第4章 法令等に基づく行政文書の分類手法の提案と評価
4.1 行政文書管理制度が行政機関に求める文書の分類構成
行政機関が保管する文書の分類手法については各行政機関が定める行政文書管理規則に 規定されているが、これらの規則は実質的に内閣総理大臣が決定する「行政文書の管理に 関するガイドライン」(2017 年 12 月に一部改正、以下「ガイドライン」)に沿って作成され ている。
ガイドラインは、行政機関が保管する文書の分類は各課室で実際に行政文書の作成・保 存に携わっている職員が行うこととし、その具体的な方法について「①まず、相互に密接 な関連を有する行政文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめて小分類とし、②次 にそれらをまとめて中分類とし、③さらにそれらをまとめて大分類としていくもの」とし ている。この手法は三沢仁のツミアゲ方式1)に当たる。
一方、ガイドラインは、公文書管理法第 4 条において文書の作成が義務付けられている 事項 2)や各行政機関に共通する事項などについて、各事項の業務の中で作成される文書の 具体例と保存期間を例示し、これらの事項に関する文書については(ツミアゲ方式ではな く)同表3)を参酌して分類するよう求めている。
すなわち、図 4-1-1 に示すとおり、国の行政機関における文書の分類については、法律 で文書の作成が義務付けられている事項や各行政機関に共通する事項に係る文書について は全省庁統一の文書分類表(ガイドライン別表第1がこれに相当)を定めて各行政機関に 同表を参酌するよう求め(ワリツケ方式、図 4-1-1 上段)、各行政機関に固有の業務に関す る文書については各機関の職員の裁量に任せている(ツミアゲ方式、図 4-1-1 下段)。この ように、ワリツケ・ツミアゲ両方式を併用する形をとっているが、この形は三沢仁が提案 する「折衷方式」とは異なっている。さらにガイドラインは、多くの行政文書の実体であ る電子ファイルと管理簿上の行政文書ファイルを一体のものとして管理しやすくするため、
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共有フォルダの構成を管理簿上の構成に合わせるよう求めている(図 4-1-1 右側)。
ガイドラインの規定は各行政機関の規則に反映されて中央省庁と地方支分部局の区別な く全ての行政機関に適用され、どの課室においてもワリツケ・ツミアゲ両方式の併用によ って文書を分類することになっている。しかしながら、実際にワリツケ方式の対象となる 事項を所掌しているのは中央省庁の中でもごく一部の部局や課室に限られており、その他 の大半の部局・課室にとってワリツケ方式の対象となる事項は「職員の人事に関する事項」
「文書の管理等に関する事項」などごく一部に限られ、実質的にほぼ全ての業務に関する 文書をツミアゲ方式で分類することが求められている。
こうした中で、特に地方支分部局等において各課室は独自の裁量で文書の大半をツミア ゲ方式で分類し、管理簿に登録・公開している。しかし本来、ツミアゲ方式は他の課室や 組織の外から文書を利用することを想定していない閉じた環境の中で、職員が最も利用し やすいように文書の配置を検討するための手法であることから、同じ業務を所掌する課室 であるにも関わらず、部局間で文書の分類状況が大きく異なる事態となっている(具体的 な事例を 4.2 節で提示)。他の課室や組織の外から文書を利用しようとした場合に、「何が あるのか」「何処にあるのか」がわからない管理簿や共有フォルダは「政策決定の過程を組 織の外に対して説明するための文書を管理する場」としての役割を果たせていない。
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図 4-1-1 国の行政機関の文書の分類に関する規定の概要
注)公文書管理法第 4 条で文書の作成が義務付けられている事項や行政機関共通の事項に 関する文書は、全省庁統一の文書分類表(ガイドライン別表第1が相当)に基づく分類 が求められる(ワリツケ方式、図の上側)。一方、各行政機関に固有の事項に関する文書 は、各機関の職員が相互に密接に関連する文書をまとめて小→中→大分類の順に構成す ることが求められる(ツミアゲ方式、図の下側)。このため、各行政機関の管理簿や共有 フォルダは両方式を併用した構成となる。
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