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補助入力の提案と漸近的特性の解析

ドキュメント内 藤田 政之 助教授 (ページ 56-59)

5.3 適応 H ∞ 視覚フィード バック制御則

5.3.2 補助入力の提案と漸近的特性の解析

5.3. 適応H視覚フィード バック制御則 49

証明 : 定理4.2の証明から行列Pを正定にするようにゲインが選ばれているならば,ν= 0 の場合に正定関数V = 12sTM s+ k2zwokfk2 の解軌道に沿った時間微分は,

V˙ +1

2kzk2−γ2

2 krk2 0 を満足する. しかしν 6= 0ならば上式は,

V˙ + 1

2kzk2 γ2

2 krk2 ≤ξTν

となることは簡単な計算から明らかである. また−ξ νは正定関数Vψに関して受動性 を満足する仮定から,

V˙ψ ≤ −ξTν が成立する. そこで,

Wψ =V +Vψ としてその解軌道に沿った時間微分を求めると,

W˙ψ +1

2kzk2 γ2

2krk2 ≤ξTν−ξTν = 0 (5.17) であり, この式は供給率 γ22krk2 12kzk2, 蓄積関数Wψとしたときの微分消散不等式であ る. よってシステム(5.15)はγ以下のL2ゲインを有する.

(Q.E.D.) この2つの補題は 2. 4 節で紹介した定理2.1を視覚フィード バックシステムの制御へ拡 張したものである. この2つの補題を利用して以下では適応H視覚フィード バック制御 則の提案と解析を行う.

50 第5章 視覚フィード バックシステムの適応H制御

証明 : すべての時刻T 0に関して,

Z T

0 (−ξT)Y( ˜ρ+p)dt =

Z T

0 (d

dt( ˜ρ+p))Γ( ˜ρ+p)dt =Vψ(T)−Vψ(0) (5.19) が成立することから自明.

(Q.E.D.) 補題 5.4 q˙∈L,a ∈L, v ∈Lであるとき, Y(q,q, v, a)ρ˙ ∈Lである.

証明 : リグレッサY と慣性パラメータρの定義から,

Y(q,q, v, a)ρ˙ =M(q)a+C(q,q)v˙ +g(q) (5.20) となる. マニピュレータダ イナミクスの性質2.1, 2.4, 2.5から

M(q)a+C(q,q)v˙ +g(q)≤mMkak+cMkq˙kkvk+gM (5.21) なるqに無関係な上限値を有する. ここで補題の仮定より,

mMkak+cMkq˙kkvk+gM ∈L (5.22) である.

(Q.E.D.) 補題5.1と5.3, 5.4を利用すると, つぎの定理が導出できる.

定理 5.1 補助入力として,

˙

p=Γ−1YT(q,q, αη, α˙ η)ξ˙

u=p (5.23)

を考える. ゲインK1, Γは正定対称行列, k2, αは正の数とする. またヤコビアンJpは正則 であるとする. ならばつぎの閉ループ系はリアプノフの意味で安定である.

M(q) ˙ξ=−C(q,q)ξ˙ −K1ξ+k2JpT(q)R(q)f+Y(q,q, αη, α˙ η)(p˙ + ˜ρ) f˙=−sλα

zwoRT(q)Jp(q)JpT(q)R(q)f

zwoRT(q)Jp(q)ξ−RT(q) ˙R(q)f

˙

p=Γ−1YT(q,q, αη, α˙ η)ξ˙ (5.24)

その上t → ∞f 0, ξ 0を満足する. またt→0でp˙0となる.

5.3. 適応H視覚フィード バック制御則 51

証明 :

ν =Y(q,q, αη, α˙ η)(p˙ + ˜ρ)

と選ぶことにより,補題5.3から−ξ→νのシステムは, Vψ = 12( ˜ρ+p)TΓ( ˜ρ+p)に関して 受動的となる. またマニピュレータの関節はすべて回転関節であることを仮定するならば, Jp(q)の各要素はqの有界な三角関数のみで構成される. よってその特異値もまた有界であ る. つまり正定関数として

W =V +Vψ = 1

2ξTM(q)ξ+k2zwo

2sλ kfk2+ 1

2( ˜ρ+p)TΓ( ˜ρ+p) (5.25) を選ぶと, 補題5.1の証明よりWの解軌道に沿った時間微分は準負定関数となる. その上, f, ξ, ˙q, Vψの有界性も証明される. Vψρ˜+pに関する二次形式であるから, ˜ρ+pの有界 性,つまりp∈Lも確認できる.

なおその上,

η=JpTRf

˙

η= ˙JpTRf +JpTRf˙ +JpTRf˙= ˙JpTRf +JpTRf˙ +

zwoJpTJpq˙−JpRf˙

である. 回転関節からのみなるマニピュレータに関してはJpRqの三角関数で与え られることから,

sup

q σ( ˙Jp) =jMkq˙k sup

q σ( ˙R) = rMkq˙k

なるqに依存しない有界なjM >0, rM >0を有する. よって, ηη˙はkq˙kkfkの関数 で与えられるqに無関係な上界を有する. その上, ˙q L, f Lであるため, η L,

˙

η ∈Lとなる. これを補題5.4に適用すると,νの有界性が確認できる.

以上の議論から定理5.1は, つぎのように証明できる. リアプノフ関数候補として正定関 数W を選ぶ. この時間微分は準負定な関数となるのでシステム(5.24)のリアプノフ安定 性が確認できる. またνの有界性から補題5.1によりt→ ∞f 0とξ→0となる. ま たp˙=Γ−1YTξからp˙0となる.

(Q.E.D.)

注意 5.1 システム(5.24)は漸近安定な平衡点を有していることは証明できていないこと

に注意する. fξに関しては0へ収束することが証明できたのだがp+ ˜ρの0への収束, つまり不確かさの推定ベクトルpの真値ρ˜への収束が証明できていないことが問題である.

52 第5章 視覚フィード バックシステムの適応H制御

この問題はマニピュレータの適応制御で長年議論されてきている問題である[57]. 厳密 に漸近安定性を議論するためには, リグレッサY や慣性パラメータρの設定などに仮定が 必要であり, これらの議論は本研究の対象外である. よって適応H視覚フィード バック 制御問題の内部安定性として, リアプノフ安定かつt → ∞f 0とξ 0 となること を採用した.

定理5.1より適応H視覚フィード バック制御則の候補として,

˙

p=Γ−1YT(q,q, αη, α˙ η)ξ˙

τ=−K1ξ+k2η+Y(q,q, αη, α˙ η)(ρ˙ 0+p) (5.26) を考える. 次節では外乱入力が存在する場合, 制御則(5.26)のL2ゲインによる制御性能解 析を考察する.

ドキュメント内 藤田 政之 助教授 (ページ 56-59)