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複数航路における運航サービスの改善策についての検討(1)

6、1緒言

 第2章の離島航路の現状と課題に基づいて第4章で近接離島の生活航路における運航サ ービスの改善策を検討した・第5章では・航路が隣接しておらず集約・統合が容易ではな い離島と本土の2港間を結んでいる単独航路を対象にして、航路事業者の負担を軽減し運 航サービスを改善する可能性について検討した結果を示した。

 第4章で示したように利用者の要望としては「増便」とr就航時問帯の延長」があげら れるが・需要が低迷している航路や需要に対して供給が過多で採算性が低下している航路 ではそれらの要望を実現することは容易ではない。そのため、複数港路では採算性の低下 による減便の可能性が大きな問題となっており、便数の維持という利用者の二一ズを考慮 しながら・航路事業者の収支改善策を実現する方策について検討する必要がある。また、

近接離島の複数航路は・複数の離島と本土とを結んでいるため単独航路とは経路ネットワ ークが異なり・第5章で示した単独航路のモデルをそのまま適用できない。

 このような交通・輸送機関に関する類似の運行計画の研究としては、第3.3節で示し

たように外航海運の運航計画(2×3)(4)(5)、バス路線網計画(6)(7)(8)(9〉、鉄道網計画(1・)、航空機 ネットワーク計画(U)(12)(13)等がある。

 バス路線網計画は・バス利用のOD需要とバス保有台数を与えた条件のもとでモデル化 を行っている・鉄道では列車系統を定めてこれを基本に輸送網計画を求めている。バスは 道路を走行し・鉄道は線路上を走行するためネットワーク上に移動の制約がある。また、

スクールバスの運航計画は需要が限定されていて近接離島航路と共通点があるが、スクー ルバスの場合にはその需要で収益が見込まれ、運行は既存のバス会社に委託される点が異 なり、代替交通手段が存在する点や資本投資が高額な船舶に比べるとバスは安価である点 などに違いがある。

 陸上交通に対し・航路や航空路は各地点問を直行できる類似点もあるが、航空の機材ス ケジューリング問題は単独路線の利用者を対象として乗り継ぎ利用者を考慮していない。

また・仮想した複数路線ネットワークを対象としたケーススタディを行っている。

 このように、交通・輸送の運行計画に関する設計・スケジュール問題をそのまま近接離 島の複数航路に適用することは表6−1に示すように・形成されるネットワークの形状や 輸送機関の特性が異なるため容易ではない・更に、このような輸送計画問題では、輸送に かかる総費用が最小となるような解を求めるのが一般的である。

 しかし、代替交通手段が存在しない離島航路の場合では、利用者の利便性を考慮し、必 要とされる離島と本土を結ぶ船舶の大きさや隻数と運航便数をあらかじめ設定して、それ にかかる費用が最小となるように運航計画を行う必要があると考えられる。また、複数の 離島を結ぶ航路においては・同一リンクを通る複数のルートが存在し、各地点間の利用可 能ルートにより便数が決定されるという複合的な問題である。

 そこで本章では、各港間における複数の利用可能ルートが存在する複数航路を対象とし て・各ルートの便数の合計である総利用可能便数を利用者二一ズとして維持し、利用者の

利便性としての所要時間と事業者の経営改善としての運航時間を最適化する問題を検討す る。そのため、これらの問題を数理モデルとして定式化し、解法の検討を行い最適解を求 めることにする。

 更に、実際の航路を対象としケーススタディを行い具体的に検討することにより、複数 航路における航路運営の合理化策を検討する。また、現在のダイヤが利用者の利便性を重 視しているか、事業者のコスト減を重視しているかの評価も行えるモデルとする。

 第2節では、問題の前提を整理し利用者の利便性と事業者の経営改善効果を取り込んだ 2目的最適化モデルとして定式化を行う。

 第3節では、定式化された2目的最適化モデルの解法の検討を行う。

 第4節では、利用者二一ズを考慮した航路事業者の効率化や収支改善の実現可能性につ いて分析を行うために、仮想のネットワークではなく実際の航路に適用してケーススタデ

ィを行う。ケーススタディとして1っは競争関係にある航路として規制緩和によって他社 が航路参入し競争が激化し航路事業者の収支が悪化している兵庫県家島諸島航路と、2つ 目に1社独占で運航し採算性が低下しているため補助航路となっている香川県直島諸島航 路の2つの航路を選定しモデルを適用した結果を示す。

