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地方の公共交通に関する既往研究と本研究の特徴

3.2 調査対象文献の範囲

(1)NACSIS−IRのデータベースの詳細

NACSIS−IRについては、下記データベースにより検索を行った。

・科学研究費補助金研究成果概要データベースKAKEN1985一全分野

・学位論文索引データベースGAKUI1957・全分野

・学会発表データベースGAKKAI1987一全分野

・民問助成研究成果概要データベースJOSEI1964・全分野

・経済学文献索引データベースKEIZAI1983一経済学

・社会学文献情報データベースSOCIO1991−1996社会学

・地理学文献デrタベースGEOG1987−1996地理学、地理教育及び地域研究

(2)」1CSTのデータベースの詳細

 JICSTファイルは、科学技術振興事業団科学技術情報事業本部(JICST)が作成・提供する 文献ファイルで、JICSTが編集・発行する「科学技術文献速報」に対応している。

 JICSTが収集した主要50余か国の逐次刊行物約1.2万種、技術レポート、会議資料な どに掲載された、科学的・技術的に優れた文献、年問約70万件が収録されている。

 また、国や地方自治体、またはそれに準ずる機関、公益法人などが作成する不定期刊行 物(研究報告、調査報告、審議会報告、行政報告など)も含まれている。

 なお、JICSTファイルで使用しているキーワードと分類コードは、それぞれ「JICST科 学技術用語シソーラス」、「JICST科学技術分類表」に、基づいて付与されている。

<対象分野>

科学技術一般 物理学 基礎化学

宇宙・地球の科学 生物科学

農林水産 医  学 工学一般

システム・制御工学 情報工学

経営工学 エネルギー工学 原子力工学 電気工学

熱工学・応用熱力学 機械工学

建設工学 環境工学 運輸交通工学 鉱山工学 金属工学 化学工学 化学工業 その他の工業

(3)Dialogのデータベースの詳細

Search By Database Group(Transportation,Civil Engineering)

・NTIS・National Techn主cal Information Service

・FLUIDEX(Fluid Engineering Abstracts)

・Ei Compendex⑧

・Wilson Applied Science&Technology Abstracts

・Transportation Research Information Services(TRIS)

・ICONDA−Intemational Construction Database

・JICST・EPlus−Japanese Science&Techno1ogy

・PASCAL(File144)

・INSPEC(1969−present)

・Wilso且Applied Science&Technology Abstracもs

・Aerospace Database

・ISMEC:Mechanical Engineering Abstracts

・METADEX⑧:Metals Science

・Abstracts in New Technologies and Engineering(ANTE)

・SciSearch⑱・a Cited.Reference Science Database−1990一

・GEOBASE(TM)(File292)

・Engineered M:aterials Abstracts⑪

・ Inside Conferenc es

・RAPRA:Rubber an(i Plastics

・SciSearc五⑭一a Citod Reference Science Database−1974−1989

・FLUIDEX(Fluid Engineering Abstracts)

 表3−1に示すキーワードを用いて、まず地理分類において単キーワードによる検索を 行い、その他の分類におけるキーワードとのAND検索を行った。その結果、得られた文 献を分野・対象に分類したのが表3−2である。航空以外ではほとんどの文献が人文系と なっていることがわかる。海上交通は、報告書の割合が他の交通機関に比較すると多いこ とがわかる。このことより、地方の公共交通に関んする研究は人文系からのアプローチが 多く、理工系からのアプローチが少ないと考えられる。

表3−1 検索のキーワード

分 類 キーワード

①地理 過疎、人口減少地、人口稀薄地域、地方、地域、

島、辺地、ルーラル、ローカル

②交通・輸送 公共交通、足の確保、潜在需要、生活交通、交通権、輸送、物流

③財政 補助、赤字、非採算、不採算、ナショナルミニマム

④手段 バス、航空、鉄道、船、自家用車、トラック

⑤対象 移動制約者、交通弱者、交通貧困者、交通貧困階層、

ンディキャップ、交通バリアフリー

表3−2 分野・対象別文献の割合

(%)

総合 公共 道路 鉄道 航空 海上 人文系 61.5 茎00.0 83.3 90.9 55.6 65.5 理工系 20.5 0.0 6.3 9.1 44.4 6.9 報告書 15.4 0.0 10.4 0.0 0.0 27.6

その他 2.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 文献数 39 11 48 23

9

29

注)手法: 人文系(経済、経営、政策)、理工系(数理モデル、数理解析)

  報告書(アンケート、ヒアリング調査の集計分析)

3.3 地方の公共交通に関する文献

3、3,1 総合的な公共交通に関する文献

(1)地方自治体・地域住民の役割

 過疎地域の公共交通機関に関する研究は交通経済学や交通政策論を中心にするものがほ とんどである。その中でも高橋(1)は、ナショナルミニマムについて、・最低基準を各人がど のように負担すれば、もっとも効率的に、そしてできるだけ早く、その基準を満たしうる かの方法の研究が大切であるとし、当時国鉄の赤字を租税でうめることの不公正を指摘し、

