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行政文書管理制度の改正と行政機関に求められた対応

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 51-54)

第3章 行政文書として管理すべき文書の選別手法の提案

3.1 行政文書管理制度の改正と行政機関に求められた対応

改正ガイドラインは、行政文書の範囲について「個人文書を共有フォルダから除外する ことの徹底」として個人資料を共有フォルダから分離することを強く求めた。これは、共 有フォルダ内から個人資料を除外して行政文書のみ保管することを要請したものであるが、

実質的には共有フォルダ内に残されたファイルを一律に行政文書とみなすことを意図して いる。一方で、個人資料を除外する際に考慮すべき行政文書の該当性の判断について、改 正ガイドラインは「『行政文書』の該当性は、文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用 の状況、保存又は廃棄の状況等を総合的に考慮して実質的に判断される」と追記するに止 まり、その判断は引き続き各課室の文書管理者と文書管理担当者に任されたままになって いる。

また、改正ガイドラインは行政文書に設定する保存期間について、意志決定の過程や事 業実績等の合理的な跡付け・検証のために必要となる行政文書については(歴史公文書等 に該当しない場合でも)「原則として 1 年以上の保存期間を定める」こととし、例外的に保 存期間を 1 年未満とすることができる 7 類型16)を提示した。さらに、7 類型に該当しない 行政文書の保存期間を 1 年未満とする場合にも当該文書の廃棄時期を記録・公表すること を求めた。

これらの改正により、共有フォルダ内に残されたファイルは、例外的に認められた 7 類 型に該当する行政文書等を除き、原則として「保存期間が 1 年以上の行政文書」、すなわち 管理簿に記載して管理しなければならない行政文書に位置付けられることとなった。

さらに、共有フォルダ内に残るこれらのファイルについて、改正ガイドラインは「行政

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文書ファイル管理簿上の分類に従った階層構造にする等、共有フォルダの構成を行政文書 ファイル等として管理しやすい構造とする」として、共有フォルダ内のファイルの分類手 法にまで踏み込んで言及し、共有フォルダと管理簿の分類を対応するように再構成するこ とを求めている。

これにより、各行政機関では課室単位で設置された文書管理担当者が主体となって、共 有フォルダ内にあって新たに保存期間が 1 年以上の行政文書とされたファイルを管理簿に 追記するとともに、共有フォルダと管理簿の構成を一体的に再検討することが求められて いる。しかし、共有フォルダ内に保管されているファイルの数は非常に多く(例えば、斉 藤典明と金井敦17)は課室内の班・係の単位で運用される共有フォルダの事例として、ファ イル数が数万~数十万個に上るケースを報告している)、これらの作業には多くの負担を伴 う。

こうした作業は中央省庁だけでなく地方支分部局や地方事務所(以下、まとめて「地方 支分部局」)においても同様に求められる。地方支分部局においては、異なる地域や府県に 同種の業務を所掌する課室が存在している(ただし、多少の地域的特徴・差異はある)。こ のため、管理簿に追記すべきファイルの選定や管理簿(及び共有フォルダ)の構成につい て再検討を行うに当たり、自課室と同種の業務を所掌する他の課室における文書の管理状 況は参考になる。また同時に、行政機関は規則に沿った厳密な文書管理の運用が求められ るため、課室間で整合を取るために他課室の文書の管理状況を参考にしなければならない 事情もある(例えば、ある地方支分部局の A 課が所掌業務に関する文書を管理簿に登録し ているのに、別の地方支分部局の A 課(名称同じ)が同名の文書を登録していない場合、

どちらかの対応が不適切な対応をとっていることになる)。

地方支分部局間で文書の管理状況についての整合を取るためには、一般的に中央省庁の 各担当課室が主導的な役割を果たし、地方支分部局において登録すべき文書や分類構成の モデルを示すことが期待されるが、現在のところ、改正ガイドラインとこれに準拠して各 省庁が定めた行政文書管理規則等に概念的な仕様(図 3-1-1)と中央省庁内の一課室の共有 フォルダを想定した分類体系の概念図(図 3-1-2)が示されたのみであり、地方支分部局間 の整合については全く考慮されていない状況(中央省庁から地方支分部局に至るまでの全 課室において、各課室の文書管理者がガイドライン等を参考にそれぞれ独自の判断で登録 文書の検討や分類の再検討を行わなければならない状況)である。

そこで筆者は、特に行政機関の地方支分部局を対象として、各課室の文書管理者が部局 間の整合も考慮しながら、共有フォルダ内の多数の電子ファイルの中から自課室の管理簿 に登録すべき文書を効率的に選定するための手法を提案し、その有効性について評価する こととした。なお、共有フォルダ及び管理簿の分類手法については第4章において別途提 案する。

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図 3-1-1 改正ガイドラインに示された共有フォルダの構成に関する概念図

図 3-1-2 国土交通省行政文書ファイル保存要領に示された共有フォルダの構成イメージ 注)中央省庁内の一課室が利用する共有フォルダを想定した構成イメージが簡潔に示され

ているのみであり、国土交通省内の組織の数の大半を占める地方支分部局や地方事務所 間の整合の問題などは全く考慮されていない。

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