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第 2 章 固定具の固定精度検証用ファントムの開発

3.2 計測装置の構造と原理

本章では,最初に圧力計によって頭部変位の測定が可能であることを立証するため,

荷重と固定枕の変位量との関係がHookの法則に従うことを証明した.次に,圧力計で 頭部変位を測定するため,臨床において固定枕に加わる荷重と頭部変位の関係からバネ 定数を決定した.最後に,圧力計によるReal-Time Intra-Fractional Motion検知装置の検 出能力とTLSと併用した時の画像照合による被ばく線量の低減率を評価した.

3.2.1 原理

圧力センサを用いたIntra-Fractional Motion検知装置は,厚さ0.55 mm,半径9.1 mm の圧力計(図3-1(a))及び熱可塑性マスク,吸引式枕,及びアクリルベースプレートで 構成されている(図3-1(b)).4つの圧力計は厚さ0.2 mmの織物上に60 mm間隔で,圧 力 計 の 重 心 が 吸 引 式 枕 の 最 も 窪 ん だ と こ ろ と 一 致 す る よ う に Right-Left と Inferior-Superior に配置されている(図 3-1(c)).圧力計を配置した織物は,脱着を容易 にするため粘着テープで固定されている.圧力計は立ち上がり時間が3マイクロ秒で,

後頭部の荷重を測定回路上の電圧として検出する.検出電圧は16bitのアナログコンバ ータでデジタル変換され,パーソナルコンピュータ上の自作プログラムで圧力に変換さ れ保存される.本装置は,理論上1.3 Paの圧力を0 - 90 kPaの範囲で測定可能である.

また,荷重に対する測定分解能は2 10 Nであり,測定範囲は0-14 Nの範囲である.

頭部の動きの最大速度は,Saitoらの報告10) から2.4 mm/secと計算されている.この動 きを検出するために必要なサンプリング間隔は,Nyquist-Shannon sampling theorem 57) を 用いると5 Hzと計算される.そこで,本研究ではサンプリング間隔を5 Hzに設定した.

本章での統計解析は,R (The R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria) の統 計解析機能を組み込んだEZR 58) (Saitama Medical Center, Jichi Medical University, Saitama, Japan)を使用した.

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図3-1 Real-Time 検知装置の概略図.(a) 圧力計,(b) Real-Time検知装置のブロックダ イヤグラム,(c) センサの配置

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3.2.2 Hookの法則に基づく吸引式枕の変位量

吸引式枕は合成樹脂でできているため頭部を固定する際,頭部自体の重量及び固定に よる下向きの力によって吸引式枕に変位を生じる.この変位d (mm)と頭部自身の重量及 び固定した時に生じる荷重F (N)との関係は次式で表される.

F = k × d (1)

式(1)は,Hookの法則と呼ばれ物質の弾性領域で成り立つ関係式である.(1)式を用い て荷重による頭部変位の算出の可能性を確認するため,圧力計によって検出した荷重と 吸引式枕の変位量の関係を調べた.図3-2に測定の様子を示す.Cyberknifeガントリの 先端に直径35 mmの円筒形接触子と圧力計を取り付け,ガントリヘッドに垂直に吸引 式枕を設置した.Cyberknifeガントリヘッドは0.1 mmの精度で移動可能であり,その 移動量に比例した荷重によって吸引式枕は変位する.吸引式枕の形状変位は内部圧力に よって変化する.そのため,-12 kPa,-20 kPa,及び-27 kPaの内部圧力を用いて0 - 3 mm の範囲で吸引式枕を変位させたときの圧力計に加わる荷重を測定した.図3-2に吸引式 枕の変位量に応じた荷重の測定の様子を示す.

図3-2 吸引式枕の変位量に応じた荷重測定の様子

0.0 - 3.0 mm

Cyberknife ガントリヘッド

試験方向 円形

コリメータ

圧力計

吸引式枕

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