第 5 章 Au M 吸収端付近の反射率測定
5.6 誤差評価
5.6 誤差評価
本測定の検出器である光電子増倍管は X 線の強度を電流値で出力するので、フォトンカウン トができず、カウント数から誤差を見積もることができない。反射率は理想的にはなめらかな 曲線であることから、データ点のばらつきから分散を算出して誤差とした。誤差はエネルギー 依存性を持つという仮定のもと、エネルギースキャンのデータをもとに誤差の算出を行った。
実際にはダイレクトの見積もりなどによって多くの系統誤差がのってしまうが、それを正確に 見積もることは困難であり、大きく見積もってしまうと原子散乱因子の導出が行えなくなるこ とから、本測定の誤差はデータ点のばらつきのみにした。
5.6.1 エネルギースキャン
上記の通り、反射率は理想的にはなめらかな曲線であり、そこからのばらつきから算出した 誤差には統計誤差に加えて検出器や入射X線強度のばらつきによる系統誤差ものってしまう。
分散を求める領域は複雑な構造を持つ吸収端の領域を除き、その周辺での分散を吸収端領域 の誤差として適応させた。まずエネルギースキャンのデータを吸収端を含まない領域を選んで 6つに分割して、それぞれで単純な関数でのフィットを行い、モデルとデータ点の分散を算出し た。このときのフィットの例を図5.33に示す。その結果を表5.6.1にまとめた。表5.6.1での分 散 (1 σ) をその領域の反射率に対する誤差割合とした。表5.6.1から、誤差は各エネルギーで 1%を大きく下回る結果であった。
fit region(eV) fit model 分散(誤差割合) 2120∼2200 二次関数 0.00125 2400∼2700 二次関数 0.00209 2800∼3100 二次関数 0.00250 3100∼3400 二次関数 0.00239 3500∼3800 二次関数 0.00331 3800∼4100 二次関数 0.00682
表 5.10: データのばらつきから算出した分散。
5.6誤差評価
図 5.33: 入射角0.5deg,2 eVピッチエネルギースキャンtake2のfitの例(fit領域は2800-3100 eV)
5.6誤差評価
5.6.2 角度スキャン
角度スキャンでは、誤差は入射 X 線の角度とエネルギーの 2 つのパラメーターに依存する と仮定して、エネルギースキャンで取得した5つの角度のデータをもとに、誤差の入射角依存 性を算出した。具体的には、エネルギースキャンで評価した誤差割合を、角度スキャンを行っ たエネルギー (2100eV, 2600 eV, 3000 eV, 3300 eV, 4100 eV) で抜き出し、角度を横軸にとっ て並べる。しかし、エネルギースキャンでは角度を (0.5 °, 0.8 °, 1.0 °, 1.2 °, 1.4 °) の 5 点しかとっておらず、角度スキャンの測定範囲である 0 ∼ 3 °をカバーすることができない。
そこで誤差は角度に依存して上昇すると考えられる (大角度側ほど反射率が低下し、統計が少 なくなる) ので、エネルギーを固定して横軸を角度、縦軸を誤差とした5 点のプロットを、な めらかにつなぐようなモデルを考え、フリーパラメーターを入射角とした反射率に対する誤差 割合の関数をつくりだし、角度スキャンの反射率に対する誤差割合とした。そのフィットの一 例を図5.34に示す。
図 5.34: 2600eVの角度スキャンの反射率に対する誤差割合