 最後に、第5節では本章で得られた知見をまとめる。

表6−1 ネットワークの形状や輸送機関の特性

項 目 ノくス 鉄道 航空 近接離島航路

ノード数 多 少 少

ルート数 複数 複数 単独 複数

ルート長 短距離 短距離〜長距離 中長距離 短距離

リンク 道路 鉄道 航空路 航路

直行性* × ×

O O

モード数

*注:直行性とは航路・航空路は出発港から目的港へ他のノードを経由することなく直行す ることが可能であること。

6.2複数航路の運航計画問題 6.2.1前提

 複数航路では図6−1に示すように本土港から離島港A、Bを結ぶ航路の場合は、全て の便がA港を経由する運航であれば本土港と離島港Bの利用可能便数はnニmとなる。し かし、実際には需要が少ない離島を経由しないで抜港運航する場合もある。例えば、ある 便はA港までしか運航せず本土港に戻る場合にはn>mとなり、本土港と離島港Bの利用 可能便数はmとなる。逆に離島港A、B間の運航便数が多いn<mの場合には、本土港と 離島港Bの利用可能便数はnとなる。

 もし、複数の船舶で本土港と離島港Aのみの航路、離島港Aと離島港Bのみの航路を運 航する場合には、本土港から離島港Bへのルートでは離島港Aで乗換の必要がある。今回

はこのような場合では全ての便において乗り継ぎが可能と仮定し、本土港から離島港Bま での利用可能便数は経由する港問の便数によって決定されると考える。

 対象とする港の数が増えると任意の2港間のルートの数が増えるが、そのルートにおけ る利用可能便数は同様にして求めることが可能であり、それらを合計するとその2港間の 総利用可能便数となる。

本土港(H)

便数:n

離島港(A) 離島港(B)

便数:m

図6−1 運航便数と利用可能便数 そこで、以下の仮定を設けて定式化を行うことにする。

(1)複数の船舶が就航する場合でも各港問の運航時間は一定とする。

(2)計画は一目を単位とする。

(3)この問題においては目的関数を最小とする各港問の運航便数を決定することを目的 とし、各ルートでの港における乗り継ぎは全て可能とする。

6.2.2定式化

変数およびパラメータは次の通りである。

(添字)

乙プ.1,ノ(=1,…6, 〈r):港の番号 蚕二1,…・,Rが):ルートの番号

ただし,

ノV:港の数

Rザ港1から港ノヘの利用可能ルートの数

(パラメータ)

加幹:港fから港ノヘのトリップにおけるルート左の平均待ち時間 加繊:港1から港∫へのトリップにおけるルート盆の所要時間 1働:港1から港∫へのトリップにおけるルート詮の平均乗換時間

r雄=港1から港ノヘのトリップにおけるルート詮の便数

 コ ぼx扉1港1から港∫へのトリップにおけるルート衣に直航港間∫㌧ノが含まれるとき1   そうでないとき0

卯:港iから港1へのトリップ数 砺・:港ガから港ズ間の運航時間

7ヴ1港∫ノから港ヂの運航便数

n物1港1から港ノヘの最低運航便数 0:運航船舶の乗客定員

β1運航可能船舶の隻数 丁:船舶の就航時間

(Model6−1)

subject to

minimaize(Z1,Z2)

ΣΣ砺勇・プ≦B・T

∫1∈ムrノ∈ハ『

 卯

   ≦C,iJ∈N Σ聯

之∈Rヴ

       コ ゆ聯二{min(7ヴ・耀),i壁,プ∈N},1,ノ∈1V,々∈Rヴ

Σ伽≧n物,i∈N,ノ∈N

々∈Rび

z「夏=ΣΣΣ(轍+晦+16ク左)爆・9ヴ

  ∫∈ムrノ∈ハr左∈Rび

(6.1)

(6。2)

(6.3)

(6.4)

(6.5)

z2=ΣΣ孟・プ・7ゴ・プ

  ず∈〈〜1『∈ハr (6.6)

 (6.1)は船舶の隻数と運航時間に関する制約式、(6.2)は乗客数が定員を超えないという制 約式、(6.3)は港間の直航便数からルートの利用可能便数を求める式、(6.4)はローカルミニ マムとしての運航便数を保証する制約式、(6.5)は総所要時問を求める目的関数式、(6.6)

は総運航時間を求める目的関数式である。

 目的関数式(6、5)における、待ち時間と乗換時間は実際にダイヤを設定しないと与える ことはできないため、ここでは待ち時問と乗換時間を一定として目的関数から除いて考え ることにする。つまり、Z1は運航時問、便数とトリップ数の積となり、目的関数式(6.5)

は以下のようになる。

        z1=ΣΣΣ伽爆・9が