東京医科歯科大学教授
(歯学教育認証評価検討 WG 座長)
荒木…孝二
■ 3.歯学教育認証評価検討WGの概要
(スライド1)
それでは、まずこの歯学教育認証評価検討ワーキングの全体像につきまして、概略でございますがご 説明させていただきます。お手元の資料を見ていただくと大体分かるとは思いますが、今回提出した調 書に書いた内容をそのまま持ってきております。
(スライド2)
本事業は、我が国の歯学教育の国際的な質の担保を評価するための認証評価基準の制定と、実際に認 証評価を実施する取り組みだということでございます。実は、歯学教育のモデル・コア・カリキュラム と臨床実習の開始前の共用試験、これは 21 世紀の初頭 2002 年から開始されたと思いますが、これで我 が国の歯学教育の改革が進展したのは皆様ご存知のとおりです。ただ、先ほどの村田課長も、それから 江藤先生も最近いろいろなところで述べられていると思いますけれども、この歯学教育改革の一番の目 標であった、いわゆる臨床実習の改善・充実については目標どおりに成し遂げられたとは言い難いとい うのが現状であると思われます。また、近年の諸事情によって、臨床実習だけではなくて高度専門職の 養成機関としての役割を果たせない大学が出てくる可能性が否定できなくなってきております。そこで 本事業では、我が国の歯科医師養成の質の保証の担保のために、歯学教育に特化した大学分野別評価に ついての調査・研究を行い、国際標準の教育を行っていることを証明するための認証評価基準作りを行 うとともに、複数大学においてトライアルとしての認証評価を実施するというのが、今回のこの採択さ れた取り組みの調査・研究の全容でございます。この事業を行うに当たりまして、非常に大きな取組な ので一つの大学ではやれないということで、ここに書かれております東京医科歯科大学、新潟大学、東 京歯科大学、大阪歯科大学、そして九州歯科大学の5大学が連携しまして事業に当たっています。
(スライド3)
再度、この目的につきましてもう少し細かくお示ししますと、このスライドの赤い部分に注目して下 さい。歯科医師養成の教育内容が国際標準に比較して遜色のない水準であることを証明するために、認 証評価基準を作成したいということでございます。さらに、この認証評価基準を作った後に、トライア ルとして複数大学で認証評価を実施して、歯学教育認証制度を構築したいというのが目的でございます。
そのために、まず、先ほどご説明しました連携5大学で検討ワーキング幹事会を立ち上げて、いろいろ なことについての土台を作るということをやるのですけれども、それと平行しまして、5大学だけで話 を進めていてもなかなかそれが全国的に広がらないということと、全国的には他の多くの大学の意見を 聞くことができないということを防ぐために、併せて検討ワーキングを構成しまして、その検討ワーキ ングの中で本補助事業の取り組みの充実・発展を図りまして、本取り組みが我が国の歯科大学・大学歯 学部全体の共通認識として拡充することにより全ての大学が認証評価基準に到達し、我が国の歯学教育 の国際的な質の担保を図ることというのが最終的な目的でございます。
(スライド4)
ここに、先ほど村田課長からも話がありましたけれども、左側にあるのが、いわゆる幹事大学5大学 のメンバーです。右側が、それ以外の検討ワーキングのメンバーです。もちろん幹事会のメンバーもこ ちらの検討ワーキングのメンバーです。本来は 29 大学からお一人ずつメンバーとして参加していただ
くのが一番いいのですが、それだと非常に大きな組織になって出席等につきまして調整することが困難 なので、約半分、合計で 16 名、東京医科歯科大学在籍者が3人おりますので実際は 14 大学の国公私立 大学の先生方にお集まりいただきましてこの検討ワーキングが構成されました。まず幹事会のメンバー で協議事項などの素案を作り、最終的な決定は、全て検討ワーキングで協議して決めるという組織構図 としています。
(スライド5)
このスライドは本年度やってきた補助事業の内容を示しています。まず、この検討ワーキングを作り、
検討ワーキングを開催してこの認証評価の基準、それから評価項目、評価基準案を策定するとともに、
委員全員が共通の考え方を持ちたいということを努力してまいりました。認証評価基準を作るのに、な かなか日本で明確に歯学教育の認証評価というものがありませんでしたので、最初に諸外国でどのよう な歯学教育の認証基準と認証評価を行っているかということについて視察して来ました。それを踏まえ て、検討ワーキング全員を対象としまして、12 月の年末の押し迫った日にやったのですが、ワークショッ プを開催しました。評価項目及び評価基準案はどういうものがいいのかということを、1泊2日のワー クショップで話し合いました。最後に、この成果公表のためのシンポジウムを開催して本取り組みの意 義・目的を、今度はこのワーキングに関わっていない全国 29 大学の方々に案内を出しましてお集まり いただきまして、また、大学以外の歯科に関係する方々にもお集まりいただきまして、周知するととも にいろいろとご意見をいただきたいということでございます。
(スライド6)
