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ドリフト速度の実装

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 54-57)

J- PARC

3.2 検出器シミュレーション

3.2.4 ドリフト速度の実装

TPCのy方向にかけられたドリフト電場による 電子のドリフト速度は、TPCを上下方向 に通過した宇宙線データから導出する。ドリフト速度の導出方法としてこれまで行われてきた

「Error Function法」はドリフト速度を系統的に大きく見積もる事を指摘し、本研究では新た

に「na極限法」を提案し実際にこの方法を用いて求めたドリフト速度がより実験データを再 現する事を示した。よって、検出器シミュレーションへ入力するドリフト速度の解析方法とし て「na極限法」が採用された。

Error Function

Error Function法は、ドリフト時間の最大値を求めるために誤差関数を用いてフィットを

行う方法である。ドリフト時間td は「最初に閾値を超えたアノードの時刻と最後の時間差」と 定義される(図3.16,4.2.1節参照)。TPCを縦方向に通過した宇宙線のドリフト時間が底の電 子がMWPCまでドリフトされる時間としてドリフト速度を算出する。図3.15のようにドリ フト時間分布からError関数とExponential関数の積でフィットしTPC底由来の電子のドリ フト時間を求める。

p0

2 × {

1−erf

(td−p1

p2

)}

×exp (

(td −p3)p4

)

(3.3) Error関数の中心p1 がTPC底由来の電子の時間とし

v = 29.5 [cm]/p1 [0.1µs] (3.4)

からドリフト速度を計算したものを表3.2にまとめた。ドリフト速度につくエラーは、p1 の フィッティングエラーとp2 の幅から決定した。

µs]

Drift Time [0.1

0 100 200 300 400 500 600 700 800

Count

1 10 102

103

104

µs]

na 0 : 1.059 [cm/ h0

Entries 75841

Mean 224.5

RMS 76.49

Integral 7.584e+04 / ndf

χ2 326.8 / 16

Prob 0

p0 1323 ± 896.3 p1 278.5 ± 0.1 p2 6.559 ± 0.090 p3 208 ± 18.0 p4 0.03766 ± 0.00027

h0

Entries 75841

Mean 224.5

RMS 76.49

Integral 7.584e+04 / ndf

χ2 326.8 / 16

Prob 0

p0 1323 ± 896.3 p1 278.5 ± 0.1 p2 6.559 ± 0.090 p3 208 ± 18.0 p4 0.03766 ± 0.00027

µs]

na 0 : 1.059 [cm/

3.15 Error Function法によるドリフト速度導出:網掛けの領域でフィットを行っている。

3.2 検出器シミュレーション 55

Anode

Cosmic ray

TPC

Max Time Min Time

3.16 TPC中のドリフト時間:ドリフト 時間は「最初に閾値を超えたアノードの時刻 と最後の時間差」として定義される。

3.17 宇宙線の角度とドリフト時間の関 係:塗りつぶしは1本のアノードワイヤーが 見込む領域, MWPCTPC底の距離h, 後に閾値を超えたワイヤーのTPC底からの 高さ ∆hは宇宙線の角度が深いほど小さい。

na極限法

ドリフト時間は「最初に閾値を超えたアノードの時刻と最後の時間差」として定義される。

ところが、図3.17のように最後に閾値を超えたアノードは、飛跡にある高さを持っているた め「最後のアノードワイヤーが閾値を超える時刻」は、TPC底からMWPCまでの距離をh、 閾値を超えたアノードの本数をna とすると最大で、

∆h =h/na (3.5)

の高さを持つ。この時のドリフト距離はh−∆hに相当するので、あるnaにおけるドリフト 速度は、

v(na) =vtrue×(1−1/na) (3.6) と表すことができる。そこで、na → ∞の極限を取ることでv(∞) = vtrue となり本来のドリ フト速度vtrue を得ることができる。na毎にデータを分割したドリフト時間分布にガウシアン でフィットを行い、その中心がTPC底からドリフトされる電子のドリフト時間としてドリフ ト速度を求めた。図3.18のように横軸にna、縦軸にドリフト速度v(na)を取り次の式3.7で フィットを行った。

v(na) =p0× {

1−1/(na−p1) }

(3.7) p0 がna→ ∞のドリフト速度に対応する。p1は∆h =h/naの値はアノードが持ちうる最大 のゲタの高さであるが、本解析ではドリフト時間の見積にガウシアンの中心値を用いているた め∆hよりも小さな値を取りこれに伴う補正量となっている。それぞれのFillでのドリフト

速度を表3.2にまとめる。ドリフト速度につくエラーは、シミュレーションの宇宙線データに 同じ解析を行い実装したドリフト速度との差のばらつきによって評価した。

Number of Anode

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

s]µDrift Velocity[cm/

0 0.5 1 1.5 2 2.5

/ ndf

χ2 33.32 / 16

Prob 0.006701

p0 1.026 ± 0.001089 p1 3.128 ± 0.231

/ ndf

χ2 33.32 / 16

Prob 0.006701

p0 1.026 ± 0.001089 p1 3.128 ± 0.231

Drift Velocity Fill I

3.18 na極限法によるドリフト速度導出:それぞれのna で導出したドリフト速度に

フィットを行いvtrueを求める。

ガス全圧 [kPa] Error Function法[cm/µs] na極限法 [cm/µs]

Fill I 98.964 1.059± 0.09 1.026 ± 0.04

Fill II 97.531 1.087 ± 0.002 1.041 ± 0.04

3.2 ドリフト速度解析結果まとめ:ドリフト速度は、ドリフト電圧とガス圧に依存する パラメータである。

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第 4

データ解析

この章では、実験データの解析の詳細及びその結果について記述する。

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