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試料方位 [210] PC の単結晶試料での強誘電状態

第5章 混晶系強誘電体 PZN-xPT における低 Ti 組成域での強誘電状態の特徴

5.3. 実験結果

5.3.2. 試料方位 [210] PC の単結晶試料での強誘電状態

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図5-6. 試料方位[210]PCのx = 0.02単結晶試料から得られた室温での

暗視野像と対応する電子回折図形、ならびに決定した強誘電分域構造の モデル。結像に用いた散乱ベクトルは、(a) g = 12_0PC、(b) 1_20PC、(c) 002PC、 および(d) 002_PC

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実際、Nohedaらは試料方位[001]PCのx = 0.045単結晶試料において、電場印加時

にMA単斜晶状態の存在を見出している。本研究では、電場印加を行っていない

PZN-xPT単結晶試料にてMA単斜晶状態の出現が示唆されたが、この実験結果は、

彼らの実験結果と矛盾していないものと結論した。

図5-7には、x = 0.045、0.08、および0.09試料から得られた室温での暗視 野像を示している。x = 0.045試料を除くx =0.08と0.09試料に関しては、存在す る強誘電状態についてフリーデル則の破れを用いて解析することができた。像 (a)-(c)と像(a)-(c)は、それぞれg = 12_0PCと002PCを用いて結像している。これら の像の中で、まずx = 0.045試料の像(a)と(a)には、非常に複雑なコントラストが 観察される。その複雑さから、フリーデル則の破れによるコントラストの反転 は得られず、x = 0.045試料での強誘電状態は決定することができなかった。一

方、x =0.08と0.09試料については、ある領域でコントラストの反転が得られた。

x =0.08と0.09試料から得られた暗視野像に注目すると、12_0PC像(b)と(c)にはメ

イズパターンの分域構造、002PC像(b)と(c)は複雑なコントラストが観察される。

ここで重要な点は、12_0PC と1_20PC 像で明・暗のコントラストの反転が生じてい ることである。このことは、x =0.08と0.09試料での強誘電状態が、<120>PC方 向の1つにほぼ平行な分極ベクトルをもつMCタイプの単斜晶状態であることを 示唆している。すなわち、Noheda らによって報告された MC状態が、電場印加 のない状況下においても出現することが明らかとなった。実際、メイズパター ンドメインを示す領域は、各試料を観察したところ体積分率にして約 50%であ った。他の領域については、試料の湾曲により、フリーデル則の破れによる強 誘電状態の解析はできなかった。

(PC→MC)強誘電相転移におけるメイズパターンドメインの形成過程を理 解するため、透過型電子顕微鏡によるその場観察を行った。図5-8には、x = 0.08 単結晶試料の同一領域から得られた各温度での暗視野像と対応する線形誘電率

の温度依存性を示している。加熱・冷却速度は約1 K/minとし、撮影した温度

は、冷却過程での(a) (a’) 603 K、(b) (b’) 528 K、(c) (c’) 503 K、(d) (d’) 438 K、お よび(e) (e’) 300 Kである。像(a)-(e)はg = 1_20PC、像(a’)-(e’)はg = 12_0PCを用いて

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図5-7. 0 < x < 0.10組成を有する試料方位[210]PCの単結晶試料から 得た室温での暗視野像。結像に用いた散乱ベクトルは、(a)-(c) g = 1_10PC

と(a’)-(c’) g = 002PC。 (a) x = 0.045、(b) x = 0.08、(c) x = 0.09

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それぞれ結像した。また、像(c)と(c’)の挿入図には、白線領域の拡大図と計算像 を示している。像(c’)の計算像は、12_0PC実験像のコントラストを反転させて得ら れたものである。まず、TCよりもはるか高温側のPC状態では、大きさ約5 nm の明るい斑点が認められる(像(a)、(a’))。この状態から冷却すると、これらの 明るい斑点状領域が局所的に合体していく(像(b)、(b’)、(c)、(c’))。ここで、

注目すべき特徴は、TC直上の503 Kにおいて、挿入図に示された1_20PC実験像と 12_0PC計算像に観察されるコントラストが基本的に一致していることである。こ のことは、TC直上の PC 相において、フリーデル則の破れによるコントラスト の反転が局所的に生じていることを示唆している。すなわち、TC直上の PC 状 態はMC型単斜晶のナノドメイン状態である。さらにTC以下に冷却していくと、

メイズパターンの分域構造が形成される(像(d)、(d’))。さらに、このメイズパ ターン分域構造において、1_20PC像(d)の明・暗のコントラストが12_0PC像(d)で反 転している。従って、像(d)の明・暗のコントラスト領域における分極成分は、

それぞれ[1_20]PCと[12_0]PCに平行である。引き続き室温へ冷却すると、メイズパ ターン分域構造がさらに成長していく(像(e)、(e’))。ここで注目すべき特徴は、

像(d)と(e)の矢印が示すように、TC以下ではドメイン境界の移動ではなく、2つ のP//<120>PC分極ベクトルの間で方向のflip-flopが局所的に生じていること、さ らに、メイズパターン分域構造は自己相似性をもって成長することである。こ れらの実験結果から、メイズパターン分域構造は、TCよりも100 K以上高い温 度で局所的に形成されること、さらにMC状態において、2つの分極ベクトル間 の局所的なフリップ・フロップと自己相似性を伴って成長することが明らかと なった。従って、メイズパターン分域構造の形成過程で見出されたこれらの挙

動が、x =0.08付近での顕著な圧電変形に大きく関係していると推察される。

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5-8. 試料方位[210]PCx = 0.08単結晶試料から得られた(PC→MC)強誘電相転移

における各温度での暗視野像と対応する線形誘電率 の温度依存性。撮影した温度 は、(a) (a) 603 K、(b) (b) 528 K、(c) (c) 503 K、(d) (d) 438 K、および(e) (e) 300 K。

結像に用いた散乱ベクトルは、(a)-(e) g = 1_20PCと(a)-(e)g = 12_0PC

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