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時間変化の可視化の効果と課題

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 46-50)

第2章 共有フォルダの構造と時間変化の可視化

2.3 時間変化の可視化の効果と課題

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2.3.2 ファイルの最終更新日時の情報が利用実態を反映していない可能性

共有フォルダ内のファイルの利用形態としては、その更新だけでなく閲覧や複製も考え なければならない。しかし、今回の時間変化の可視化の手法では、各ファイルの利用履歴 に関する情報として最終更新日時のみを用いており、閲覧や複製のための利用を考慮して いない。このため、最終更新日時からの経過期間のみでは当該ファイルの利用頻度を示す 情報としては十分でない。

通常、ファイルの閲覧頻度は更新頻度よりも高い(ファイルの更新を行わずに閲覧する だけの機会は多い)ため、長い期間更新されていなくても頻繁に閲覧されているファイル は当然存在する。また、ファイルの中にはそもそも更新されることを想定していないもの

(決裁後の文書)や修正・改ざんが許されない性質のもの(写真等の記録など)もある。

これらのファイルについては、基本的に更新は行われないため、更新履歴に関する情報が 得られなければ、現在の手法はこれらのファイルは作成直後に利用が終了したものとみな してしまう(ただし、筆者は、こうした更新を想定していないファイルについては、共有 フォルダではなく、最初から不特定多数の人間が容易に変更することができない環境に保 存するべきであると考える)。

各ファイルの閲覧履歴(最新のアクセス日時)に関する情報は、システム設定を変更す ることで取得することが可能である。しかし、この情報は日常的なファイル利用の場面で は必須の情報ではないため、情報の取得に対するシステムへの負担量に見合わないことか ら、一般的には行われていない。また、最新のアクセス日時を取得するよう設定を変更し た場合、(人間ではなく)ソフトウェアが機械的に巡回してアクセスした日時(例えば、今 回の俯瞰図を作成するために各ファイルの属性情報を参照した日時)や、利用者がファイ ルを捜索する際に本来利用する意図がなかったにもかかわらず誤って閲覧した際の日時も 各ファイルに上書きで記録されるため、この情報全てが利用者の利用履歴とは言えない。

次に、ファイルの複製行為を利用履歴として判別するための手法として、新規に作成さ れたファイルの名称やサイズ等の情報と既存ファイルの該当情報を比較し、複製元と推測 されるファイルが特定できた場合に当該ファイルが利用されたと判断する方法がある。し かし、複製時にファイルの名称が大きく変更された場合は同一ファイルと判断することが 難しく、また、当該フォルダ以外の場所に複製された場合には検証することもできない。

以上のとおり、技術的にみれば各ファイルの閲覧や複製に係る履歴情報の取得は可能で ある。時間変化の可視化を通じて共有フォルダの整理を進める中でファイルの利用実態を さらに厳密に再現することが求められる場合には、これらの情報も含めて可視化を行うこ とが望ましいことから、今後、これらの情報の取得によるシステムへの負担の軽減が図ら れることに期待する。

2.3.3 行政機関への適用に係る課題

組織で利用する共有フォルダの機能を向上させて円滑な知識の共有・継承を図るために

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は、利用者が必要としているファイルに効率的にアクセスできるように、利用されなくな った半現用ファイルを特定し、それらの要否に応じて廃棄、移管、退避するほか、フォル ダの構成を変更する作業が不可欠である。しかし、行政機関などの組織においては、ファ イルの廃棄やフォルダ構成の変更を各組織の担当者の意思で自由に行うことはできない。

特に、国の行政機関が保管する文書は「公文書等の管理に関する法律」に基づく行政文 書管理制度の下で適切に管理することが求められている。また、同法は独立行政法人等が 保有する法人文書も規律の対象としているほか、地方公共団体が保有する文書についても 同法の趣旨に則り適正な管理に努めるよう求めている2)。この制度が 2018 年 3 月に改正さ れ、行政機関で利用する共有フォルダには「組織内部(職員間)の知識の共有と継承の場」

に加えて「組織の外(国民)に対して政策決定の過程を説明するための文書を管理する場」

としての役割が明確化された。このため、行政機関で利用される共有フォルダを対象とす る場合は、上述の制度の要請に対応しながら、組織の内外の双方にとって「何があるのか」

「何処にあるのか」の理解を促す運用手法でなければならない。

42 注・参考文献

1)「Graphviz - Graph Visualization Software」http://www.graphviz.org(閲覧日:201 9 年 12 月 1 日).

2)地方公共団体が保管する文書の適正な管理については努力義務にとどまっているため、

公文書館を設置している地方公共団体の数が全体の 3%にすぎないなどの問題が指摘され ており3)、地方公共団体の文書管理制度の構築は検討の途上だと言える。ただし、熊本県 のように公文書館を設置せず、独自に条例を制定し、各職員が文書のライフサイクルに 基づき責任を持って文書管理を行うように制度を構築している地方公共団体もある4)。 3)白井哲哉「日本の地方自治体における公文書管理制度の整備と公文書館の設置に向けた

取り組み」『アーカイブズ』2012, vol.48, 37-39.

4)楠本誠二「熊本県における行政文書管理制度」『アーカイブズ』2014, vol.52, 66-69.

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