と波長の関係 で表すことができないことがわかった。
Fig.6.22 Relationship between the paint film thickness and the echo height (for the specimen with painted at bottom side)
-18 -12 -6 0 6
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
Relative echo height, PR(dB)
Non-dimensionam paint film thickness, R Exp.Case4 Cal.Case4 Exp.Case5 Cal.Case5 Exp.Case6 Cal.Case6
-9 -6 -3 0 3
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
Relative echo height, PR(dB)
Non-dimensional paint film thickness, R Exp.Case4 Cal.Case4 Exp.Case5 Cal.Case5 Exp.Case6 Cal.Case6
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(3) 斜角探傷における塗膜内の超音波の干渉に関する考察
6.5.1 節では同じモード(縦波または横波)の 2 つの波を考え,位相差が
2n
のとき2つの波が弱め合い,位相差が2n
のとき2つの波が強め合うと考えた。しかし,斜角 探傷試験の結果は異なった結果が得られた。斜角探傷時の波の干渉について考察するため に,塗膜層を厚くし,超音波伝播挙動を計算し,その状況を可視化した結果をFig.6.23に 示す。Fig.6.23(a)は探触子から塗膜に超音波が入射する場合であり,探触子から塗膜層に 入射した縦波とモード変換により発生した横波が塗膜内を伝播しており,Fig.6.23(b)では 鋼中を伝播してきた横波とモード変換により生じた縦波が塗膜内を伝播することがわかっ た。(a) Specimen with painted at top side (b) Specimen with painted at bottom side Fig.6.23 Visualization of the propagating behavior of ultrasonic wave
Fig.6.24は超音波の斜め入射の屈折,反射およびモード変換の様子を図示したものであ
る。赤線が縦波,青線が横波を表している。Fig.6.24(a)は塗膜上から超音波を入射した場 合で,くさび(アクリル)中を伝播してきた縦波が塗膜に入射し,屈折通過したときに屈 折縦波(f)と一部が横波にモード変換した屈折横波(a)が塗膜中を伝播する。塗膜から 鋼に屈折通過する際,横波(a)は屈折横波として伝播し,縦波(f)は入射角が臨界角に 達するため横波のみにモード変換して屈折横波(g)となり鋼中を伝播する。鋼中を伝播 してきた横波(b,g)は鋼下面で反射し反射横波(c,h)として伝播する。反射縦波は入射 角が臨界角に達しているため発生しない。鋼下面で反射した横波が再度塗膜に入射すると き,横波(c)は屈折横波(d)と一部がモード変換した屈折縦波(e)となり,また,横波(h)
縦波b
横波a 塗膜
鋼 縦波c
横波b 鋼
塗膜
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は屈折横波(i)と一部がモード変換した屈折縦波(j)となって伝播する。したがって,
塗膜中では4つの波(d,e,j,i)が伝播することになる。
Fig.6.24(b)は非塗装面(鋼)から超音波が入射した場合であり,くさび(アクリル)中 を伝播してきた縦波が鋼中に屈折通過するときにモード変換し屈折横波(a)として鋼中 を伝播する。その際,入射角が臨界角に達しているため屈折縦波は発生しない。鋼中を伝 播してきた横波(a)が塗膜に入射し,屈折通過したときに屈折横波(b)と一部がモード 変換した屈折縦波(g)が塗膜中を伝播する。塗膜下面で横波(b)が反射する際,反射横 波(c)と一部がモード変換した反射縦波(e)となり,また,縦波(g)が反射する際,反 射縦波(j)と一部がモード変換した反射横波(h)として伝播する。塗膜内を伝播してき た波が再度鋼に入射し,屈折通過する際,屈折横波(d,i)とモード変換した横波(f,k)と なり伝播する。したがって,鋼中では(d,f,i,k)の 4つの波が伝播することになる。
塗膜上面から塗膜下面までの縦波および横波の伝播時間は次式で得られる(Fig.6.25参 照)。
cos
p L
L PL
T h
C (6.6)
cos
p S
S PS
T h
C (6.7)
ここに,
T T
L,
S:塗膜中の縦波,横波の伝播時間,h
P:塗膜厚さ
C
PL, C
PS:塗膜中の縦波,横波の音速,
L,
S:縦波,横波の屈折角,Fig.6.24(a)の場合,縦波(j)が最初に到達し,次に時間(
T
S T
L)だけ遅れて横波(i)と縦波(e)が同時に到達する。さらに時間(
T
S T
L)だけ遅れて横波(d)が到達する。Fig.6.24(b)の場合,横波(k)が最初に到達し,次に時間(
T
S T
L)だけ遅れて横波(f)と横波(i)が同時に到達する。さらに時間(
T
S T
L)だけ遅れて横波(d)が到達するこ とになる。以上より,斜角探傷時は6.5.1節で説明した同じモードの2つの波の塗膜内の反射によ る干渉の他に,超音波が塗膜内に入射し屈折通過,反射する際に生じるモード変換により 発生する波の伝播時間の差による干渉があり,複雑な干渉現象が生じ,塗膜厚さと超音波 波長の比のみでエコー高さの変化を表現できないことがわかった。
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(a) Specimen with painted at top side (b) Specimen with painted at bottom side Fig.6.24 Reflection and refraction of slanting incidence
Fig.6.25 Propagation with ultrasonic wave in the paint film