第 5 章 負の誘電率異方性を有するネマティック液晶の Leslie 粘性係数測定法:解
5.4 結果と考察
5.4.2 解析手法の妥当性の検討
0 100 200 300
Voltage (V)
-0.5 0 0.5
V is c o si ty c o e ff ic ie n ts ( P a s )
MLC-2039 α
1α
2α
3α
4+ α
5図
5.3
MLC-2039
を封入したセル厚57µm
の垂直配向液晶セルに流れる過渡電流の数値計算結果と解析解
[式 (5.4)]
との最小二乗フィッティン グにより測定した,α1,α
2,α3,およびα
4+ α
5の印加電圧依存性.数値計算には,印加電圧
260V
における実験結果から測定したLeslie
粘性係数,θoの値(表 5.2)
を用い,他の物性値は表5.1
に示した値 を用いた.0 100 200 300
Voltage (V)
-0.5 0 0.5
V is c o si ty c o e ff ic ie n ts ( P a s )
Mix.A α
1α
2α
3α
4+ α
5図
5.4
Mix.A
を封入したセル厚55µm
の垂直配向液晶セルに流れる過渡電流の数値計算結果と解析解
[式 (5.4)]
との最小二乗フィッティングに より測定した,α1,α2,α3,およびα
4+ α
5の印加電圧依存性.数 値計算には,印加電圧260V
における実験結果から測定したLeslie
粘性係数,θoの値(表 5.3)
を用い,他の物性値は表5.1
に示した値 を用いた.0 100 200 300
Voltage (V)
0 2 4 6 8 10
θ 0 ( d e g )
MLC-2039
図
5.5
MLC-2039
を封入したセル厚57µm
の垂直配向液晶セルに流れる過渡電流の数値計算結果と解析解
[
式(5.5)
または(5.6)]
との最小二乗 フィッティングにより測定したθ
oの印加電圧依存性.数値計算には,印加電圧
260V
における実験結果から測定したLeslie
粘性係数,θ
oの値
(表 5.2)
を用い,他の物性値は表5.1
に示した値を用いた.MLC-2039
を封入したセル厚57µm
の垂直配向液晶セルに200V
の電圧を印加した際の,ダイレクタ分布および電場分布の時間変化
[図 5.7(a)
および(b)]
をfree slip
境界条 件において数値計算した.数値計算には印加電圧260V
における実験結果から求めたLeslie
粘性係数の値(表 5.2),表 5.1
に示したMLC-2039
の弾性定数,誘電率の値を用 いた.その結果,以下のことがわかった:(i).
バルクでは一様な電場分布E
b(t)
となる.(ii).
基板付近の弾性変形領域の影響は無視できるほど小さいため,Eb(t)
は時間に依0 100 200 300
Voltage (V)
0 2 4 6 8 10
θ 0 ( d e g )
Mix.A
図
5.6
Mix.A
を封入したセル厚55µm
の垂直配向液晶セルに流れる過渡電流の数値計算結果と解析解
[
式(5.5)
または(5.6)]
との最小二乗フィッ ティングにより測定したθ
oの印加電圧依存性.数値計算には,印 加電圧260V
における実験結果から測定したLeslie
粘性係数,θ
oの 値(表 5.3)
を用い,他の物性値は表5.1
に示した値を用いた.存せず一定であるとみなすことができ,Eb
≃ V /L
と近似できる.(i),(ii)
より,セル厚が60µm
程度より厚く,かつV /L ≥ 3.3 × 10
6V/m
であれば,過 渡電流の解析解を導出するために仮定した条件を満たすことがわかった.0 z ( µ m)
0 45 90
θ ( d e g )
θ
00 ms 0.4 ms 0.8 ms 2 ms
(a) 57
0 z ( µ m)
0 2 4 6 8
E ( 1 0 6 V /m )
V L
(b) 57 0 ms 0.4 ms 0.8 ms 2ms
図
5.7
セル厚
57µm,印加電圧 200V
とした際の,MLC-2039を封入した垂直配向液晶セル内における
(a)
ダイレクタ分布,(b)電場分布の 時間変化の数値計算結果.数値計算には,印加電圧260V
における 実験結果から測定したLeslie
粘性係数の値(
表5.2)
を用い,他の物 性値は表5.1
に示した値を用いた.表
5.4
セル厚の異なる垂直配向液晶セルを用いて測定した過渡電流と解析 解との最小二乗フィッティングにより求めたMLC-2039
のLeslie
粘 性係数(α
1,α
2,α
3,およびα
4+ α
5)
.L
は液晶セルのセル厚,V
は印加電圧である.L (µm) V (V) α
1(Pa · s) α
2(Pa · s) α
3(Pa · s) α
4+α
5(Pa · s)
4.5 30 − 0.353 − 0.196 − 0.006 0.466
9.5 60 − 0.108 − 0.180 − 0.007 0.308
22.4 120 − 0.062 − 0.172 − 0.006 0.267 48.8 300 − 0.010 − 0.173 − 0.003 0.253
セル厚が
60µm
程度より薄い垂直配向液晶セルを用いた場合の解析手法の妥当性を 確認するために,MLC-2039を封入したセル厚4.5,9.5,22.4,および 48.8µm
の垂直 配向液晶セルを作製し過渡電流を測定した.印加電圧はV /L ≃ 6 × 10
6V/m
となるよ うに調節した.この値は,セル厚60µm
程度の垂直配向液晶セルを用いた場合に正確 なLeslie
粘性係数,θoが得られるV /L ≃ 3.3 × 10
6V/m
と比較して十分に大きい値で ある.各セル厚における過渡電流の実験結果と解析解との最小二乗フィッティングにより求めた
Leslie
粘性係数の値を表5.4
に示す.Leslie粘性係数の測定値は,セル厚が薄くなるにしたがってセル厚
57µm
における測定値(表 5.2)
から遠ざかっていく.この結 果は,60µm程度より薄いセル厚では,高電場を印加しても基板付近の弾性変形領域の 影響は無視できないことを示している.したがって,解析手法を用いるためには60µm
程度より厚いセル厚の垂直配向液晶セルに流れる過渡電流を測定しなければならない.
ドキュメント内
負の誘電率異方性を有するネマティック液晶の過渡応答に関する研究
(ページ 81-88)