ドイツ・英国の歯学教育認証制度について
…九州大学教授
(歯学教育認証評価検討 WG 委員)
平田…雅人
■ 4.ドイツ・英国の歯学教育認証制度について
九州大学の平田でございます。九州大学では生化学を担当いたしております。
(スライド1)
荒木先生、前田先生と3人で、昨年の 11 月にドイツとイギリスの歯学教育ならびに認証評価の現状 を視察してまいりましたので、3人を代表して報告をさせていただきます。
(スライド2)
まず、ドイツの歯科事情を認識しておこうということですけれども、人口は 8,000 万人で歯科医師数 が 6 万人、従いまして人口 10 万人当たり歯科医師 75 人となります。日本と同じように 96 パーセント が開業医で、歯科医師がやや過剰気味であるということのようです。口腔顎顔面外科を専門とする者は 医師とのダブルライセンスが必要ということです。歯学部は、全部で 32 校ほどあります。非常に多い なと感じたのですけれども、ほとんどが 20 人から 40 人の少人数だそうでして、全部卒業しても 1,200 人程度かと思います。女子学生が非常に多いことが特徴かと思います。5年制の 10 セメスター制度で 教育が行われておりまして、3年までの第6セメスターまではベーシックサイエンスとプレクリニカル な教育が行われ、最後の2年間の4セメスターでクリニカルな実習が行われるということです。保存、
補綴が中心で、歯周病だとか矯正といったようなものはアドバンストコースで、卒業後行われるように 伺いました。
(スライド3と4)
どこに行ったかと申しますと、フランクフルトから電車で 40 分ほど北の方に行ったギーセン市にあ る Jutus-Liebig…Universität…Gieβen です。クリニックに特化した医系キャンパスのようでありました。
対応してくださったのは、この Professor ウェストマン。彼は補綴の教授です。そして Dr. ニーム。こ の方は歯科医師ではありませんで、理工学を専門とする PhD でした。あと、こちらの女性2人は、歯 周病と補綴系の臨床の先生であったと思います。こういうシチュエーションで情報交換をして、さまざ まな情報をいただいたということです。
(スライド5)
ドイツの認証評価制度ですけれども、質の保証、アクレディテーション、評価といったものは非常に 新しい概念のようで、1998 年にアクレディテーションを導入することを決定して、1999 年のボローニャ 宣言に基づく教育のボローニャ・プロセス、ここにいくつか書いてあります。簡単に言ってしまうと、
学生・教員・研究者たちがヨーロッパ内を自由に行き来できるようにするもので、行き来するためには、
その前提となる基準を充分にクリアしている必要があるということです。これがボローニャ・プロセス なのですけれども、それに後押しされるようにしてこのアクレディテーションが導入され、2008 年に はシステム・アクレディテーションが導入されたということのようです。
(スライド6)
このアクレディテーションですけれども、ドイツの本を読みますと、高等教育機関が専門的観点から 最低基準を守り、もしくは一定の構造基準を満たしているかどうかを審査するということで、日本でい うと設置審のようなものかなと思います。プログラム・アクレディテーション、システム・アクレディ テーションというふうに2つに分かれると書いてございましたけれども、本当の意味での詳細は正しく
理解できていないところがあります。アクレディテーション協議会というものがあって、法人化されて、
このような人数でもってアクレディテーションをするということでありますけれども、これを見ますと、
認証評価というよりも機関評価に相当するようなものであろうかと思いました。
(スライド7)
そのようなことから、ドイツの歯学教育の認証評価制度ですけれども、国家レベルによる認証評価制 度はまだ確立しておらず、州、あるいは大学による教育の質の担保が行われているということのようで した。州による学習規定、学習過程の規定とそれから試験規定の認可に加えて、教育のフレームワーク を各大学が設定して、これは公表しなければいけないということになっています。それとは別に、これ は学士教育とは関係ないかとも思うのですけれども、学長によって博士学位の授与規定と大学教授の資 格付与規定というものが決められているということのようです。高等教育機関の自治と自己責任が強化 される代わりに、これまで法律で規定されていたものが自らこの教育のフレームワーク、卒業時のアウ トカムをきちんと設定して、それを目指した教育のロードマップのようなものなのだろうと思いますけ れども、それをしっかり公表しなければいけないという義務があって、大学が責任を負うこととなった と思います。
(スライド8)
全国で共通の試験というわけではないようですが、通常は3回目のセメスター、5回目のセメスター、
卒業時の 10 回目のセメスターが終わった時点で試験を行うようになっているということです。大体3 割から5割の学生は、5年間の 10 セメスターでは終了できなくて、その後、補習、補講などを受けて いるようでした。国家試験はなく卒業した時点で、歯科医師として活動ができるということのようです。
