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第 3 章 超音波伝播解析手法について

3.3 動的陽解法による超音波伝播解析

3.3.2 探触子のモデル化

本研究では試験体だけでなく,従来の超音波シミュレーションではモデル化していなか った,探触子もFig.3.1に示すように有限要素にモデル化して時刻歴応答計算を行う。圧 電型垂直探触子の構造をFig.3.2に示す。探触子は振動子にダンパー(吸音材)を取付け ケースに挿入して作られる。振動子(圧電子)に電圧を加えると電圧に応じて振動子が振 動し,試験体に弾性波が伝播する。また,弾性波が試験体から振動子に戻ってくると,振 動子の変形が圧電現象によって電圧に変換されて超音波の受信が可能となる仕組みである。

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Fig.3.1 Finite element model

Fig.3.2 Typical UT sensor

超音波の伝播挙動を調べるためには,その送信波形をモデル化することが必要である。

超音波探傷試験に用いられる超音波には,パルス波と連続波があるが,現在ではパルス波 が広く用いられている。波数が 1 波または 2 波のパルスを発生する広帯域探触子と波数が 3~5 波のパルスを用いた狭帯域探触子とがある。本解析では広帯域探触子を想定して,

Fig.3.1 の振動子部の全要素に温度の時間変化を sin 半波のパルス波の波形を与え,その 体積膨張から圧力変動を発生させることにより,振動子から発信される波形を生成する。

入力波形を Fig.3.3 に示す。また,受信波形は振動子上面と下面の対応する節点の相対変 位の平均値で表す。

Probe

Damper

Specimen

Transducer X

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Fig.3.3 Incident waveform

探触子に組み込まれている振動子やダンパーの減衰を正確に評価することにより,発生 する弾性波の波形を実波形に近いものすることが可能となる。しかし,振動子やダンパー の物性値は探触子メーカーのノウハウとなっており物性値を知ることはできない。有限要 素法による振動解析では,減衰マトリックスの与え方として,モード解析法を適用したモ ード減衰比を与える方法や減衰係数が質量に比例するとして比例減衰を与える方法,剛性 に比例するとして与える方法,あるいはその両者の一次結合によって表されると仮定して 与える方法等38)が用いられる。

本研究では,減衰マトリックスが質量マトリックスに比例するものと考え,比例定数

を用いた(3.11)式の質量比例型の減衰係数を与える。

  C   M

(3.11)

p

次の臨界減衰係数ccrpは,質量

m

pと剛性係数

k

pを用いて

c

crp

 2 m k

p p (3.12) で与えられる。今,振動子が固有振動数 fpで励振されていると考えると,

(3.12)式より

crp

2

p p

2

p p

2

p p

4

p p

p

c m k k m m f m

m  

   

(3.13)

(3.11)式より,

p

次の臨界減衰係数ccrpは,

c

crp

 

cr

m

pであるので

cr

m

p

 4  f m

p p

ゆえに,比例定数

crは,

cr 4

fp (3.14) 0

5 10 15 20 25

0.0E+00 1.0E‐06 2.0E‐06

Signal

Time(sec)

28 となる。

本シミュレーションでは,実際の探傷試験で計測された波形と数値シミュレーションに より得られた波形が一致するように,振動子およびダンパーの減衰係数cp

c

dと臨界減衰 係数ccrとの比

振動子 :

c

p

c

cr

  

p cr

ダンパー :

c c

d cr

  

d cr

を与えている。