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古典マスター方程式は以下となる:

{Θ,Θ}= Θ←−

iπijpj −πijpjiΘ1

2(∂iπjk)pjpk

∂piΘ + Θ

←−

∂pi

1

2(∂iπjk)pjpk

= 2

(∂iπlmlpm 1

2(∂ilπmn)qlpmpn+ 1

3!(∂iRlmnplpmpn)

πijpj

(∂iπjk)pjpk

πliξl+ (∂lπim)qlpm+1

2Rilmplpm

= 2(∂lπijlk−πil(∂lπjk) ξipjpk

(∂iπml)(∂mπjk) + (∂miπjkml

qipjpkpl +

1

3πim(∂mRjkl) 1

2(∂mπij)Rklm

pipjpkpl

= 1

2! 2(∂lπi[jl|k]−πil(∂lπ[jk]) ξipjpk

1

3! (∂iπm[l)(∂mπjk]) +πm[l(∂imπjk])

qipjpkpl + 1

4!

1

3π[i|m(∂mRjkl])1

2(∂mπ[ij)Rkl]m

pipjpkpl

= 1

2! πli(∂lπ[jk]) +πlj(∂lπ[ki]) +πlk(∂lπ[ij]) ξipjpk

1

3!i πm[l(∂mπjk])

qipjpkpl + 1

4!

1

3π[i|m(∂mRjkl])1

2(∂mπ[ij)Rkl]m

pipjpkpl

= 1

2!πl[i(∂lπjk]ipjpk

1

3!i πm[l(∂mπjk])

qipjpkpl + 1

4!

1

3π[i|m(∂mRjkl])1

2(∂mπ[ij)Rkl]m

pipjpkpl

= 0 (4.66)

最終行に移る際に(4.63), (4.65)を用いた.

すなわち,πがポアソン構造[π, π]S = 0であり,Rフラックスがdπに対して閉dπR = 0の2 つがPoissonCourant algebroidとなるための条件である.

Poisson Courant algebroidに表れるC(T[1]M⊕T[1]M)= Γ(T M ⊕TM)上の全ての演 算は導来括弧を用いて書くことが出来る:

ρ(X+α)f(x) = j{{Xi(x)pi+αi(x)qi,Θ}, f(x)}, (4.67) [X+α, Y +β]πR = j{{Xi(x)pi+αi(x)qi,Θ}, Yj(x)pj +βj(x)qj}, (4.68) hX+α, Y +βi = j{j(X+α), j(Y +β)}. (4.69) ただし,写像jは(3.39)で定義されている.

証明は局所座標を用いて具体的に計算することで,以下のように与えられる.

1. (4.67)式は

ρ(X+α)f(x) =j{{Xi(x)pi+αi(x)qi,Θ}, f(x)}=πijαi ∂f

∂xj(x), (4.70) となり,これはPoisson Courant algebroidの束写像ρ= 0⊕π : T M⊕TM →T Mと 一致した.

2. (4.68)式は

[X+α, Y +β]πR = j{{Xi(x)pi+αi(x)qi,Θ}, Yj(x)pj +βj(x)qj}

=

αjπjk∂Yi

∂xk +∂Xi

∂xjπjkβk ∂Xj

∂xkπkiβj ∂αj

∂xkπkiYj +∂πki

∂xj Xjβk ∂πji

∂xkαjYk−Rjkiαjβk

jpi

+

αjπjk∂βi

∂xk + ∂αi

∂xjπjkβk+∂πjk

∂xi αjβk

jqi

= [α, β]π+LπαY −ιβdπX−R(α, β,−), (4.71) となり,(4.60)式で定めたT M⊕TM上のPoisson Courant algebroidのDorfman括弧 と一致した.

このことから,QP 多様体及び導来括弧を用いてPoisson Courant algebroidの演算を全 て導出すうことが出来た.

3. (4.69)式は明らかにPoisson Courant algebroidの内積と一致する.

従って,Poisson Courant algebroidの束写像,双対Dorfman括弧,内積を全て導来括弧で書 くことが出来た.QP 多様体の手法によってPoisson Courant algebroidの構築が行えたと言 える.

Courant algebroidの特殊なクラスであるPoisson Courant algebroidでは関数Θが古典マス ター方程式{Θ,Θ}= 0を満たすことから,以下の関係式が自動的に成り立つ:

ρ([e1, e2]πR) = [ρ(e1), ρ(e2)], (4.72) [e1,[e2, e3]πR]πR= [[e1, e2]πR, e3]πR+ [e2,[e1, e3]πR]πR, (4.73) ρ(e1)he2, e3i=h[e1, e2]πR, e3i+he2,[e1, e3]πRi, (4.74) ρ(e1)he2, e3i=he1,[e2, e3]πR+ [e3, e2]πRi, (4.75) ただし,一般化ファイバーの元ei Γ(T M ⊕TM)である.したがって,これはCourant algebroidになっている.

従って,P Q多様体からホモロジカル関数Θの選び方によって,標準的Courant algebroid とPoisson Courant algebroidの両方を構成することができることが分かった.

