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粒子シミュレーション

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 43-47)

J- PARC

3.1 粒子シミュレーション

粒子シミュレーションには、高エネルギー物理反応を計算するツールキットGeant4*1 [28]

を用いてモンテ・カルロシミュレーションを構築した。BL05の実験環境を再現するために実 験装置やTPCガスを実装した。また、発生する現象を再現するために中性子分布や55Fe X 線源・宇宙線の角度 及び 空間分布を実装した。計算時間を抑えるために、粒子生成はTPC でエネルギー損失をする可能性のある分布のみに設定した。

3.1.1 実験装置の実装

BL05に設置されている実験装置(2.3節参照)と同じサイズ・素材及び位置に実装している (図3.1)。実装した装置は次の通りである。

6Li中性子シャッター

• 宇宙線べトーカウンター

• 鉄・鉛遮蔽体

• 真空容器

• Time Projection Chamber

*1Geant4 Version 4.9.6 Patch 04 (Release : 2015/01/30)

3.1 Geant4シミュレーションの様子:TPC中での中性子β崩壊シミュレーション。β 線はTPCに飛跡を残している。反電子ニュートリノは相互作用せず検出器から飛び出して いる。

3.1.2 TPC ガス

シミュレーションで真空容器の内側にTPCのガスを表3.1の通り満たしている。真空容器 にガスを詰める際のガス密度が実際の302 Kでなく、標準状態(0C = 273.15 K)になってい

たため、3.2.2節で示すように宇宙線のエネルギー損失を再現しない問題が存在していた。ガ

スの密度を標準状態の値をガス導入時の温度に反比例するように修正したところこの問題は解 決した。本実験ではガスは封じきりの状態でデータ収集を行うため、アンプの発熱によりガス 全体の温度が上昇しても導入時のガス密度は保存される。

基準値 Fill I Fill II He圧力 [kPa] 85 84.118 82.928 CO2圧力 [kPa] 15 14.846 14.603 導入時温度 [K] − 302.75 302.14 運転時温度 [K] − 308.05 304.46

3.1 TPCガスインプットパラメータ:ガスを封じきりで用いているため、密度は導入

時の温度で決まる。運転中はアンプの発熱によりガスの温度が上昇する。

3.1 粒子シミュレーション 45

3.1.3 中性子ビーム分布

Geant4シミュレーションでの中性子ビーム分布は、Imaging Plate (IP) *2で取得したxy 方向の2次元分布を元に作成した(図3.2)。TPC内の4箇所で取得したIPのうち 最上流を 入力とし、下流では残りの3箇所を再現するようにxy方向の拡散を導入することで任意のz 座標での中性子分布を再現した。z 方向の分布は、3He吸収反応の時間分布(図4.2)を元に作 成した。

TPC中に中性子を飛行させ崩壊させるシミュレーション方法は計算時間が膨大になるため、

中性子β 崩壊はこの3次元ビーム分布からランダムに選ばれた点から発生させる。3He吸収 反応、CO2吸収反応も同じ分布から発生させている。

TPC

Beam axis Neutron Beam

Z X

Neutron

Neutron Imaging Plate

3.2 TPC4箇所のImaging Plateで取得した中性子ビーム分布:下流に行くほど xy方向に拡散している。

3.1.4

55

Fe X 線源分布

計算時間を抑えるために55Fe線源からTPCに入る角度のX線を直接生成する。X線のエ ネルギーは表2.6の太字の中から放出確率に従ってランダムに選び、角度は図3.3のように鉄 線源のコリメータで制限される角度に打ち出している。図 3.4は、実験データとシミュレー ションでのX線が光電吸収した位置を表しておりシミュレーションは実験データをよく再現 していることが分かる。

*2富士ゼロックス社製のフィルムで、中性子吸収によって励起した原子が発する蛍光から照射中性子量の2次元 マップを得ることができる。

55Fe source Collimator

20 mm 22 mm

x

z

Δz

3.3 55Fe X線源の放出角度:薄い金属板 を積み重ねた構造のコリメータによりy方向 は地面に水平で、z方向に扇型の広がりを持っ X線がTPCに入射される。

0 20 40 60 80 100 120 Fe Xray deposit position Experiment

chce [wire]

0 5 10 15 20 25 30 35 40

ace[wire]

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

Fe Xray deposit position Experiment

0 20 40 60 80 100 120 Fe Xray deposit position Simulation

chce [wire]

0 5 10 15 20 25 30 35 40

ace[wire]

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

Fe Xray deposit position Simulation

3.4 55Fe X線源の光電吸収位置:[] 験データ []シミュレーションアノード・カ ソードワイヤーのエネルギー重心位置。

3.1.5 宇宙線分布

宇宙線µ±は、Minimum Ionizing Particle (MIP) の荷電粒子としてTPCドリフト速度の 導出やアノード検出効率の見積など、β 崩壊信号を使わずに検出器の応答の確認に用いるため シミュレーションに導入した。地上で観測されているµ粒子の電荷比率µ+ = 1.3の割合 [2]でランダムにµ± 粒子を打ち出す。宇宙線のエネルギー(図3.5)と角度(図3.6)を選出し ている。宇宙線の角度分布は、天頂角θ に対して立体角sinθとcos2θ分布の積に従うよう実 装した。

3.5 宇宙線のエネルギー分布:

宇宙線エネルギーの理論曲線 と シ ミュレーションに導入した宇宙線エ ネルギー。

Zenith angle [rad]

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

Count

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8

103

×

Cosmic Ray Zenith Angle Cosmic Ray Zenith Angle

3.6 宇宙線の天頂角分布:ヒストグラムがシミュ レーション、実線が理論曲線である。天頂角θに対し て立体角sinθcos2θ分布の積になる。

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