平成 24 年度の具体的な成果につきましては、スライドの内容をお読み取りください。
(スライド7)
今年の活動成果でございますが、日付を入れておきましたけれども、まず 8 月 24 日に一番最初の検 討ワーキングの幹事会を開きまして、10 月 2 日に第 1 回の検討ワーキングを開催しました。ここから 本事業の本当のスタートが始まりましたが、今日まで、諸外国の視察、それから何回かの検討ワーキン グと幹事会の開催、12 月 25 - 26 日のワークショップの開催。そして、本日のシンポジウムの開催です。
実は、このシンポジウムの開催後、いただきましたご意見をできるだけ早くワーキングのメンバーで話 し合いたいということで、メンバーは本日新潟に一泊しまして、明日の朝から第3回検討ワーキングを 開く予定でございます。そこで今日いただきましたご意見をどのように反映していくかということを、
熱いうちにメンバー全員で共有したいという気持ちを持っております。
(スライド8)
これは平成 25 年度以降の事業計画(案)でございます。平成 26 年度以降は状況によって変わると思 いますけれども、来年度の事業計画につきましてはほぼ決まりまして、今、文部科学省に提出しまして 承認を受けるというところまできております。次年度の事業計画に沿って、できる限り来年度中に認証 評価基準を確定したいと思います。その認証評価基準に則って、いくつかの大学に認証評価トライアル を実施するための準備を進めてもらいたいと思っています。なお、認証トライアルを実際に実施するの はこのワーキンググループのメンバーではなくて、実施のための組織をもうひとつ作るという予定です。
すなわち認証評価実施組織というものを来年度早めに立ち上げまして、その方々に最終的にこの認証評 価トライアルをしていただくということでございます。また、この全体の事業として、定期的に、2年 に1回くらい事業評価をしなければいけないというのが決まりで入っていまして、次年度でちょうど2 年終わりますので、次年度の終わり頃に、2年間私たちがやってきた事業内容につきましての評価をし てもらう事業評価組織を立ち上げまして、平成 26 年度の最初には中間評価をしていただくという予定 になっております。
(スライド9)
最後にまとめでございますが、この事業の目的は、先ほどご説明しましたとおり、日本の医学部・歯 学部が国際標準の教育を実施していることを証明するとともに、国際標準を超えるグローバルかつ優れ た医師・歯科医師を養成するために、日本における国際標準の医学・歯学教育認証制度の基盤を構築す ることを目的として実施しているということです。ただ、先ほど村田課長から言われたとおり、医学系 と歯学系で国際標準の認証をするということの主旨というか目的が違うということは、皆さんご承知い ただいたと思います。医学部は、2023 年度までに全ての大学の医学部が、米国が求めている国際標準 の認証に合致しなければいけないという、そういうかなり忙しいノルマがあるということです。しかし、
歯科にはそういう意味でのノルマはございません。でも、私たちの作業で認証評価基準を作り、それを 実施する認証機関ができれば、そちらで医学部と同じように認証が行われるのではないかと思っていま す。歯学部は 29 大学しかありませんから、もしかしたら医学部よりも迅速に全ての大学が認証を受け るということも有り得るのかもしれません。
国際標準、グローバルスタンダードという単語をよく使っていますが、これは何を意味するのかとい うことを私たちで調べたのですが、基本的に、世界中の全ての歯科大学においてこういうことを教育し なければいけないという、認証の水準はありませんでした。ただ、今回調べてきたアメリカとかイギリ スで既に実施されている歯学教育認証基準というのはかなりきちんと作成されていて、既に相当数の大 学での認証の経験もあるので、すごく参考になると思われます。この具体的な内容につきましては、こ の後、それぞれ視察に行ってきた委員から説明してもらうことになっております。
本事業の目的は日本における歯学教育認証制度を構築するのですが、決してアメリカとかイギリスの 基準をそっくりそのまま日本に取り入れるということを私たちは考えておりません。日本独自の医療制 度、それから人口構成の変化、社会的な構成、こういうものが当然ありますので、一定の考慮をしなけ ればいけないと私たちは思っています。ただ、もし私たちが日本の歯学教育認証評価基準を定めて実施 したときに、外圧というのですか、いわゆる国際的な比較が行われて、日本の歯学教育認証制度という ものが全然欧米と違う基準でやっているとしたらどうなるでしょうか。日本歯学教育はだめだと言われ るわけにはいきません。ですから、当然この欧米の国際水準のほうも十分意識して、そして日本独自の ものも意識して、そういうものを全部含めた歯学教育認証制度を構築したいというのが、私たちの目的 でございます。
それから、認証トライアルでございますが、今の予定では、先ほどご説明した幹事5大学の中で、まず、
次年度はその内の1つか2つの大学にお願いして認証評価をやりたいと思っています。ただ、その認証
■ 3.歯学教育認証評価検討WGの概要