標準的Courant algebroidに対する古典マスター方程式は次の条件を与える:

Θ =τij(x)ξiqj + +1

3!Hijk(x)qiqjqk (4.76)

τji =δji (4.77)

一方,Poisson Courant algebroidに対する古典マスター方程式は次の条件を与える:

Θ =σij(x)ξipj+ 1

2Qijk(x)qipjpk+ 1

3!Rijk(x)pipjpk. (4.78) σ=π, Qjki (x) = −∂πjk

∂xi (x) (4.79)

同様に,一般にCourant algebroidになり得るE =T M⊕TM上のもっとも一般のホモロジ カル関数Θは以下で与えられる:

Θ =τij(x)ξiqjij(x)ξipj+1

3!Hijk(x)qiqjqk+1 2Fijk

(x)qiqjpk+1 2Qijk

(x)qipjpk+1

3!Rijk(x)pipjpk. (4.80) これに対する古典マスター方程式は,同様に各フラックスτ, σ, H, F, Q, Rに対する条件を与 える.簡単なτσの部分に注目すれば,以下の条件が課される:

τkiσjk+σikτkj = 0 (4.81) これに対する素朴な解は以下である:

1. τ = 0, σ6= 0

2. τ 6= 0, σ= 0

一般のフラックスが混在したハミルトニアン関数Θに対するCourant algebroidとなるための 制限条件が得られた.

5 H フラックスと R フラックスの双対性

本研究の目的の1つはHフラックス存在下の標的空間とRフラックスの存在下の標的空間 の,2つの幾何学の双対性を明らかにすることである.前節まででHフラックスが存在する 場合は標的空間の幾何学は標準的Courant algebroidであり,Rフラックスが存在する場合の 標的空間の幾何学はPoisson Courant algebroidになることをみた.本節ではこれらの2つの

Courant algebroid間の双対性について超幾何学とホモロジカル代数を用いて解析することで,

2つのスラックス間の双対性を明らかにする.

この双対性は次数付シンプレクティック多様体(P 多様体)上での正準変換に対応する.ま た,この双対性は,微分形式上のde Rhamコホモロジーとポリベクトル空間上のPoissonコ ホモロジーの対応関係の拡張として捉えることができる.

以下では,標準的Courant algebroidのホモロジカル関数(3.45)式をΘH,Poisson Courant algebroidのホモロジカル関数(4.61)式をΘRと表記する.

5.1 フラックス双対性と正準変換

標準的Courant algebroidとPoisson Courant algebroidの間の双対変換を構成するために,

それぞれのホモロジカル関数ΘH,ΘRの間の双対性変換を考える.この双対性変換を考えるこ とで,標準的Courant algebroidのコホモロジーとPoisson Courant algebroidのコホモロジー の間の双対性もみることができる.以下ではポアソン構造πが非退化である場合を考える.

5.1.1 QP 多様体上での正準変換

まず始めに,P 多様体 上での正準変換を定義しよう.関数α ∈C(M)に対してeδαとい う指数関数的随伴変換を以下で定義する:

eδαf =f +{f, α}+ 1

2{{f, α}, α}+· · · , (5.82) ただし,f ∈C(M)は任意関数である.Poisson括弧は次数−nを持っているので,|α|=n の場合は,変換eδαは次数を保存し,任意のf, g∈C(M)のPoisson括弧は

{eδαf, eδαg}=eδα{f, g} (5.83) の関係式を満たす[26].従って,(5.83)をδαによる正準変換と呼ぶ.

5.1.2 フラックス双対性

P 多様体(T[2]T[1]M, ω)上に標準的Courant algebroidとPoisson Courant algebroidの両 方の構造を入れることが出来る.従って,Hフラックス とRフラックス の間のフラックス双 対変換T を,ホモロジカル関数をT : ΘH ΘRと移すT[2]T[1]M 上の正準変換として構 成することを考える.ただし,

ΘC = ξiqi (5.84)

ΘH = ξiqi + 1

3!Hijk(x)qiqjqk (5.85)

ΘR = πij(x)ξipj 1 2

∂πjk

∂xi (x)qipjpk+ 1

3!Rijk(x)pipjpk , (5.86) である.この2つのホモロジカル関数を結びつける正準変換を,以下でB変換とβ変換を組 み合わせることで構成出来ることを示す.具体的に計算することで,以下の関係を得る:

ΘR=eδαqeδαpeδαqΘC

=eδαqeδαpΘH (5.87)

ただしαp = 12πij(x)pipjはいわゆるβ変換 を生成し,αq = 12πij1(x)qiqjB変換を生成する.

ここで,HフラックスとRフラックスの関係は以下で与えられる:

R=3πH (5.88)

ただし,写像kπ : Ωk(M)→ ∧kΓ(T M)を用いた.この正準変換はQP 多様体 の座標基底 に対しては,

eδαqeδαpeδαqxi =xi, (5.89) eδαqeδαpeδαqqi =πij(x)pj, (5.90) eδαqeδαpeδαqpi =−πij1(x)qj, (5.91) eδαqeδαpeδαqξi =ξi+ ∂πjk

∂xi πkl1(x)pjql. (5.92) と作用する.Liouville1-形式は次のように変換する:

ϑ =ξiδxi−qiδpi →ϑ =ξiδxi−piδqi. (5.93)

jπ(α) = eδαp 1

jαであることに注意されたい.

以上より,次のようにフラックス双対性変換が定義出来る:

フラックス双対変換 フラックス双対変換は2つのQP 多様体 間のシンプレクティック同型 写像T である.

T : M1 → M2

以上の議論より,Hフラックスの存在する標準的Courant algebroidに対し,正準変換とし てB変換とβ変換を施すことで,Rフラックスの存在するPoisson Courant algebroidへ変換 される双対性の存在が示された.後でみるように,境界のある膜のシグマモデルにおいては フラックス双対変換は境界条件の取り替えに対応する.