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衝突エネルギー吸収性能の検討

ドキュメント内   201801孔呈海 博士論文   (7.77MB) (ページ 117-122)

第 5 章 反転ねじり型折り紙構造の提案とその実用化

5.3 成形した反転ねじり型折紙構造の品質検討

5.3.4 衝突エネルギー吸収性能の検討

衝突エネルギー吸収性能を検討するため, ハイドロフォーミング法で成形した反転 らせん型折紙構造と部分回転加工法で成形した反転ねじり型折紙構造に対して, それ ぞれ解析モデルを作成する. 構造の長さは375mm, 断面周長は180mm, 捩じり角度を5 度と同様に設定し, 双方の成形解析で得られた板厚分布結果と材料特性をそれぞれの 衝突解析モデルに反映させ, 要素数は65285, 節点数は32851であり, 折紙構造の上端面

に1000kg の集中質量をつけ衝突速度 15m/s の同じ解析条件の下で衝突解析を行い, 結

果を図5.28〜5.30に示す.

Torsion angle (degrees) Static stiffness (104N/mm)

30.0 32.5 35.0 37.5 40.0 42.5 45.0

2 3 4 5 6 7 8

Figure 5.27 Static stiffness and torsion angle. When the torsion angle increased to 5 degrees, the static stiffness of the reversed torque origami structure suddenly decreased.

110

図5.28に示すのは2種類の折紙構造と衝突後の圧潰変形の様子であり, 同図に示され るように衝突荷重を受ける2種類の折紙構造の圧潰変形はよく似ており, 横へ折れ曲が ることはなく, 折線に誘導されることによって, 座屈しわが衝突端から順番に積み重な るアコーディオン型の圧潰変形モードになっていることが判る.

従来の研究結果により, 理想的な衝突エネルギー吸収性能向上の圧潰変形パターン は, 最初の座屈しわが生じる際の初期ピーク荷重を出来るだけ低く抑えて, 横へ折れ曲 がらない圧潰変形を出来るだけ長く続けると同時に, 圧潰反力を出来るだけ一定に保 つことである.

Figure 5.28 Crash mode of (a) reverse spiral and (b) reverse torsion origami structures.

V0 = 15 m/s

(b) V0 = 15 m/s

(a)

0 2 4 6 8 10 12

0 50 100 150 200 250 300 350

Reversed torsion origami structure(RTO) Reversed spiral origami structure(RSO)

Displacement of top surface (mm) Crash force (×104 N)

Figure 5.29 Comparison of crash forces of reverse spiral and reverse torsion origami structures.

111

図5.29に圧潰反力の変化を示す. 同図により, 反転ねじり型折紙構造の初期ピーク荷

重は30878Nで, 反転らせん型折紙構造の33324Nよりやや低く, 圧潰変形の過程におい

て, 2 種類の折紙構造の圧潰反力は, 座屈しわが生じることに伴い多少波打ちしたりし ているが, 構造全長の375mmに対して, 320mm(約85%)までほぼフラットな圧潰反力 を持ち続けることが確認できる.

また図5.29に示すグラフの1つの谷部は1 つの座屈しわが生じることに対応すると 考えられる. 捩じり塑性変形で得た湾曲な側面の反転ねじり型折紙構造に比べ, フラッ トな三角形側面の反転らせん型折紙構造のほうが, 図 5.28 にも確認されるように比較 的多くの小さい座屈しわを重ねて圧潰変形が進行して行く傾向が存在し, その影響で, 反転ねじり型折紙構造の圧潰反力の平均値23406N は, 反転らせん型折紙構造の平均値

20364N より高く, それによって, 反転ねじり型折紙構造の衝突エネルギー吸収量も反

転らせん型折紙構造より高くなると思われる.

図5.30に圧潰過程における衝突エネルギー吸収量の変化を示す. 同図により, 圧潰変

形は0〜120mmの初期段階(全長の1/3程度)では, 反転らせん型折紙構造の衝突エネ

ルギー吸収量はやや多く見えるが, 圧潰変形 120mm 以後は, 反転ねじり型折紙構造の エネルギー吸収量は逆転して明らかに大きくなっている. この現象を調べるため, 圧潰

0 2 4 6 8 10 12

0 50 100 150 200 250 300 350

Reversed torsion origami structure(RTO) Reversed spiral origami structure(RSO) 60 mm

122 mm

254 mm

Displacement at top surface (mm)

Absorbing energy (×106J)

Figure 5.30 Energy absorption of reverse spiral origami and reverse torsion origami structures during the crash process.

