中長期目標
農林水産省の行政部局と研究計画段階から密接に連携し、行政部局のニーズを十分に理解し て業務を進める。また、緊急時対応を含め連携会議、専門家派遣、シンポジウム開催等に対応す る。
専門研究分野を活かし、JIRCAS の高い専門知識が必要とされる分析及び鑑定、講習や研修の 実施、国際機関や学会への協力等を行う。
中長期計画
ア 行政部局のニーズに対応するため、研究の設計から成果の普及・実用化に至るまでの各段階 において、関係行政部局との情報交換を密に行うとともに、毎年度の成果検討会議等に関係 行政部局の参加を求める。
イ 行政部局の要請に対応するため、緊急時対応を含む連携や各種連絡会議、シンポジウムの 開催、専門家派遣等に協力する。
ウ 行政、各種団体、大学等の依頼に応じ、JIRCASの高い専門知識が必要とされ、他の機関では 実施が困難な分析及び鑑定を実施する。
エ 他の国立研究開発法人、大学、国公立機関、民間、海外機関等から講習生、研修生を積極 的に受け入れ、人材育成や技術水準の向上に貢献する。
オ 国際農林水産業研究を包括的に行う機関として、国際機関や学会等の委員会・会議等に職 員を派遣するなど、要請に応じて活動に協力する。
《平成30年度実績》
ア 関係行政部局との情報交換
行政部局のニーズに対応するため、関係行政部局との人事交流や諸会議等を通じて情報交換 に努めた。昨年度に引き続き、人事交流により、農林水産技術会議事務局に、研究職員1名を派 遣するとともに、新たに農林水産省から研究職員2名を受け入れた。また、行政ニーズや行政部 局の意見を研究に反映するため、研究成果等を検討する中長期計画評価会議のプログラム検討 会(平成31年2月20日)に、関係行政部局の参加を求め、農林水産技術会議事務局、大臣官 房、林野庁、水産庁の農林水産省担当官が検討に加わった。検討会では、国際農研が新たに研 究課題を設定して対応すべき、行政ニーズの変化について意見を求めた。
イ 行政部局の要請への対応
行政部局の要請に対応するため、連携や各種連絡会議、シンポジウムの開催、専門家派遣等 に協力した。
① G20首席農業研究者会議(MACS)
G20 MACSは、世界食料の安定供給にむけた農業研究の優先事項や連携強化に向けて、G20 各国、国際機関等を代表する農業研究者が話し合うことを目的とした会議である。国際農研は、第 1回 会議(2012年、メキシコ)から参加し、国際的な課題解決に向けた議論に貢献してきた。
第7回G20MACSは、G20のホスト国であるアルゼンチン政府の主催により平成30年5月28
~30日に同国のサン・サルバドル・デ・フフイで開催され、国際農研から岩永理事長が出席した。
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会議ではゲノム編集ガバナンス、持続的な土壌管理、気候変動に対する農業システムの回復力な どについて、参加者による意見交換が行われた。また、2019年度は日本がG20のホスト国となるこ とから、会議の最後に岩永理事長から国際農研の活動を紹介した。
平成31年4月24~26日に東京で開催される第8回G20MACSで、岩永理事長が議長を勤める こととなり、岩永理事長が農林水産省顧問に就任した(任期:2018年12月1日~2019年11月 30日)。岩永理事長は、国際農研の共同研究機関であるインド農業研究委員会(ICAR)を訪問
(平成31年2月)した際、同国政府のMACS代表と協議を行った。
第8回G20MACSでは気候変動と植物病害虫が主要議題となることから、これらの議題に関す る最新の知見や情報等を得るとともに、議論の方向性を検討するため、「植物病害虫の世界的拡 散と対応策の研究」に関する検討会(平成30年9月26日、10月29日及び11月22日)及び
「気候変動の下での持続可能な農業推進」に関する検討会(平成30年10月26日、11月9日及 び11月26日)が農水省により開催された。国際農研は、これらの研究会にメンバーとして参加 し、情報提供と意見交換を行うとともに、G20MACS参加国に提案されるこれら主要議題に関する コンセプトペーパーの作成に協力した。
② 農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)
GRAは、2011年に設立した農業分野の温室効果ガス排出削減等に関する研究ネットワークで ある(平成31年3月現在56か国が参加。日本は発足当初からの参加国)。2017年に、日本がア ジアで初めての議長国となり、国際農研岩永勝理事長が議長に就任した。
