第 2 章 自動車車体開発に適用する折紙構造とその検討手法
2.2 フロアー構造に適用するトラスコアパネル
2.2.2 トラスコアパネルの力学特性
トラスコアパネルは複数の三角錐コアから構成され, 二枚のパネルを対向して組み 立てることによって, 角錐の稜線と斜面が互いに貼りあわせて, パネルの間には八面体 型の中空部が連続的に構成された安定な複合コアパネルとなる. こうして組み立てら れたトラスコアパネル表面に外部荷重がかけられる場合, コアの斜面に互いに接触す ることで, 変形は荷重点周辺に集中することはなく, 連続的なコア斜面の接触部を通し てトラスコアパネルの全面に分散して行く特性が観察できる.
トラスコアパネルの力学特性を検証するため, 現在最も使用されているハニカム構
造(図2.21)を比較対象として, 図2.22に示す三点曲げの数値解析問題を設定し, トラ
スコアパネルとハニカム構造に対して, それぞれ解析モデルを作成して, 同じ条件の下 で解析した変位の結果を比較して, さらに得られた変位値と質量の比で表す比剛性値 を使い, トラスコアパネルとハニカム構造の静的な力学特性を評価し検証する.
図 2.23(a)と図 2.23(b)に, それぞれトラスコアパネルとハニカム構造の変形分布を示
し, 図中よりハニカム構造の変形が荷重点の下に局所的に集中することに対して, トラ スコアパネルの変形のほうは明らかにパネルの全面に分散されている傾向が見える.
それに起因して, トラスコアパネルの比剛性値は従来のハニカム構造より 10%ほど高 いことが判った.
Figure 2.21 Honeycomb structure
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Figure 2.22 Three point bending test
(a) Truss core structure (b) Honeycomb structure Figure 2.23 Comparation of three point bending test result
また, トラスコアパネルの振動特性を検証するため, 何ら[45]は, 繊維強化プラスチ ック(FRP)材料でハニカム構造とトラスコアパネルを作成して, 図2.24に示すように 振動台の上に取り付けて, さらにパネルの表面に加速度センサーを貼り付けスウィー プ加振実験を行い, それぞれ固有振動数を計測し比較する. その測定結果は表 2.1 のよ うにまとめられた.
表 2.1 の比較結果により, 従来のハニカム構造に比べて, トラスコアパネルの固有振 動数は高く, 比較的良い振動特性をもつことが確認できた.
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Figure 2.24 Measure of natural vibration characteristic by sweep wave [45]
Table 2.1 Measure results of natural vibration characteristic [45]
構造 Ω1(Hz) Ω2(Hz) Ω3(Hz)
トラスコアパネル 48.5 81.5 97.5 ハニカム構造 44.0 76.0 86.5
さらに, トラスコアパネルの衝突エネルギー吸収性能を検証するため, 楊ら[33]は, 図2.25と2.26に示すようなハニカム構造とトラスコアパネルを用い構成した図2.27に 示す自動車フロアーを想定した軽量化構造に対して, 全体的な寸法, 板厚や材料特性な どを全て同じとした上で, それぞれ衝突解析を行い, 得られた衝突エネルギー吸収量を 解析し比較を行った.
図2.27では, フロアー構造の片側に剛性壁であり, その反対側のフロアー構造境界に 自動車重量の模擬した1000kgの集中質量を取り付け, 初期速度54km/hを与えて衝突解 析をそれぞれ行った.
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Figure 2.25 Floor structure form of honeycomb structure
Figure 2.26 Floor structure form of truss core structure Plane plate Honeycomb core
Insert member
Plane plate
Insert member
Plane plate Truss core panel
Center member
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Figure 2.27 Crash test model of floor structure
衝突解析の結果は表2.2と図2.28のようになっている. 表2.2に示すのは, トラスコ アパネルとハニカム構造から構成したフロアー構造の衝突エネルギー吸収量と, 構造 の衝突エネルギー吸収性能を表す評価値としての衝突エネルギー吸収量と構造重量の 比である. 一方, 図 2.28に示すのは, 衝突開始から同じ時刻 0.009 秒での衝突圧潰変形 の様子である. 図中より, トラスコアパネルで構成したフロアー構造は衝突時に先端か ら順番に圧潰しわを積み重ねながら変形して行く理想的な圧潰変形パターンとなって いることに対して, ハニカム構造で構成したフロアー構造のほうは既に横へ折れ曲が る圧潰変形が発生してしまうことが見える.
よって, 従来のハニカム構造に比べて, トラスコアパネルの衝突エネルギー吸収性能 が確かに良いことが判る.
Table 2.2 Energy absorption results of crash test
吸収エネルギー 吸収ネルギー/重量 トラスコアパネル 10.87×106 N・mm 3.99×106 N・mm/kg
ハニカム構造 9.35×106 N・mm 3.28×106 N・mm/kg Rigid wall
Crash speed 54km/h Concentrated mass 1000kg
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(a) Honeycomb panel (b) Truss core panel Figure 2.28 Comparation of fold-collapse shape on 0.009s of crash test
以上までの比較結果から, トラスコアパネルは従来の軽量化構造より優れた力学特 性をもつことが明らかになったが, 三次元的に複雑な形状を持ち, 通常のプレス法で加 工することが難しい問題が十分に解決されておらず, トラスコアパネルの実用化のた めの検討が継続して行う必要がある.