112

変形が60𝑚𝑚, 122𝑚𝑚, 254𝑚𝑚に進展した時の構造変形の様子を図 5.30 に示し, それ ぞれ左側には本章提案の反転ねじり型折紙構造, 右側には反転らせん型折紙構造を示 している. 同図により, 圧潰変形 60mm に進展した初期段階では, 反転ねじり型折紙構 造のほうは湾曲な側面に起因し, 衝突力の初期ピーク値が抑えられたことで, 衝突エネ ルギーの初期吸収量もやや低くなる. ただし, 初期段階を超えてから, 反転ねじり型折 紙構造の衝突エネルギー吸収量は徐々に多くなり, 圧潰変形 122mm に進展した時に反 転らせん型折紙構造の衝突エネルギー吸収量を超えて, その後ずっと最後まで高いエ ネルギー吸収性能を保ち続けており, 座屈しわのパターンも反転らせん型折紙構造の 1 カ所に座屈しわが集中するのと違い, 軸方向に沿ってより分散した座屈しわが発生す る傾向が見える.

従って, 従来の反転らせん型折紙構造の衝突エネルギー吸収性能と比べて, 本章の提 案する反転ねじり型折紙構造の方は, 衝突の初期段階では, より柔軟に初期ピーク衝突 力を受け止めて, 初期の衝突による傷害を緩和する効果があると考えられ, 更に衝突変 形の進展に伴い, 徐々に衝突エネルギー吸収量を増加する特性を有する. 以上により, 衝突エネルギー吸収体としては非常に優れた特性を示している.

更に, 2 種類の折紙構造の衝突エネルギー吸収性能を比較するため, 衝突圧潰変形過 程における圧潰反力のピーク値PRF(Peak Reaction Force), 式(5-2)に示す, 荷重値 のフラット性を現す衝突荷重効率値CFE(Crash Force Efficiency)と式(5-3)に示す単 位質量あたり衝突エネルギー吸収量(SEA-specific energy absorption)を使い詳しく検討 する.

%

100

p ea k mea n

F

CFE F (5-2)

m

SEAEabsorb (5-3)

ここで, Fmeanは圧潰反力の平均値, Fpeakは圧潰反力のピーク値, 𝐸𝑎𝑏𝑠𝑜𝑟𝑏は衝突エネ ルギー吸収量, mは構造質量である. 同条件で2種類の折紙構造の圧潰過程における衝 突エネルギー吸収性能を比較して, 表 5.3 に整理する. 同表により, 本章の提案する反 転ねじり型折紙構造は, 反転らせん型折紙構造と比べて, 圧潰反力のピーク値 PRF は

7.21%低く, 衝突荷重効率値CFEは10.66%高い, 単位質量あたりの衝突エネルギー吸収

量SEAは9.97%高いことが確認できる.

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よって, 2 種類の折紙構造が衝突される際に部分的な座屈しわを有効な方向へ誘導す る効果が同様に存在しているものの, 構造側面に沿って捩じり変形により得られる反 転ねじり型折紙構造のほうが, 衝突エネルギー吸収体としてはより有利になる可能性 が高いと考えられる.

さらに, 本章の提案する反転ねじり型折紙構造と同条件で, 現在, 自動車のエネルギ ー吸収材として最も使用されている矩形断面角筒構造の衝突解析を行い, その結果を 図5.31に, 衝突エネルギー吸収特性を表5.4に示す. 図5.31に示すように, オイラー座 屈が生じやすいため矩形断面角筒構造の衝突圧潰変形のほとんどは同図(a)に示す変形 途中で横へ折れ曲がるケース(I)と, まれに解析中に構造形状は正確に対称性が保たれ て最後まで圧潰変形が続けられるケース(Ⅱ)が存在している.

RSO RTO Change

PRF (×104 N) 3.33 3.09 -7.21%

CFE (%) 65.17 75.83 10.66%

SEA (kJ/g) 12.84 14.12 9.97%

Absorb energy (×106 J) 8.11 8.92 9.97%

Table 5.3 Crash performance of reverse spiral origami and reverse torsion origami structures.

Figure 5.31 Crash deformation mode of the square cross section structure.

15m/s

(a)

15m/s

(b)

114

表5.4の比較結果より, 提案する反転ねじり型折紙構造は矩形断面角筒構造より非常 に良い衝突エネルギー吸収性能を持ち, 通常の横へ折り曲がるケース(Ⅰ)より 1.99 倍, 最も理想的に最後まで圧潰変形を続けるケース(Ⅱ)に比較しても 1.77 倍多く衝突エネ ルギーを吸収することができるため, 反転ねじり型折紙構造が衝突エネンルギー吸収 材としての有用性を示している.

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