先に申しました様に公表義務があるということを考えますと、各大学がそれぞれの教育に対するロー ドマップみたいなものを公表して、それを相互監視、大学間の相互監視に基づく切磋琢磨と申しますか、
そういったようなものがドイツの歯学教育の質を担保していると、現状では、こういうことかなと理解 をいたしました。繰り返しになりますけれども、国とか州などで認証評価の基準を決めているというこ とはないようでした。
(スライド9)
次いで、イギリスですけれども、歯科事情を申しますと人口 6,300 万人、歯科医師数 3 万 5,000 人。
ドイツと同じように、口腔顎顔面外科を専門とする者は医師とのダブルライセンスが必要ということ を伺いました。全国で 16 校。キングスカレッジで学生定員を伺いましたら 160 名ということでしたの で、160 掛ける 16 とはとんでもない人数だなと思って驚いたのですけれども、後で調べてみましたら、
Belfast が 27、Bristol が 52 とかというふうに非常に少人数の学校もありますから、必ずしもそれほど 多くないのかも知れません。女子学生の割合が非常に高いということのようです。ここも5年間のコー スでありまして、2年間はベーシックサイエンスとプレクリニカル、後半の3年間の6セメスターで臨 床実習を行うということです。先ほど、ドイツのところで話し忘れたのですけれども、1セメスターで 大体 20 人から 30 人の患者さんを学生が診療するということでありますから、ドイツでは掛ける4、イ ギリスの場合は掛ける6、ですから 120 から 180 名の患者さんを学生は卒業までに診療するということ
を伺いました。少し驚きでありました。
(スライド10)
これは、アルファベット順にイギリスの 16 校を羅列したものですけれども、括弧内の数字が、私が 後で調べ得た範囲での学生の定員、1学年の数です。キングスカレッジは、これは 160 というのは、い くつかの大学が何年か前に合併したと聞いていますから 160 も妥当かなと思うのですけれども、先ほ ど少し触れさせていただきましたように、Belfast は 27、Birmingham は 65 と、あるいは Cardiff は 80、
Dundee が 25 と、非常に少ない数です。合計しますと 850 くらいでありました。分からないところを 入れても 1,000 人くらいかなと推定します。
(スライド11と12)
イギリスといえば、江藤先生も少しお触れになりましたけれども、GDC です。この GDC は、ロンド ンのほぼダウンタウンにありまして、ここを 11 月 16 日の午前中に訪問いたしました。これが GDC の 玄関で、来訪を告げて、上の階に上がって、このパトリック・カバナーさんという人とサラ・クロスフィー ルドさんというお2人でもって情報を提供していただきまして、私どももさまざまな質問をさせていた だいたということです。
(スライド13)
まず、この GDC ですけれども、General…Dental…Council の通称でして、We…regulate、それから We…
do…this…by と書いてございます。デンティストを含む7職種があります。これを DCP と省略をしてお られました。Dental…Care…Professionals ということです。それをレギュレートしていますよと。どのよ うにしているかというと、GDC に登録をする DCP の人たちをできるだけ最新型にする。要するに、新 しく卒業した方はすぐに GDC に登録してくださいということですね。それから、これは、歯科技術と 行動科学に非常に高いスタンダードを要求しています。それから、下線を引いておりますけれども、歯 学教育と実技の質をチェックしています。それから、この7職種の DCP の方々が最新版の歯科知識な らびに技術を得るようにチェックしています。最後は、アクションをとりますよということです。どう いうアクションかと申しますと、伺ったところでは、この7職種の内、デンティストを除く6職種の養 成機関については、満足のいくような教育が行われていなければ GDC が廃止命令を出すことができる と伺いました。デンタルスクールに対しては、この GDC は、廃止命令は出せないけれども、それなり の機関に廃止を勧告することができると伺いました。
(スライド14)
この GDC ですけれども、「何をするのか」「何故するのかということ」が書いてあります。何故する のかということが簡単なので先に話させていただきますが、これは、protecting…patients であるという ことです。とにかく「患者さんを保護します」ということです。by…regulating…the…dental…team によっ てということです。
(スライド15)
何をするかといいますと、ここに3つの規定をしております。1つが Preparing…for…Practice、2つ 目が Standards…for…Education、3つ目が The…Quality…Assurance…Process ということです。それぞれ
■ 4.ドイツ・英国の歯学教育認証制度について