88 第6章 視覚フィード バックを利用した3次元相対位置姿勢制御
Σ
OΣ
CΣ
WCamera
Target Object 0.1m
0.1m
図 6.3: Simulation setup
とする. 対象座標Σwoは,
pwo(t) = [0.0 0.0 1.0 +.25 sin(2πf t)]T[m] Rwo(t) =e(π/8[sin(2πf t) cos(2πf t) cos(2πf t)]T)∧ で位置姿勢が変化する. ここでf = 0.24(Hz)とする.
カメラモデルは焦点距離λ = 2180として, サンプ リング周期は, 1/120[s]とする. また 画像処理の誤差として, [−3,3]の一様雑音を付加した.
推定器のゲインKeと, 制御ゲインKcはつぎの組み合わせでシミュレーションした.
1.制御ゲインKc = 75.0Iで固定して, 推定器のゲ インをKe1 =I, Ke2 = 10.0I, Ke3 = 30.0I とする.
2.推定器のゲ インKe = 20.0Iで固定して, 制御則のゲ インをKc1 = I, Kc2 = 25.0I, Kc3 = 50.0I とする.
6.7.2 シミュレーション結果と考察
シミュレーションは Mathworks 社の MATLABを利用し, 微分方程式を解くためにオ イラー法を利用した. 図6.4–6.6には, 制御則のゲインKc = 75.0Iに固定して, Keを変化 させたものを, 図6.7–6.9には, 推定器のゲインをKe = 20.0Iに固定して, Kcを変化させ たものを示す. それぞれの図は左に相対位置pcoで上から順にXc,Yc,Zc方向を, 右に相対
6.7. シミュレーション例 89
姿勢Rcoの等価回転角表現を上から順にXc,Yc,Zc方向を示す. pcoのZc方向は1.0[m],そ れ以外は0が目標値である.
図6.7–6.9の結果ではKcが大きくなるほど, 目標値と一致しているのが確認できる. こ
れは注意6.2の考察で, Kcのノルムが大きくなるほど, より小さいγ > 0に対して, 行列 A−B(C+εI)−1BT +εI >0 を保証できる. つまり外乱からの影響の減衰効果が顕著に なるためである.
図6.4–6.6の結果ではKeが小さくなると, 目標値との誤差が大きくなり,Keが大きくな
るとその値が振動的になっていることが確認できる. この理由は注意6.2での行列Cの構 造から説明できる. 行列Cの構造は,
C :=Ke−1
2I− 1
2γ2(I+Ke2)
である. Keを0へ近づけると, Cの準正定性を保証するγが大きくなる. 逆にKeを大き くしても,Ke2の項の影響が大きくなり,やはりγを大きくしないとCの準正定性を保証で きない.
よってこのシミュレーションはL2ゲインにより3次元の相対位置姿勢制御の性能を評 価する妥当性を示しているといえる.
6.7.3 モデルの不確かさに対するロバスト 性の確認
本節ではカメラモデルにつぎ の2つのタイプの不確かさが存在した場合のシミュレー ションを行い,ロバスト性の確認を行った.
1.焦点距離の公称値はλ= 2180であったが,実際には1.2倍のλ= 2616である場合.
2.画像情報fが, 画像処理(特徴点の抽出など)により1サンプル(1/120 秒)の時間遅れ が生じた場合.
本章ではもちろんこれらモデルの不確かさに対するロバスト性は考慮していないが,提案 する制御則の問題点などを知るためにもモデルに不確かさが存在するシミュレーションを 行うことは重要である.
上記2つの不確かさが存在する場合以外にはシミュレーションの設定は, 6.7.1節で述べ たものと同じものとする. またゲインはKc = 75.0I, Ke= 20.0Iとした. なお図6.10には
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不確かさが存在しない場合の相対位置姿勢の応答を示している. 目標値によく一致してお り, 良好な特性を示していることに注意してもらいたい.
図6.11には焦点距離に不確かさが存在した場合の相対位置姿勢の応答を示している. 相 対位置pcoのZc方向以外は良好な応答を示しているが, z方向は, 1.2[m]の位置にとど まっ
ており, およそ0.2[m]のオフセットを生じている. 焦点距離が1.2倍になった影響により,
対象の奥行きが見かけ上 1/1.2 倍,つまり1.2[m]が目標値となってしまうためである.
つぎに1サンプルの時間遅れが生じた場合の結果を図6.12に示す. 応答が発散してしま い, 不安定となっていることがわかる. つまり公称モデルに対する外乱抑圧の制御性能は 非常に良好であるが, むだ時間などのモデル化されない不確かさに対するロバスト性は非 常に乏しくなっていることがわかる. つぎに1サンプルの時間遅れが生じた場合でゲイン をKc = 50.0IとKe= 20.0Iとした場合の応答を図6.13に示す. 図6.12の場合とは異なり, 応答が発散する現象は見られなくなった. しかし公称モデルに対する結果である図6.9の場 合と比べると, 応答が振動的になっているのがわかると思われる. 制御ゲインKc = 25.0I とした場合(図6.14)は,その振動も収まり公称モデルに対する結果である図6.8とほぼ同 じ応答を示している. つまり時間遅れなどのモデル化されない動特性に関してロバストな 安定性を保つ場合には制御ゲインを減少させる必要があることがシミュレーションから確 認できた.
しかし注意6.2で述べたように制御ゲインを減少させる場合L2ゲ インの意味での外乱 抑制性能の劣化を招いてしまう. つまり, 外乱抑制性能と時間遅れに対するロバスト安定 性においてはトレード オフの関係が生じていることが確認できた.