2018年9月10~11日に、ドイツ・ベルリンで第8回GRA理事会が開催された。理事会の冒 頭、岩永理事長は、日本が議長国を勤めたこの1年間の成果として、アフリカから新たに3ヶ国が GRAに加盟したこと(セネガル共和国、コンゴ民主共和国、ナミビア共和国、加盟順)、昨年ドイ ツ・ボンで行われたCOP23(国連気候変動枠組条約締約国会議)で、GRAの活動を紹介するサイ ドイベントを開催したこと等を報告した。岩永理事長は、今回の理事会で議長の職務を新たな議長 国であるドイツ連邦食糧農業省のDr. Wolfgang Zornbachに引き継ぎ、1年間の任期を完了した。
③アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)
CARDはアフリカにおけるコメ生産拡大のため、メンバー国の自助努力と、その活動に関心を持 つドナー国との連携を支援する協議グループとして、2008年にJICAとアフリカの緑の革命のため の同盟 (AGRA)によって設立され、10年間でサブサハラ・アフリカのコメ生産量を倍増させることを 目標に活動してきた。国際農研は運営委員会のメンバーとして国際イネ研究所(IRRI)、アフリカ稲 センター(AfricaRice)とともに科学的な見地からの貢献を目的にCARDに参画している。平成30 年度は設置から10年の活動期間を過ぎ、これまでの成果の検討や今後の取組みについて議論 するため、全体会合が開催された(平成30年10月2~4日、東京)。本会合で、岩永理事長はこ れまでの国際農研の活動と、CARD全体の活動を振り返る発表を行った。
④国際再生可能エネルギー機関(IRENA)
国際農研は、日本政府とIRENAのバイオマスエネルギーに関する協力の合意(平成22年5 月)を具体的に進めていく枠組みの中で、職員をIRENAに派遣する取組を継続するとともに、当 該職員による情報収集・発信を行った。また、平成30年度から新たにIRENAと連携して、国際連
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携による農業分野における温室効果ガス削減技術の開発のためのプロジェクト「農産廃棄物を有 効活用したGHG削減技術に関する影響評価手法の開発」(農林水産省委託研究)を開始し、我 が国を含む各国で開発・実証が進んでいる農産廃棄物を有効活用したGHG削減技術に関して、
その影響を評価する手法を開発し、当該手法を用いて実際の技術を評価した。
⑤行政部局との多面的な連携
第6回CGIARシステム理事会(平成30年5月16~17日、ドイツ・ベルリン)及び第7回 CGIARシステム理事会(平成30年11月15~16日、米国・シアトル)に岩永理事長が日本政府 代表として参加した。
農林水産技術会議事務局が主催する「若手外国人農林水産研究者表彰選考委員会」の選考 委員として理事長が選考に加わるとともに、農林水産技術会議事務局等との共催で、「2018 年若 手外国人農林水産研究者表彰(Japan Award)」(平成30年11月6日)を実施した。本表彰制度は、
開発途上地域の農林水産業研究機関等から推薦を受けた40歳未満の若手研究者3名に賞状と 奨励金( 甕もたいJIRCAS賞5,000米ドル)を授与するものであり、今回で12回目である。
平成30年度は、31名の応募者の中から選考委員(7名)による書類審査を経て3名が選考され、
農林水産技術会議会長により受賞者が決定された。若手外国人農林水産研究者表彰(Japan Award)の表彰式典は、平成30年11月6日に国連大学ウ・タント国際会議場において挙行され、
式典には、小林芳雄農林水産技術会議会長、内閣府総合科学技術・イノベーション会議 上山隆 大議員、国連大学サステイナビリティ高等研究所 齊籐修アカデミックディレクター・学術研究官、
独立行政法人国際協力機構 上田英也上級審議役を来賓に迎え、選考委員会の岩元睦夫座長 より審査経緯の報告、表彰状及び奨励金( 甕もたいJIRCAS 賞)目録の授与に引き続き、受賞者講演が 行われた。
平成30年度の受賞者及び業績は以下のとおりである。
Dr. Andry ANDRIAMANANJARA (国籍:マダガスカル、所属:アンタナナリボ大学)
「マダガスカルの農業生態系における有機物動態とその作物生産における有効利用」
Dr. Farah Fazwa Md Ariff (国籍:マレーシア、所属:マレーシア森林研究所)
「普及ハーブ種(Labisia pumila)の高品質栽培品種の作出」
Dr. Jinyong ZHANG (国籍:中国、所属:中国科学院水生生物研究所)
「養殖淡水魚における致死的寄生虫疾病の大発生要因となる多様な微生物の研究及び生物学 的疾病予防方策の開発」