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アーカーの戦略

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第三部 競争力と企業戦略 -アーカーヤーズのケーススタディーを中心にー

2. アーカー・ヤーズ

2.2 アーカーの戦略

計者が、顧客企業の設計者と外部の設計者のネットワークと協力して作業する。

商船部門: ノルウェーのAker Yards Foro Design、ウクライナのAker Yards Design、 Aker Yards LNG(ドイツ、フランス、フィンランドに拠点)が設計を行う。

オフショアー支援船及び特殊船部門: ノルウェーのAker Yards Project、フィンランド のAker Arcticが、外部の主要オフショアー船設計者の協力のもとで、主導する。

さらに、 バンクーバーとヒューストンに事務所を持つAker Yards Marineは、グループ内と同 様に第三者にも設計・コンセプトサービスを提供する。

グループは、また、設計から調達、在庫管理、生産、艤装、引渡しに至る造船プロセスのすべて の側面に改良をもたらす技術的な、又は作業プロセス上のイノベーションも促進している。

供給面では、グループは、納入品の品質と信頼性のために、サプライヤーと下請け業者のための 事業部門別のモニタリングと管理手順を有する。グループは、調達における選択肢と信頼性を強 化するために、部門別かつ地域別のサプライヤ・下請け業者ネットワークを維持している。調達 は、集中化はされていないが連携しており、グループ全体の購買力を向上させている。

さらに、グループは、主要な艤装ユニットとして、居住区内装(Aker Yards Cabin)、電気機器

(ノルウェー、ルーマニア、ブラジルに事務所及び生産拠点を持つAker Yards Electro)、ノルウ ェーのBrattvagのAker Yards Pipeserviceを含む独自の自社内供給事業者を有する。Aker Yards Piperserviceは、他のアーカー系列企業のため、船舶、オフショア及び陸上事業のためのパイプ・

システムの事前施工と設置などの作業を担当する。

2.3 「欧州造船モデル」はいかに機能しているか

「欧州造船モデル」は、アーカーがいかに組織構造と運営を形作るかというモデルである。グル ープは、先端的な船舶技術利用を目指す「モデル」の特性12を、以下のように列挙している:

-「十分且つ柔軟性ある造船所の建造能力」

-「モジュール式の建造方法」

-「熟練労働力」

-「近代的な組立造船所」

12 出典:アーカー・ヤーズの企業案内、「…on the seven seas」

-「生産における先端技術利用」

-「最先端の設計リソース」

-「先進的なプロジェクト・マネージメント」

-「世界で最も費用効率の高いバリュー・チェーンの確立」

-「共同購買力」

-「顧客が均一と感じるような、グループ内外の多様な供給業者による納入部品」の組立 プロセス

運営戦略のキーはこれらの中に見出される。アーカーは、建造能力、設計、サプライチェーンの 機能を、結果が最も経済的になるように結合する。サプライチェーンは、例えば、グループ内の 居室及び公共スペースブロック製造事業者、世界をリードする砕氷船専門設計者、グループ内「ビ ジネススクール」等を含む。

アーカー・ヤーズは、「欧州造船モデル」による利益を以下のように列挙している:

- 複数の造船所の能力の結合を通じた「能力増強」と「柔軟性向上」

- 共同調達により「規模の経済」を達成し、高い処理能力により購買力を引き上げる「調 達の向上」

- グループ全体へのピーク負荷を分散することによる「稼動状況の向上」

- 造船所間でベストプラクティスを共有することによる「慣行の改善」

- 共通の企業文化を通じた「健康、安全、環境の向上」

- 集中化した計画立案とプロジェクト・マネージメントによりグループ全体から資源を引 き出す「計画立案の改善」

- 広い経験と、グループ内のデータ有効活用により各種試算精度を向上させる「ビジネス チャンスの改善」。

各造船所自身は、プロジェクト・マネージメント、調達、エンジニアリングを含めて高い自律性 を維持するが、特にビジネスの戦略・戦術レベルでは、中央のリソースを活用することもできる。

中央のユニットは以下を含む:

-アーカーヤーズ・ビジネススクール: ここでは経営訓練が実施され、グループのメン バー間の知識交換が奨励される。

-人材機能: 従業員は、経験と知識の共有のために、グループ内の企業間の異動を奨励 される。従業員は、また、生産能力の観点からも異動する。

-Aker Yards Cabin、Aker Yards Electro、Aker Yards Pipeserviceを含むグループ内の部 品メーカー。

-Aker Yards Technology、砕氷船設計とコンサルティングの専門機関。

-設計:個々の事業部門(クルーズ船とフェリー、商船、特殊船)は、中央にも設計グル ープを有する。中央の設計グループは、設計・エンジニアリング・コンサルタントのAker Yards Marineなどから構成される。

-Aker Yards Projectは、グループ全体のための中央からのプロジェクト・マネージメン トと造船設計開発を提供する。

アーカーは、グループへの取り込みと知識移転による改善、グループ・メンバーシップによる利 点の例として、以下の具体例13を挙げている。

-Braila造船所 は、アーカーの指導の下に、近代的な調達システムとマネージメントを実 施し、調達部門を126人から45人に削減した。

-Tulcea造船所は、下請け業者に対する管理方式と内部的なプロジェクト・マネージメン ト・システムを改めた。グループ内の他の造船所へのサプライヤとしての処理能力向上は、

下請けに出した船体・ブロックの艤装レベルの向上と大幅な資産利用の向上を可能にした。

-Helsinki 造船所は、鋼材加工施設を一つも有していないにも関わらず、フェリーを引き 渡した。最近の引渡し船は、St. Nazaire, Rauma, Turku各造船所からの加工済鋼材を活 用している。

-ノルウェーのFloro造船所のステンレス鋼のケミカル・タンカーは、Okean造船所で建 造された船体を用いている。ステンレス加工のより専門的な作業はFloroで行う。オフシ ョア及び特殊船部門は同様にルーマニアで建造される船体を用い、Floroで竣工する。

上の情報はアーカーの広報用資料に基づいているが、事実をほぼ反映していると思われる。「欧州 造船モデル」が成果を生み、地理的に分散した企業グループ化が、ダーメンでも同様であるが、

13 出典:アーカー・ヤードの 2007 年社内誌「Shoreline」

明瞭且つ重要な便益に帰結したことを、企業業績が明確に示している。この意味においては、ア ーカーの戦略は、少なくとも現在の上昇傾向にある市場では機能していると思われる。一方、STX による株式の40%の買収が問題となってくる。欧州内の造船所間の技術移転がそれほど成功した となると、これは、欧州で造船業が生き延びるために決定的と思われる客船の優位を喪失するこ とにならないか懸念される。この戦略の成功は、最終的には企業の消滅を導く可能性もある。STX による株式買収は、本報告書の作成時点で欧州全体に大幅な懸念を招いている。

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