シビルミニマムなどは、いずれ国がどうにかしてくれるという地方自治体や住民の「甘え」

の表現に他ならないと思われるとその概念の使途について危惧している点で非常に先見性 のある論文である。

 過疎地域の公共交通政策における地方自治体などの役割についての研究として、中条(2)、

高寄(3)、堀(4)、立田(5〉は、地方自治体は、交通サービスを自主的に水道サービスと同じく 重要な行政サービスと認知すべきであり、地域計画と交通計画の関連性、地域問題と交通 問題の関連性等の交通政策(6)を自らの行政課題として対応する必要があるとしている。

 また、山口(7)、澤(8)は、低密度地域における鉄道やバスの維持に伴う地域の負担の明確 化や、維持すべき交通サービスの質と量に関する数量的基準の確立など、地域交通体系の 再構築に関する調査研究を重視すべきであり、地方の実態を体験している人こそ、地方の 交通政策に発言権を持つべきでありとし、低密度地域に拠点を置く研究施設や研究組織の 整備と研究の推進が必要であるとしている。その事例として、折田ら(9)の過疎地域の交通 特性を把握するための研究、谷口ら(10)の北海道北部地域における公共交通機関の役割と課 題について、『道北地域における公共交通機関の維持整備に関する基礎調査』と、『自家用 車の利用意識調査』から自家用車と公共交通機関(鉄道、バス、タクシー)の役割につい ての研究等がある。

 特に、田中(mは、地域交通維持の取り組みを積極的に行ってきた青森県津軽地方を対象 として地域総合交通計画策定の可能性を探求し、市町村の総合開発計画に共通する特徴と して政府や交通事業者に要望する形が多く、各市町村に交通関連の財源と権限が無いため 独自に対応するという形は少ないと論じている。

(2)補助のあり方、補助による維持の根拠

 過疎地域の公共交通補助に関する研究として、中条(12)や坂下(13)は、経済学的視点でX一 不効率性の存在(14)から限界費用原理による価格形成と補助金の組み合わせという合理的 な政策について提案し、国の補助制度の改善と地方自治体の自主性について論じている。

 一方、香川(⑥、細田(⑥は、過疎交通にっいて市場メカニズムのみを中心に捉え、交通事 業者の安易な撤退を自由に認めれば多くの路線が消滅し、交通弱者から生活上最も重要な 移動の権利を奪うことになる。規制は必要であるとし、事業者の自助努力だけでは絶対に

不採算な路線であっても最低必要限の路線を維持しようとするならぱ、その責務は主に事 業者にではなく、国土・交通政策の失敗や自治体に求めるべきであるとしている。

(3)維持のための運営形態

 過疎地域の公共交通維持の運営形態として、今城(17)は、その交通サービスのクラブ財的 性格を確認することが必要であろうとし、過疎地における公共交通手段を二部料金制とし

たクラブ財的維持(18)についての方向性を示している。坂田(19)、市原(20)、衛藤(21)、蕎木(22)

は、過疎地域の交通実態についてアンケート調査の結果に基づき過疎交通の実態分析から 今後のあり方として二部料金制、ディマンド制のような非既存型の新しい弾力的な公共交 通手段の導入のあり方を提言している。佐藤(23)は、非既存型としてパラ・トランジェット 運営を提案している。パラ・トランジェット運営については山口(24〉らの研究がある。

(4)規制緩和の影響

 過疎地域の公共交通に対する規制緩和について、中条(25)は、参入規制の緩和が過疎地の ような低密度の交通サービスにおいてもマイナスにはならないことを日英の航空市場比較、

英国のバス市場、発展途上国の中小容量輸送およびわが国の定員12名以下の旅客船市場、

過疎地域の道路旅客輸送の実データに基づいて論じている。

3.3,2 地方のバス交通

(1)地方自治体・地域住民の役割

 地方のバス交通における地方自治体の役割についての研究として、広岡(26)は、道路とい う もの 中心に巨額の事業費を投入することがマイカー時代の考え方だとすれば、これ は危険であり、地方バス交通を維持するためには積極的な姿勢が地元自治体にも望まれる と論じている。

 片山ら(27)は、バス事業の地域性による実状、あるいは住民二一ズに密着した地域交通体 系を地域の中から整備していくことが必要であるとしている。また、さまざまな機能を統 合することを含めて、経営的にスリムかつフレキシブルな経営をしていくことが必要であ り、補助金制度の変革と規制緩和が進むなかで、とくに地域交通に対して意欲的に工夫を こらしていく気概とそういう人材が、これからの地域交通を維持していくために必要であ ると論じている。

 中条(28)(29〉、斎藤(30)(31)は、事業者が自立採算可能な範囲内で企業努力を傾注できるよう な生活路線補助とバス事業者補助のあり方や補助の根拠、地方政府による維持策、現行シ ステムの評価と問題点について詳細に検討し、必要とされる諸施策の提言について論じて いる。特に、当該自治体に交通企業体間の調整機能、監督権・管理権を持たせる必要があ ると論じている。