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賃金コストの動向

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第二部 欧州主要造船グループのミクロ経済分析

3. 労働コストに関する詳細分析

3.3 賃金コストの動向

均と同等かそれ以下になる傾向にあり、フィンランドとドイツで最も低い。これ は先進国においては重工業以外に高い賃金を得ることのできる部門があることが 原因と思われる。ドイツではさらに外国人労働者の利用(以下のセクション3.4.1 を参照)と造船業における低コストの旧東独の影響が大きいと考えられる。

図 3.3-2007 年の 1 時間あたりの労働コストの前年比推移(資料:欧州連合統計局。略 字に対応する国名は脚注 11 を参照)

対象となる 1年間で、ブルガリア、エストニア、リトアニア、ラトビアで非常に 大きな賃金上昇があった。チェコとハンガリーでも上昇率は比較的に高めだった。

これらはいずれも新規加盟国である。

欧州の主要な高コスト造船国では、以下のような傾向が見られた。

【ドイツ】

対象とした 1 年間で、ドイツでは賃金はほとんど上昇しなかった。図 3.4 に示す OECD の統計によると、製造業における単位労働コストは現在低下傾向にあり、

2000 年を 100 とする単位労働コスト指数は、2005 年には 93.6 に下がった。低 賃金の外国人の採用、東西ドイツの統一、ドイツ経済の不振などがこの原因と思 われる。

88 90 92 94 96 98 100 102 104 106

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 Year

Index (base year = 2000)

図 3.4-ドイツの製造業における単位労働コスト指数(資料:OECD)

【ノルウェー】

ノルウェーでは労働コストは定常的に上昇を続けている。図 3.5 は造船業及び石 油 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ・ モ ジ ュ ー ル 部 門 の 製 造 業 に 従 事 す る 労 働 者 の 推 定 年 収

(NOK)を示しており、過去 5 年間で年間平均 5.1%上昇している。図 3.6 に示 す OECDのノルウェー製造業の単位労働コスト指数をみても、長期にわたる安定 的な上昇を確認することができる。

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005

Year

Annual earnings (NOK)

図 3.5-造船業及び石油プラットフォーム・モジュール部門の製造業に従事する労働者の 推定年収(資料:ノルウェー統計局)

0 20 40 60 80 100 120

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 Ye ar

Index (base year = 2000)

図 3.6-ノルウェー製造業の単位労働コスト指数(資料:OECD)

【オランダ】

データが非公開扱いとされているため、オランダの統計情報は上記の欧州連合統 計局の公表データには含まれていない。また、先に分析した国際金属労働組合連 盟(IMF)のデータにも含まれていない。しかし、OECDの指数は、過去 3年間 で製造業における労働コストが下降に転じたことを示している(図 3.7)。

94 96 98 100 102 104 106 108 110

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 Ye ar

Index (base year = 2000)

図 3.7-オランダ製造業の単位労働コスト指数(資料:OECD)

【イタリア】

イタリアの労働統計(資料:ISTAT)は造船業における時間給指数が 2003 年の 第1四半期と 2005年の第 4四半期の間に 5.6%上昇したことを示している。これ

は図3.8に示すOECDによるイタリアの製造部門における単位労働コスト指数に よっても確認される。

0 20 40 60 80 100 120 140

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 Ye ar

Index (base year = 2000)

図 3.8-イタリア製造業の単位労働コスト指数(資料:OECD)

これまでの分析は以下のようにまとめることができる。

ドイツ-労働コストが低下

オランダ-労働コストが緩やかに上昇 ノルウェー-労働コストが上昇

イタリア-労働コストが緩やかに上昇

これらの変化の影響は、図 3.9 が示すように、生産者物価指数(PPI)の相対的 な動きに見ることができる。ノルウェーが最も高い上昇を見せ、ドイツが最も低 かった。イタリアは定常的に緩やかな上昇を記録、オランダは、過去5年の中期 トレンドとしては上昇している。

図 3.9-製造業における生産者物価指数(2000 年=100)(資料:OECD)

これらの傾向を踏まえて、労働コストの上昇と米ドルの下降を考慮に入れつつ、

欧州の主要造船国における現在の時間当たり労働コストを米ドルとユーロにて推 測することができる。その結果を表 3.3 に示す。

表 3.3-2007 年欧州造船部門における 1 時間あたりの平均労働コスト推定値 2005 年 推 定 値

(ドル/時間)

2007 年 推 定 値

(ドル/時間)

2007 年 推 定 値

(ユーロ/時間)

ノルウェー 34.55 43.62 30.53

フランス 34.28 41.08 28.76

デンマーク 34.26 41.06 28.74

ドイツ 34.61 39.63 27.74

スペイン 26.88 32.21 22.55

オランダ 25.84 30.97 21.68

フィンランド 25.24 30.25 21.17

イタリア 23.01 27.57 19.30

クロアチア 6.99 8.48 5.93

ポーランド 5.81 7.04 4.93

この表から、ドル表示での欧州の労働コストは、特にドル安の影響で、過去 2年

90 95 100 105 110 115 120 125

2001 2002 2003 2004 2005 2006

Year

PPI Germany

Italy Netherlands Norway Germany

Norway

間に著しく上昇していることがわかる。高コスト国は現在1時間あたり 40 ドル 程度又はそれ以上、中コスト国は 30 ドル前後になっている。しかし、低コスト 国は依然として 10ドル以下に留まっている。

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