5.3 Reverse Type Houldcroft 試験の解析
5.3.1 解析モデル
本節では、提案手法をReverse type Houldcroft試験に適用した例を示す。
解析に用いた対象試験片の形状寸法および要素分割は、Fig.5.3.1に示す通り である。FEM解析においては、スリット部を省略し、板の半幅が 25mm か ら 70mm まで連続的に変化する様なモデルに単純化した。この試験片を略
式 Houldcroft 試験片と呼ぶことにする。このモデルは、実験と比較して熱
的な条件は異なるが、始端から終端までの面内回転剛性が変化する点にお
いてはHouldcroft試験に対応したモデルであると言える。
5.3.2 溶接速度および入熱量の影響
主要な力学パラメータとして、溶接速度と入熱量に注目し、それらの 影響を調べた。材料定数の温度依存性はFig.4.3.4に示す通りであり、界 面強度σcrと降伏応力σYの温度依存性を Fig.4.3.3に示す通りである。界 面ポテンシャルを決定するパラメータである r0およびnは、
r0 =25μm , n = 6.0 (5-3-1)
0 20 40 60 80 100 120
300 400 500 600 700 800 900
He at in pu t (J /m m
2)
Welding speed (mm/min) Cracked area
Safe area
Fig.5.2.4 Effect of heat input and welding speed on hot cracking
◎
とした。解析結果を Fig.5.3.2 に示す。この図から、溶接速度および入熱 量がともに大きい場合に割れの長さが長くなることが分かる。
Fig.5.3.3は、トーチの移動による温度分布と変形の変化を表した図である。
この図からは、トーチは移動しているにもかかわらず、割れの進展は、溶 接途中で止まっていることが分かる。Fig.5.3.4は、単位長さ当たりの入熱量 を一定(120J/mm2)として、溶接速度を毎分500mm、1000mm、1500mmの3通 りに変化させた場合の残留変形と、残留応力の分布を表している。この3者 Fig.5.3.1 FEM mesh division for Fish Bone type hot cracking test specimen.
Fig.5.3.2 Effect of welding speed and heat input on the crack length in reverse type Houldcroft specimen with welding from narrow edge.
500 mm 25 mm
70 mm
Welding direction
x y
0 100 200 300 400 500
0 50 100 150
v= 500(mm/min) v= 750(mm/min) v=1000(mm/min) v=1250(mm/min)
Cr ac k l en gt h (m m)
Heat input Q/h (J/mm
2) r
0=25μm
n=6
を比較すると、溶接速度が大きいほど割れが生じやすいことが分かる。
5.3.3 諸パラメータが高温割れに及ぼす影響
提案手法を用いた解析法では、Fig.2.2.1 に示すように、BTR ではσY (降 伏応力)>σcr (界面強度)なるように、界面ポテンシャルφを定義している。
具体的には、φに含まれる係数γを温度の関数として定義することで界面 強度σcrの温度依存性を表した。したがって、界面要素の特性を主として支
Fig.5.3.3 Transient temperature distribution and deformation (v=1500 mm/min, Q=80 J/mm2)
(℃) 2500 2250 2000 1750 1500 1250 1000 750 500 250 0
(a) in early stage
(b) in middle stage
(c) in final stage
配するパラメータは界面強度σcrと寸法パラメータr0であり、まず、これら 2つのパラメータが及ぼす影響について検討を行う。界面強度σcr の影響に 関しては、Fig.5.3.5に示されるように、高温脆化温度域BTR内の降伏応力 σYとの強度比σY/σcrおよびその温度幅である BTR 幅について検討する。
また、寸法パラメータ r0についてはその大きさについて検討を行う。その ための具体例として、Fig.5.3.1に示した Reverse type略式 Houldcroft試験片 を選び、溶接条件は Fig.5.3.2 中に◎印で示している、入熱量 90J/mm2、溶
接速度1000mm/minの場合について検討を行った。また、割れ易さの尺度と
Fig.5.3.4 Distribution of stress (σy) and deformation after complete cooling (Q=120 J/mm2)
(Mpa) 150 105 60 15 - 30 - 75 -120 -165 -210 -255 -300
(a) v=1500 mm/min
(b) v=1500 mm/min
(c) v=1500 mm/min
して、割れ長さを用いた。
5.3.3.1 寸法パラメータ r
0の影響
界面強度σcrを一定に保って、寸法パラメータr0が変化するということは、
Fig.2.2.2に示すように、開口変位−応力曲線で囲まれる面積つまり、表面エ
ネルギー2γがr0に比例して変化することを意味している。寸法パラメータ r0を 8μmから200μmまで変化させた場合の割れ長さの比較をFig.5.3.5に 示す。この結果から、寸法パラメータ r0の値が大きくなるほど、同じ条件 の下での割れ長さは小さくなることが分かる。
5.3.3.2 BTR における降伏応力 / 界面強度比の影響
Fig.5.3.6 に示す BTR における降伏応力と、界面強度の比σcr/σYを 1.15
から 4.0まで変化させた場合の割れ長さを計算した結果を Fig.5.3.7に示す。
この結果から、降伏応力−界面強度の比σcr/σYは割れ長さにほとんど影響 しないことが分かる。このことは、割れが発生するか否かは、BTR におけ
0 100 200 300 400 500
0 50 100 150 200
Cr a ck le ngt h (m m )
r
0(μm)
Fig.5.3.5 Influence of ratio between yield stress by interface strength on crack length.
Fig.5.3.6 Model for high temperature brittleness to investigate the influence of ratio between yield stress and critical strength of interface in BTR
0 5 10 15
1100 1200 1300 1400 1500 1600 σ
Y,σ
cr( MP a)
Temperature (℃)
Interface strength (σcr) Yield stress (σ
Y)
B T R
T
ST
Lσ
Yσ
cr0 100 200 300 400 500
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
Crac k leng th ( mm )
Ratio of σ
cr/σ
YFig.5.3.7 Influence of r0 on crack length