BTR: 650-550℃
7.1 緒 言
近年、生産ラインの自動化およびロボット化が推進される中で、レーザ ー溶接や電子ビーム溶接の用途が拡大してきた。これらの溶接法は、高速・
小入熱で深い溶け込みを得ることが可能であり、省エネルギー、省コスト という観点からも注目されている溶接法である。また、溶接変形の抑制、
製品精度の向上という観点からも大いに期待されている。その用途は、ス テンレス鋼やアルミニウム合金およびNi基耐熱超合金など多岐にわたって いる。一方、従来までのTIG溶接やMIG溶接および MAG溶接などと比較 すると、溶接条件や溶け込み形状に関して顕著な差が見られ、このことが
原因で Fig.7.1.1 に示すような溶接高温割れが発生する事例97)が報告されて
いる。割れの発生する場所は、センターライン上のみならず、溶接部近傍 の様々な場所に発生する場合があり、その発生場所や進展方向および進展 長さ等を事前に予測するのは非常に困難である。そこで、本章では、任意 の場所に発生する割れが推定できる解析法を提案すると共に、これを溶接 横断面内におけるレーザー溶接時の高温割れ問題に適用し、溶け込み形状
が高温割れに及ぼす影響について検討した。さらに、BTR 幅や界面要素に 含まれる寸法パラメータr0の影響についても検討を行った。
7.2 任意の場所に発生する割れのモデル化
任意の場所に発生する高温割れの発生位置を解析前に予想することは不 可能である。よって、割れの発生場所および方向が推定できるように、温 度依存型界面要素を Fig.7.2.1 に示すように、すべての通常有限要素間に格 子状に配置した。このモデルを用いて、レーザーの焦点ずらし等に起因す る溶け込み形状の違いが、高温割れの発生位置および進展方向に及ぼす影 響について検討を行った。解析においては対称性を考慮し、1/2モデルを用 いた。要素数および節点数は 5920 要素および 5767 節点である。寸法は、
板厚が2 mmとし、板幅については、溶融領域への拘束の影響がほとんどな Fig.7.1.1 Solidification cracking in transverse cross section by Matsuda et al..
(a) (b)
Fig.7.2.2 Temperature dependent material constants.
Fig.7.2.1 FEM mesh division using interface elements and ordinary elements.
Ordinary element
Interface element
2 mm
5 mm
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10
0 500 1000 1500
Ma te ri al P ro pe rt ies
α(℃‑1)×10‑5 ρ(g/mm3)×10‑3
λ(J/mm/sec/℃)×10‑2 γ(J/mm2/sec/℃)×10‑5 c(J/g/℃)×10‑1
E(MPa)×105
Temparature(℃)
σY(MPa)×102
くなると考えられる、5 mmまでを解析対象とした。入熱量および溶接速度 は、全てのケースで同一とし、Q=37.5 J/mm、v=2000 mm/minとした。材料 は、ステンレス鋼を対象とし、材料定数の温度依存性は、Fig.7.2.2に示すも のとした。一方、溶け込み形状としては、Fig.7.2.3 に示す(a)〜(d)の 4 種類 を想定し、解析における入熱は、入熱領域内に一様に分布する内部熱源と して与えた。解析には計算時間の短縮のために 2 次元平面ひずみモデルを 採用した。また、前章までの結果より、高温割れに影響を与える因子であ ることが分かったBTR幅および寸法パラメータr0について検討を行った。
Fig.7.2.3 Maximum temperature distribution
.
(a)
(b)
(c)
(d)