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解析パラメータ

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 57-62)

J- PARC

4.2 解析パラメータ

57

第 4

データ解析

この章では、実験データの解析の詳細及びその結果について記述する。

(1) Pedestal (2) Pulse Height (3) Integral (4) Minimum time (5) Maximum time (6) Pedestal RMS

Wire Hit(2) - (1) > threshold

4.1 TPC で得られる波形のパラメータ定義:波高からペデスタルを引いた値が閾値

(threshold)を超えることをヒットと定義する。

分程度までに分布している。一方、宇宙線などのバックグラウンドはTPCを上下に通過する ためTPC高さに相当する大きさまで分布している。

4.2.2 Range

Rangeは「TPC中での荷電粒子のイベントの大きさを表す飛程」と定義する。

Range =√

(na×panode)2+ (nc×pcathode)2+ (td×vdrif t)2 (4.2) ここで、na, ncは、閾値を超えたアノード,カソードの本数 (Number of Anode, Cathode)であ り、tdは4.2.1節で定義されたドリフト時間である。また、アノードピッチpanode = 12 mm、 カソードピッチpcathode = 24 mm、ドリフト速度vdrif t = 1.026 cm/µs @Fill Iをかけ mm 単位に直している。

4.2.3 Deposit Energy

Deposit Energyは「閾値を超えたアノードワイヤーで得られた波形の積分値の和」と定義

する。55Fe X線源のエネルギーキャリブレーションによって keV 単位に直され解析に用いら れる。TPCのガスは封じきりのため、水などのアウトガスによってドリフト電子が捕獲され 同じエネルギー損失に対する波形積分値は時間と共に減少するため、DAQサイクルで取得さ れた鉄線源のランからエネルギーを補正している。

4.2 解析パラメータ 59

4.2.4 Time of Flight

Time of Flight (TOF)は「陽子ビームが水銀標的に入射されてからの時間」と定義され、

J-PARCの陽子ビームの40 ms (25 Hz)を反映した周期になっている。TPCは水銀標的から

20 mの距離にあり、中性子バンチはおよそ 1000 m/s の速度を持つため図4.2に示すように およそ 20 ms後にTPCに到達している。TPC中に中性子バンチが存在する時間“Fiducial”

を、図4.3に示す通りバンチの末尾がz =−38 cmを超えてから先頭がz = +38 cmを超え るまでの時間と定義し各バンチについて表 4.1のように決められている。また、バンチが存 在しない時間“Sideband”はビーム由来のバックグラウンドの影響の小さい領域で定義されて いる。

Time of Flight [ms]

0 5 10 15 20 25 30 35 40

Z [cm]

40

30

20

10 0 10 20 30 40

1

10 1 10

4.2 Time of Flight と 中性子バンチ位置の関係:3He吸収反応でみた中性子バンチの z位置。Time of Flightが進むに連れて下流へと流れていく。この分布からFiducialの時 間を決定する。

Time of Flight [ms]

Z [cm]

4.3 Time of Flight Fiducial時間:図 4.2を模式的に表した。“Fiducial”はバン チの末尾がz =−38 cmを超えてから先頭がz = +38 cmを超えるまでの時間と定義さ れる。

Bunch Head [ms] Tail [ms]

Sideband 4.00 10.00

Fiducial 1 17.19 17.52 Fiducial 2 20.35 20.74 Fiducial 3 24.12 24.57 Fiducial 4 28.57 29.11 Fiducial 5 33.85 34.49

4.1 Time of FlightFiducial / SidebandTime of Flightの抽出条件に用いられ る閾値。後ほど中性子のバンチ速度が遅くなるためFiducialの時間幅が長くなっている。

4.2.5 Distance from beam Center

Distance from beam Center (DC)は「ヒットしたアノードの2つの端点の内ビーム軸に近 い方までの距離」と定義する(図4.4)。中性子β 崩壊は中性子バンチから発生するためDCは 中性子バンチの広がりに収まる。これに対しバックグラウンドイベントは任意の位置に端点を 持つためバンチ由来のイベントを識別することに用いられる。

TPC

Cathode

Anode

4.4 Distance from beam Center:飛跡の2つの端点のうちビーム軸に近い方までの 距離をDCと定義する。図中の荷電粒子は中性子バンチから発生していないためバックグ ラウンドイベントとみなされる。

4.2.6 X value

X valueは、「ヒットした全アノードの内ビーム軸に最も近い位置までの距離」と定義する。

DCは距離を測る飛跡の端点のみを使用するのに対して飛跡中の任意の位置とビーム軸の距離 を表す。DCと異なりβ 崩壊が壁で後方散乱された場合でも、必ずビーム軸上に分布するため ガス起因バックグラウンドの見積に用いられる。

4.2 解析パラメータ 61

4.2.7 Field Energy Deposit Maximum

Field Energy Deposit Maximumは「最大の波高を持つフィールドワイヤーのエネルギー」

と定義する。3He吸収反応は単位距離あたりのエネルギー損失が大きいためアノードワイヤー では、電子雪崩増幅・アンプの増幅・ADCの記録が飽和を起こしておりエネルギーと信号の 線形性が保たれていないため3He吸収反応とβ 崩壊の区別には適さない。このため、アノー ドワイヤーよりゲインが低く設定されたフィールドワイヤーでの信号をこれらの区別に用い る。また、単位距離あたりのエネルギー損失が大きいことを利用するために全ワイヤーに落と したエネルギーの合計ではなく最大値を持つワイヤーの波高を用いている。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 57-62)